actually

 「6月進研大学共通テスト模試」リスニング試験に、次のような会話問題が出題されました。「解答解説」集に添えられた訳文も一緒に示しておきます。果たしてこのような理解でいいのでしょうか?

Man :  Are you having dinner with us after work tonight? 
Woman : No. I'm going to my son's school.
Man :  Oh, right. You said he's performing in a play tonight.
Woman : Actually, he's playing the guitar. Enjoy your dinner!

男性:今夜、仕事が終わったら、一緒に夕食を食べる?
女性:いいえ、息子の学校に行くの。
男性:ああ、そうだね。きみは、彼が今夜演劇に出演するって言っていた。
女性:実は、彼はギターを弾くのよ。夕食を楽しんでね! 

 ここで私が問題にしたいのは、副詞actuallyの用法です。「解答解説」には語句として「actually 実は」という注記も添えられていました。「あー、この注を書いた人も分かってないな~」と思いながら、問題を解いて「見直しプリント」を作っていました(写真下)。これと同じことが「in fact 実は」という「つなぎ語」にも見られます(私が各所で指摘していることですが、未だに現場では「実は~、実際」が大手を振って歩いています。これでは文と文のつながりが見落とされてしまっています)。「つなぎ語」actuallyが実際にはどのように使われるのか?を観察している人なら、もうちょっと違った解説をするはずです。例えば、私たちの『ライトハウス英和辞典』(第7版、2023年)では、「♥相手の発言や考えを否定[訂正]したり、相手をがっかり[立腹]させそうな返事をするときなどに使い、あたりを和らげる働きをする。♥新しい情報の提供、発言の修正、話題の転換などのときに、軽く相手の注意を引くために用いることもある」として、次のような用例を挙げています。

How did they respond? 先方からの返事はどうだった?
Well, actually, I haven't contacted them yet. あの、実はまだ先方に連
絡していないんです。

 ここら辺を踏まえて、上の進研模試の問題文をよ~く読んでみると、「息子さん、演劇に出演すると言っていたね」――「いやそうではなくて、ギターを弾くの」と相手の発言を訂正しているのが、actuallyの働きなのです。何でもかんでも「実は」とやってしまうと、ここら辺に込められた人の気持ちを見逃すことになってしまいます。

    「actually=実は、実際に」と覚えていると困ったことになります。この語は常に「actualではないもの」との対比でのみ用いるのが原則です。次の例では「ニュース記事」と「事実」との対比を見抜く必要があります。

  I read about the accident in the newspaper, but please tell me what actually   happened. その事故については新聞で読んで知ってるけど、実際には何が起こったのか教えてくれよ〔デイビッド・セイン〕

 来年の新課程入試の「共通テスト」では、目玉問題(第4問)として、このような「つなぎ語」を英文中に埋める出題が予想されていますから、注意が必要です。♥♥♥

▲模試が終わったら徹底的に見直す!決して「やりっ放し」にしない!

カテゴリー: 英語語法 パーマリンク

コメントを残す