水戸岡鋭治先生の集大成

 このたび、JR北海道が新たな観光列車として「赤い星」「青い星」を投入することが発表されました。車両デザインは尊敬する水戸岡鋭治(みとおかえいじ)先生(77歳、ドーンデザイン研究所)が手がけます。先生が「最後の仕事」と位置づける集大成の車両になりそうです。私は水戸岡先生の列車の大ファンで、全国そこらじゅうに乗りに出かけています。先生の列車は中に乗り込んで、内装をひと目見ただけですぐに分かります。それぐらいに特徴のあるデザイン(木をふんだんに使った)なんです。

 既存のキハ143系一般形気動車を改造し、グレード差を設けた2編成「赤い星」「青い星」を各4両で1編成ずつ投入します。古い車両を改造し、再活用することでSDGsにも取り組みます。

赤い星編成(4両編成)  北海道開拓使のシンボル「赤い五稜星」をイメージした深紅の外装で、グレードはラグジュアリークラス、定員は100名程度に絞ります。1車両平均25名という少なさです。座席は、個室セミコンパートメントボックス席などを設け、ラウンジ茶室展望室が設けられる予定です。ラウンジでは飲食の提供も行います。主に釧網線での運行を計画しているということです。

青い星編成(4両編成)  富良野線沿線のラベンダー畑や青い池(美瑛町)をイメージした青紫色の外装で、プレミアムクラスの設定で、定員は200名程度です。1車両50名程度なので、グリーン車水準でしょうか。「赤い星」よりはカジュアルな列車になるようです。テーブル付きのボックスシートが基本で、全車に展望室荷物棚大型荷物置場を設置します。座席は4人掛けのボックス席が基本となり、全ての車両に北海道の雄大な景色が楽しめる展望室が設置される計画です。主に富良野線(旭川~富良野)での運行が予定されています。

 この観光列車は「国鉄」時代に客車として製造され、その後気動車に改造されたキハ143系を約18億円かけて再改造するもので、「SDGsな観光列車」という側面もあります。JR北海道綿貫康之社長「製造から40年以上が経っているが、改造を施し10年は使えるようにしたい」と車両の第3の人生に期待を寄せています。JR北海道はこれまでもスキーリゾートや航空会社とタッグを組んだ「アルファコンチネンタルエクスプレス」「フラノエクスプレス」などのリゾート列車や、SLニセコ号、SL冬の湿原号、富良野・美瑛ノロッコ号、くしろ湿原ノロッコ号など数多くの観光列車を開発し運行してきましたが、「豪華観光列車」を自社で開発し運行するのは今回が初の取り組みとなります。今までにない「豪華」で「上質」な豪華列車を導入する狙いについて綿貫社長は、「今までにないものを改造とはいえ造り、格段にランクが上の観光列車にしていきたい。地域の食材を使いおもてなしも含めトータルで新しい運用を目指し、新たな客層にも訴求していきたい」とインバウンド需要の取り込みも含めた集客に期待を寄せています。運行開始は2026年(令和8年)春を予定しています。 二つの星が、大赤字経営に苦しむ(佐藤信之『JR北海道の危機~日本からローカル線が消える日』(イースト新書、2017年)参照)JR北海道の「期待の星」となるのかどうか注目が集まります。以下はJR北海道がプレス発表した車内のイメージ図です。私は一目見ただけで水戸岡ワールドと分かりますよ。

 車両のコンセプトは「新たな北海道に出逢い沿線を楽しく元気にする」です。車両には次のような思いが込められています。

①楽しさと感動が詰まっている車両
②心と身体で心地よいSDGsな車両
③経済と文化と人を結び豊かなコミュニケーションが生まれる車両
④アメニティとモビリティのある車両
⑤食べて飲んで話したくなる車両
⑥北海道を再認識できる車両
⑦GOOD DESIGN、GOOD BUSINESS、GOOD LIFEをプレゼントする車両

 水戸岡鋭治先生「北海道の仕事から始まり、全国区の仕事をさせていただいて、最後の仕事としてJR北海道のローカル車両デザインに繋がった。北海道で良い仕事をしようと思う」とコメントされ、「赤い星」「青い星」最後の仕事と位置づけておられることを明らかにされました。水戸岡先生は、一時期、JR九州の車両デザインを一手に引き受けておられた観がありますが、2024年4月26日に九州でデビューした「かんぱち いちろく」のデザインは、鹿児島のデザイン会社IFOOに譲っています。となると、「赤い星」「青い星」は、これまでの水戸岡デザインの集大成になりそうですから、その点でも要注目ですね。あー、北海道に乗りに行きたいな~。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す