慈善活動

 これはわずかなお金で善いことをしようというお話です。フランクリンがある人から「お金を貸してくれ」という手紙をもらったときの話です。10ドル紙幣を一枚封筒に入れてその人に送りましたが、それと共につけた手紙に、フランクリンはこう返事を書きました。

 「このお金はあげるのではなくて貸すのです。あなたはこれから郷里へ帰れば、必ず何か仕事を見つけられるでしょう。そうすれば、そのうちに今お貸しする10ドルを返すことができるようになるでしょう。そうなったときには、このお金を私に返してくださったつもりで、他の困っている正直な人に貸してあげてください。その人がまた返せるようになったときは、またそれと同じ境遇に遭っている人に、その借金を払うという条件で貸してください。それで私に対する負債は済んだものとお考えください。こうして、このお金が先から先へとたくさんの人に渡って行くことを、私は切に望んでいます。この良い計画が、考えの足らない怠け者のために中止されることのないように祈っています。これはわずかなお金で善いことをしようという、私の考えなのです。私は立派な仕事のためにお金を皆さんにあげるほど金持ちではありません。ですから、このような方法で少しでもたくさんのお金を使いたいと思うのです」

 お金がない人は大きな善行はできないかもしれません。しかし、工夫をすれば、小さな善いことはできるという話です。

 小さなお金の使い方で、故・渡部昇一先生が一番感銘しておられたのは、ヒルテイです。ヒルテイは決して貧乏ではありませんが、大学の先生でしたから、それほど大金持ちではありません。彼は慈善事業をやりたいと考えて、孤児一人分の教育費を出すことにしました。その孤児が一人前になって仕事に就けるまで援助をすると、今度は別の孤児のためにお金を出しました。このように、一回に助けているのは常に一人しかいないけれども、それを一生続けたのです。これも工夫の良い例です。

 ロックフェラーやフォードのような大全持ちはそれに見合った巨大な慈善活動をしていますが、小さな善いことを行うというのでもいいのです。フランクリンは、後にもっと金持ちになってペンシルバニア大学を設立しますが、それほど偉くない頃にも、そういう心掛けを持っていたのです。

 今季限りで現役を引退したソフトバンクの和田毅投手は、島根県の浜田高校出身で、日米通算165勝を挙げました。先日故郷の島根県出雲市で野球大会「和田毅杯」を開催しました。「野球を通して子どもたちに夢と希望を」と自らの寄付金を基に2005年から始め、今年で20回目を迎えました。幼い頃から募金に興味を持ち、「自分で稼いだお金で誰かのために役立ちたい」と継続してきました。以前からミャンマーなど発展途上国の子どもたちの感染症防止のため、投球1球につき10本のワクチンを寄付してきました。昨年まで約73万本以上を贈り、関係団体からも表彰されています。社会貢献活動に熱心で知られる杉良太郎さんは、「確かにお金が必要です。でもお金がなければ行動する時間を提供すればいい。お金も時間もない人は社会貢献する人を理解すればいい。それも立派な社会貢献だと思う」と話していました。

 私の大好きな読売巨人軍にも、継続的に社会貢献活動に取り組んでいる選手たちがいます。今季も児童養護施設に入所している子どもたちを球場に招待したり、飼育放棄や虐待などを受けた動物を保護する活動に協力したりと、様々な支援活動を展開しました。各選手の取り組みは、球団の社会貢献活動「G hands」の一環として実施しています。「G hands」は、巨人軍の選手やスタッフにとどまらず、ファンの方々とも手を取り合い、“ふれあい”をキーワードにさまざまな支援の輪を広げていくことを目的としています。時々スポーツ新聞などで報じられることはありますが、ほとんど知られていないのでここで取り上げます。写真は巨人軍のホームページから拝借しました。♥♥♥

◆坂本勇人選手「坂本勇人シート」(2021年~)

 坂本勇人選手は、児童養護施設や母子生活支援施設などの子どもたちを巨人軍の試合に招待する「坂本勇人シート」を今季も実施しました。2021年にスタートし、社会福祉法人「読売光と愛の事業団」と「東京善意銀行」(社会福祉法人東京都社会福祉協議会)を通じて、子どもたちを巨人軍主催試合へ招待しています。地方開催の主催試合では、開催地の社会福祉団体等を通じて招待します。昨季は43施設から計322人を招待しました。「支援活動を始めてから今年で4年目となりますが、毎年招待した子どもたちからたくさんの勇気をもらっています。普段、球場で野球を観る機会が少ない子どもたちに少しでも興味を持ってもらえれば嬉しいです。今年こそ子どもたちに優勝を届けられるよう頑張ります」(坂本選手) 

◆丸佳浩選手「丸メシプロジェクト」 (2021年~)

 丸佳浩選手は2021年に「丸メシプロジェクト」を立ち上げて、今季も継続しています。認定NPO法人「カタリバ」に、「公式戦で記録した安打数と四死球数の合計数×1万円」を寄付します。寄付金は、経済的な事情などで十分な食事を取ることができない子どもたちのための食事支援活動などに充てられます。昨年は打撃成績に応じた136万円を贈りました。「今年で4年目となりますが、1人でも多くの子どもたちに笑顔でお腹いっぱい食べてもらえるよう、たくさんヒットを打ち続けます」 と丸選手。認定NPO法人カタリバは、どんな環境に生まれ育った10代も未来を自らつくりだす意欲と創造性を育むことができる社会を目指して活動している教育NPOです。学びの場や居場所づくり、困窮家庭の子どもへの食事支援など、社会の変化に応じてさまざまな活動を展開しており、その活動を丸選手が後押しします。

◆岡本和真選手「ハピアニプロジェクト」(2021年~)

