伯雲軒の「ブドーパン」

◎週末はグルメ情報!!今週はブドーパン

 鳥取県境港市の「ブドーパン」は、地元の人々に長年親しまれてきた名物菓子パンです。名前は「ブドー」であって、「ブドウパン」ではありません。この昔ながらの商品名も、レトロな包装とともに魅力の一つでした。特に興味深いのは、単なるレーズンパンではないことです。干しぶどう、シナモン風味のパン、ラム酒入りバタークリームが組み合わさった、どこか懐かしく、少し大人っぽい味わいなのです。「伯雲軒」(はくうんけん)が長年製造・販売し、地元の人々や全国のパンファンから愛された伝説のソウルフードでした。同店が廃業するとニュースが流れた時には、テレビでも大きく取り上げられていました。米子天満屋4階の「秋の山陰ええもんうまいもの市」で販売されると聞きつけて、ぜひ一度食べてみたいものと、買いに行ってきました。

 パンに自家製バタークリームと、干しぶどうをはさんだ「ブドーパン」が看板商品だった境港市の菓子・製造メーカー「伯雲軒」が2022年3月25日をもって、後継者不在や高齢化、コロナ禍などの事情から、惜しまれつつ廃業して約2年。この度「伯雲軒のブドーパン」が、菓子製造会社「八雲ことぶきフーズ株式会社」より数量限定で復刻販売することが分かりました。「八雲ことぶきフーズ株式会社」は、伯雲軒の前経営者より、ブドーパンの製造工程やノウハウなどの事業承継を行い、復刻販売に至ったとのこと。鳥取県境港市中町に2024年3月にオープンした「MOGU (モグ)」にて販売されました。営業時間は10:00~15:00。売り切れ次第終了となります。

1. どんなパンだったのか?

① ふっくらしたパン生地

 干しぶどうを練り込んだ、コッペパンを思わせる生地。ふんわりしながらも、ほどよい噛み応えがあります。

② ラム酒入りの自家製バタークリーム

 このパンの最大の特徴です。クリームのコクにラム酒の香りが重なり、干しぶどうの甘酸っぱさとよく合います。

③ ほんのり香るシナモン

 ほのかなシナモンの香りが全体を引き締めます。現代的な生クリーム系の菓子パンとは違う、昔ながらの洋菓子のような風味が魅力でした。大人な味わいも特徴です。

④レトロなパッケージ

 昭和の雰囲気を色濃く残す、どこか懐かしいデザインの包装紙も長年愛されたポイントでした(写真下)。

 「伯雲軒」 は、1897(明治30)年に菓子製造業として創業した老舗です。戦後の配給パン製造をきっかけに製パン業へと進み、「ブドーパン」は60年以上にわたって地域の人々に愛されました。漫画家の水木しげるさんの好物としても知られています。ファンの間でも聖地的なご当地パンとして親しまれていました。またあの作家の京極夏彦氏がお店を訪れて「全部ください」と大人買いしたエピソードなども語り継がれています。昭和39年(1964年)には厚生大臣賞を受賞するなど、地域に根差したロングセラー商品として長年親しまれてきました。地元の幼稚園のおやつとして提供されていたこともあり、子どもの頃の思い出と結びついている人も多いパンでした。いったん廃業、そして復活へ。ここが、このパンの歴史で特に重要な点です。つまり、「伯雲軒」そのものは廃業しましたが、「ブドーパン」の味を受け継ぐ取り組みが行われたのです。

2. 現在も食べられるのか?

 2024年には、境港市中町の「MOGU」で数量限定の復刻販売が始まりました。さらに、2025年の情報では、八雲ことぶきフーズがブドーパンのクリームの味を再現した「伯雲軒のサンドクッキー」も展開しています。地元の人々に愛された味を絶やさないよう、地元企業や関係者によるイベント等での復刻販売が行われるなど、現在でも境港の食文化のシンボルとして語り継がれています。

 「ブドーパン」の魅力は、単に昔懐かしいというだけではありません。 レーズン、シナモン、ラム酒入りバタークリームという、今でも十分に個性的な組み合わせが、地域の記憶とともに受け継がれているところにあると思います。パンそのものが姿を消した時期を経て、味を残そうとする人たちが現れたことも、地域の食文化の面白さを感じさせます。❤❤❤

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