列車とホームの段差

  先日、松江駅の2番ホームに入って来た通勤列車で乗客が下りる際に、年配の男性が列車とホームの隙間に足をとられてあやうく転落しそうな場面を目撃しました。幸い何とか立て直して事なきを得ましたが、怖いなと思いました。私も股関節を手術した身で、膝も悪く、足元に不安があるので、乗り降りには細心の注意を払いながら気を付けています。山陰線・境線を走るキハ系の普通列車のステップとホームとの間には結構隙間や段差があるので、気を付けないとはまってしまいます。握り棒につかまりながら恐る恐る乗り降りしています。

▲山陰線松江駅のホームの隙間

▲境線米子駅ホームでの隙間

 列車の乗降口とホームの間に大きな段差や隙間があると、確かに怖いですね。特に、足を踏み出したときにホームとの間に隙間があると、転倒や転落したり、足を挟んだりする危険があります。実は、鉄道会社や駅では、この問題に対していくつかの対策を講じています。ただし、全ての駅で段差や隙間が解消されているわけではありません。日本の鉄道では、主に次のような対策があります。

① ホームの高さを調整する

 昔の列車(ステップが高い古い車両)に合わせて作られた低いホームそのものをかさ上げして、列車の床面との段差を小さくする方法です。ホーム全体を高くする場合と、乗降口付近だけ部分的に高くする場合があります。ただし、列車には床面の高さが異なる車両もあるため、全ての車両に合わせることは簡単ではありません。この工事が全国で順次進められています。

② くし状ゴムを取り付ける

 これは隙間対策として注目されている方法です。ホームの端に、くしの歯のような形をした柔らかいゴム製の部材を取り付けます。列車とホームの間の隙間を狭めています。車椅子の車輪が隙間にはまり込む危険を減らすだけでなく、一般の乗客にとっても乗り降りしやすくなります。万が一列車が接触しても衝撃を逃がす仕組みになっており、車いすのキャスターや足の挟み込みを防ぎます。例えば、つくばエクスプレスでは、約10cmあった隙間を、くし状ゴムの設置によって約6.5cmに縮小した実績があります。

③ 可動式ステップを設置する

 駅や車両によっては、列車のドアが開いたときにホーム側からステップがせり出す仕組みもあります。東京都交通局の三田駅(三田線)などに設置例があります。一部の路線や特急列車、新幹線などでは、列車が停車した際に、ドアの下から板状のステップが自動で飛び出したり、ホーム側から可動ステップが伸びて隙間を埋めるシステムが導入されています。

④ホームドア(可動式ホーム柵)の導入

 ホームドアがある駅では、ドア自体に足元を明るく照らし注意を促す点滅ランプや警告表示「段差注意」「隙間注意」が組み込まれているほか、設置に合わせてホーム縁端の段差・隙間解消工事が同時に行われることが多くなっています。

⑤ 駅員による介助

 段差や隙間が大きい駅では、車椅子利用者だけでなく、足腰に不安がある方や大きな荷物・ベビーカーをお持ちの方などに対して、駅員が渡り板(スロープ状の板)を設置して乗降を補助します。

⑥ 国土交通省が定めた段差・隙間の目安

 実は、国土交通省もこの問題を重要なバリアフリー課題として取り上げています。2019年の検討会では、車椅子利用者が単独で乗降しやすくなる目安として、次の数値が示されました。

◎段差→3cm・・・ホームと車両床面の高さの差

◎隙間→7cm・・・ホームと車両の水平方向の間隔

国土交通省の検討会による目安値。全ての駅に一律に義務付けられた数値ではありません。ただし、この数値を実現するには、列車の走行安全性も確保しなければなりません。特にカーブしたホームでは、車両の中央部などがホームから離れるため、隙間を小さくするのが難しくなります。

 対策は一体どこまで進んでいるのでしょうか?国土交通省の資料によると、2023年度末には、段差・隙間を縮小したホームを持つ駅は全国で1,148駅となり、整備可能な駅に対する整備率は約60%でした。さらに、2026年度から2030年度までの新たな目標として、4,000番線での段差・隙間縮小が掲げられています。つまり、改善は進んでいますが、まだ十分とはいえません。

 実際に怖いと感じる場合は、乗り降りする時に次のことを気を付けたいですね。

・無理に飛び乗ったり、飛び降りたりしない。

・手すり等につかまって、足元を確認してから乗降する。

・隙間が大きい場合は、駅員に声をかける。

・急いでいるときほど、駆け込み乗車をしない。

なお、鉄道のバリアフリー基準では、構造上どうしても隙間が大きくなる場合には、乗客に警告する設備を設けることも規定されています。「足元が広く開いているところがございます」といったアナウンスを自動放送で流し、乗客の意識を向けさせる工夫がされています。

 JR松江駅は高架駅で、JR山陰本線の普通列車は1~4番のりばを使用します。各ホームにはエレベーターは設置されています。しかし、これはホームへの移動を容易にする設備であって、列車との段差を解消するものではありません。今年3月新たに山陰線に導入された新型車両の「Urara」(うらら)はキハ系に比べて段差も隙間も小さくなっています。ありがたい!!❤❤❤

▲「Urara」はキハ系に比べて段差・隙間が小さい

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