ヘルナンデスの活躍

 巨人の助っ人新外国人・エリエ・ヘルナンデス外野手(29歳)が交流戦以降大活躍です。デビュー21試合で打率3割3分3厘(チームNO.1です)、4本塁打、12打点と得点力不足だった巨人打線の「救世主」となっています。長嶋茂雄終身名誉監督(88歳)からも「救世主がやってきた」と絶賛されています。これぞ「助っ人」という活躍です。阿部巨人の新たな「軸」となりつつあります。開幕前のオド-ア電撃退団の後、ヘルナンデスは5月10日にシーズン途中で巨人入りが発表され、5月28日のソフトバンク戦(東京D)から1軍に昇格しました。 「日本に来て時間もたってない中で、そういうふうに言ってもらっているのは本当にうれしいですし光栄です。どんな場所でも状況でも、ポジティブなものをチームに与えられるようにやっています」2011年にロイヤルズと契約し、2012年からマイナーでプレーしました。2022年にレンジャーズでメジャーデビューしましたが、メジャー通算では、14試合、打率1割8分2厘、0本塁打、3打点と実績を残すことはできませんでした。昨年3Aで記録した165安打、二塁打36本はともにリーグ最多でした。185センチ、89キロ。右投右打。推定年俸はたったの5,000万円です。国際スカウト編成陣が2年前の2022年からリストアップして注目してきたそうです。チーム事情からメジャー通算178本本塁打の左の大砲オドーアを推定2億円で獲得しましたが、開幕前󠄂に二軍調整を拒否して電撃退団してしまいました。代わりの打者としてスピーディな契約に至ったのがヘルナンデスです。ウォーカー(現ソフトバンク)や昨年途中に加入して今は抑えの切り札として大活躍のバルドナードも、メジャーの実績のない苦労人です。メジャーの実績ばかりを重視するのではなく、中南米や海外独立リーグ、マイナーまで先入観を持たずに幅広く目を光らせて原石を発掘しようとしている国際スカウト陣のビッグヒットでした。

▲6月18日付けの「スポーツ報知」で一面特集が

 陽気なドミニカンです。来日後もチームメイトに積極的に話しかけ、何とかチームに溶け込もうとしています。愛称の「エリ」もすっかり浸透し、今では長野、大城卓らと通訳を介さずに冗談を言い合っているそうです。すし、焼き肉などを好み、東京Dまで地下鉄で通うなど、日本文化にも興味津々です。北海道遠征では4度目の猛打賞で「スシ!スシ!スシパワー!」と胸を張りました。 「ゆっくりしゃべったら英語もなんとなく分かってくれるので。分かりそうな英語を選んでコミュニケーションをとっています。チームメートも歓迎してくれてありがたい」 その野球人生は6歳、ドミニカ共和国のリトルリーグで始まりました。「神童」として名をはせ、12歳からは「養成プログラム」の一員としてメジャー入りを目指しました。「月~金で4~5時間休みなく練習するんですが、努力をすればそれだけ結果が出るということを教えられて。自分のペースを崩さずやっていくことの大事さを知りました」 2011年に17歳でロイヤルズとマイナー契約。そこで出会った同郷の「恩師」の存在が今も心の支えになっています。  「プロで一番最初に出会った偉大な選手が、ミゲル・テハダ。自分は最初にカンザスシティー(ロイヤルズ)と契約したんですけど、1か月ぐらい一緒に練習して、打撃について教えてもらった。そもそも野球ってどういうものという話を一緒に練習しながら聞くことができて。今では本当にいい友人関係です」 5月30日のソフトバンク戦(東京D)では東浜のシンカーを狙い打ちして来日初本塁打を放つなど、初対戦の投手にも抜群の読みを発揮しています。投手心理に基づく駆け引きも、MLB通算2407安打、307本塁打を誇るテハダに教わったものだったと言います。「カウントによって『どういう時にどういう球を狙うのか』、『どういう時に強いスイングした方がいいのか』を教えてもらいました。自分の打撃をすることも大事ですが、時には相手投手の立場、配球を考えてスイングする。投手とのやり取りですね。プロとしてのキャリアの中ですごく、貴重な助言でした。『練習から打席に立ったらポジティブな結果をイメージして試合に臨むのが大事だよ』っていうのも彼から教えてもらいました。今も実行し続けています」

 チームは交流戦を8勝9敗1分けで乗り切り、セ・リーグでは首位・広島と3ゲーム差の4位(24日時点)。交流戦最終戦の日本ハム戦は2-3で敗色濃厚のところでしたが、ヘルナンデス選手の値千金のホームランで何とか引き分けに持ち込みました。目標はもちろん「チャンスをもらって感謝」という巨人を4年ぶりのV奪回に導くことです。まさに「個人より巨人」です。その上で、自身がその輪の中心にいることがジャパニーズ・ドリームにつながります。 「一スイング、一球一球に全力を尽くして目の前の試合に勝つ。過去に起きたことは変えられないので、ポジティブな精神で球場に来て勝つ。個人の目標より、チームに必要なことを考えてしっかりプレーする。目標はプレーオフに行って優勝することなので。それに近づけるように全力を尽くします」

 日本で最高のスタートを切ったヘルナンデスですが、マイナーでは結果を残し続けながらもなかなか昇格のチャンスに恵まれず、メジャー経験は2022年レンジャーズ時代のわずか14試合のみでした。「2~3年前」から日本でのプレーに興味を持っていましたが、背中を押してくれたのは、コロンビア在住の婚約者・アドリアーナさんでした。 「異国での挑戦になるけど頑張ってほしいと。(巨人入りが)決まった時は非常に喜んでくれました。どういう選択をしても自分のことは常に応援してくれています」 昨年9月に代理人を通じて「日本のジャイアンツから話が来てるよ」と連絡を受けて開けたNPB挑戦の道。吉村編成本部長ら巨人関係者への感謝も口にした。 「日本に行くにあたっての不安、例えばヒゲをそらなきゃいけないとか、いろいろなルールを聞いていた。そういう面の質問とか、全て丁寧に答えてくださった。非常に歓迎してくださっていたので、うれしかったし感謝しています」 座右の銘は「努力はウソをつかない」で、自宅でも相手投手の動画研究を怠りません。阿部監督「野球に対する姿勢は素晴らしいなと思って、いつも練習中も見ている。若い選手もお手本にしてほしいなっておもうくらい、素晴らしい選手」と絶賛します。 

 6月23日のヤクルト戦。2連敗で迎えた苦しい試合展開の中で、点差を広げるポールぎりぎりに入る2ランホームラン(リクエストでファール判定が覆りました)。守っては1点差の5回、山田のセンター大飛球を塀際を支配し、フェンスに激突しながらもジャンプ一番キャッチすると、併殺に取ったプレーがピンチを救いました。攻守に大活躍です。まさに「ヘルナンデス劇場」でした。

▲5月24日「スポーツ報知」

 日本の野球を格下に見て、見下すような選手は決して大成しません。日本の野球をリスペクトし、日本文化を積極的に吸収して受け入れようとし、ハングリー精神に富んで謙虚な選手が日本では成功します。ヘルナンデス選手を見ていると、まさにこの条件にピッタリ当てはまると感じています。日本でひと旗揚げたい、何とか日本の野球にアジャストしたいという強い気持ちを感じる選手です。♥♥♥

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