 岡本和真選手は2021年から、公益社団法人日本動物福祉協会を通じて、不幸な動物たちを「救う・つくらない」活動を支援する「岡本和真HAPPY ANIMAL プロジェクト」を続けています。昨年もシーズン中の成績に応じた寄付金100万円を日本動物福祉協会へ贈りました。寄付金は、飼育放棄や虐待などの被害を受けた「不幸な動物を救う活動」や、望まれずに生まれてくる犬や猫などを減らすための不妊・去勢手術を助成する「不幸な動物をつくらない活動」などに役立てられます。「この活動も今年で4年目を迎えました。これまでたくさんの動物たちとふれあってきたことで、被害を受けた犬猫たちを救いたいという思いは年々強くなっています。まだまだつらい環境で生活している動物たちがいます。1匹でも多くの動物たちを救うために、僕は良い成績を残せるよう精一杯頑張ります」(岡本選手)

◆吉川尚輝選手「チャイルドドリームプロジェクト」(2022年~)

 吉川尚輝選手は「吉川尚輝チャイルドドリームプロジェクト」と銘打ち、今シーズンも成績に応じた金額を認定NPO法人「フローレンス」に支援金として贈ります。2023年は100万円を贈呈しました。現在、日本の子どもの7人に1人が、「相対的貧困」の状態にあり、一人親家庭に限ると、2人に1人が相対的貧困の状態にあると言われています。吉川選手は、そのような環境に置かれた子どもたちにも「夢を持って生きてほしい」という思いから、プロジェクトを立ち上げました。支援金は、フローレンスが行う「こども宅食」事業の活動に充てられる予定です。こども宅食事業とは、経済的な困難を抱える家庭に、食料品や日用品などを無料で届け、継続的なコミュニケーションをとることで、その家庭と関係を築き、必要な支援につなげる事業です。「今年3月に東京ドームで行われたオープン戦に子どもたちを招待しました。直接触れ合う中で、もっとたくさんの子どもたちが夢や希望を持って生活してほしいと強く思いました。そのためにも僕自身が憧れられるようなプレーをし、支援の輪を広げられるように頑張ります」(吉川選手)

◆菅野智之選手「介助犬支援」(2015年~)

 菅野智之投手は2015年に「菅野基金」を立ち上げ、介助犬の普及・育成を目指す社会福祉法人「日本介助犬協会」を支援してきました。介助犬は、肢体が不自由な方の手足となり、日常生活における動作を補助する犬です。菅野投手は、介助犬が世の中で知られていないことや、そもそも介助犬の数が少ないことを知って、「自分に何かできることがあるのでは」と活動を開始しました。毎年、自身のシーズン公式戦勝利数×10万円をベースにした支援金を寄付。2019年には同協会のサポート大使に就任しています。「2015年から支援をさせていただき、少しでも力になれればという思いで始めたこの活動も節目の10年目を迎えることができました。まだまだ力になれているとは思っていませんが、今後もこの活動を通して支援の輪が広がり、僕自身が最高の成績を残して、介助犬協会さんに貢献し、ファンの皆さんにもこの活動を知っていただけるように頑張ります」(菅野投手) プロ野球人の社会貢献活動を表彰する報知新聞社制定「ゴールデンスピリット賞」の第25回受賞者が、この菅野智之投手に決定しました。寄付支援やPR活動への協力など、多方面でサポートを継続的に取り組んできたことが評価されました。

◆菅野智之選手「エンジョイベースボールプロジェクト」(2022年~)

 菅野智之投手が2022年に開始した「エンジョイベースボールプロジェクト」を、今季も継続します。日本の野球競技人口の減少を危惧していた菅野投手は、「子どもたちが大好きな野球ができるように。そして、これからも続けられるように」とプロジェクトをスタート。菅野投手が中学校卒業まで軟式野球選手だったこともあって、公益財団法人全日本軟式野球連盟を通じ、学童野球や中学校の部活動で軟式野球に取り組む少年・少女の支援を行っています。今季もシーズンの成績をベースとした寄付金を贈ります。「僕自身、この活動を始めたきっかけが、学校の部活で野球をする中学生が少なくなっていることを知ったことでした。何かできることはないかと考え、もし金銭的な理由で野球をあきらめてしまう子どもがいるなら、一人でも減らしたいと思いました。軟式野球出身者として自分が活躍して、少しでも多くの子どもたちが野球選手に憧れ、野球選手を目指せる環境を作れるように頑張ります。そしてこの問題を野球界全体の問題として捉えてもらい、支援の輪が広がることを願っています」(菅野投手)

◆今村信貴選手「今村ランドセル基金」(2020年~)

 「ランドセル基金」は、今季から巨人の投手コーチに就任した内海哲也コーチが行っていた活動を、今村信貴投手が引き継いだものです。今村投手は2020年から寄付を始め、過去4年間で計85個のランドセルを東京都内や自らの出身地・大阪府柏原市の児童養護施設などに贈ってきました。2023年はシーズンの成績に応じたランドセル30個を寄贈しました。「昨年オフに都内児童養護施設でランドセルの贈呈式を行いました。新1年生になる子どもたちのキラキラした笑顔が忘れられません。今年も頑張って一つでも多くのランドセルを届けます」(今村投手)

◆大勢投手「川崎病支援」(今後)

 自身も生後間もない頃、右腕の全身の血管に炎症が起きる「川崎病」を発症しました。乳幼児の1,000人に3人の割合で発症し、40度近い高熱が出ます。そこまで知られていない病気で、採血が回ってこないこともあります。彼も苦労したので、知ってもらうきっかけになるように、同病患者の支援活動をするプランを明かしました。野球を通じて社会貢献をするつもりです。

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