doggie bag

◎今週は英語語法特集!!

    Could I have a doggie bag, please?(食べ残しを持ち帰りたいのですが)

 『ライトハウス英和辞典』(研究社)では、doggie [doggy] bag [名][C]食べ残し持ち帰り袋《レストランで客に渡す》.[由来]犬にやるという口実で持ち帰ったことから.とあります。他の辞典の扱いも同様です。

《口》(レストランで渡した料理の)持ち帰り袋 [オーレックス]

(レストランで客に渡す)食べ残し入れの袋,持ち帰り袋 [サンライズクエスト]

 確かに“a small bag for taking home the food that is left over from a meal in a restaurant” [LDOCE]や、“(informal) a bag for taking home any food that is left after a meal in a restaurant” [OALD]とありますから、これを訳したものです。昔は本当にシンプルな紙袋やビニール袋に包んで渡されることもあったために、“bag”と呼ばれていましたが、現代のレストランでは残った物を持ち帰る場合、プラスチック製や紙製のしっかりした容器(ボックス)に入れてくれるのが一般的です。地域や店の種類によりますが、渡されるのはプラスチック容器のほうが多い印象です。そのことは、すでにMacmillan English Dictionary(2007)に、“a bag or box that you take home from a restaurant containing the food that you did not finish eating”とあります。

 一般的には次のような傾向があります。

◎汁気のある料理(カレー、パスタ、中華など)・・・ふた付きのプラスチック容器が一般的です。

◎ピザやハンバーガー、サンドイッチ・・・元の箱に入れたり、紙袋や紙箱を使うことが多いです。

◎パンや焼き菓子・・・紙袋やビニール袋に入れることがあります。

◎ステーキや洋食などのレストラン・・・持ち帰り用のプラスチック容器に詰め替えることが多いです。

 『ジーニアス英和辞典』(第7版、大修館)では、「《米》(レストランなどで食べ残した物の)持ち帰り用の袋[容器]」としています。以前の第6版の時は「袋」だけでしたから、時代の変化を捉えて編者が書き加えた記述と思われます。細かなことのようですが、ここら辺の記述が辞典編集者の観察眼が活きるところなのです。ただし、イギリスでも使われるので(cf.  LDCE, OALD, MED)、《米》のレーベルは落とした方がよいと思われます。

 なお、「doggie bag(ドギーバッグ)」という言葉はもともと「食べ残しを持ち帰るための袋」という意味でしたが、現在では実際には袋に限らず、持ち帰り用の容器全般を指すことがあります。そのため、「doggie bagをください」と言っても、渡されるのはプラスチック容器であることが珍しくありません。袋は補助的に使われるだけのことが多く、容器を入れて持ち運びやすくするための弁当袋に使われ、中身を入れる用途ではほぼ使われることが減っています。こと最近は環境への配慮から、紙製容器や植物由来の容器を使う店も増えていますが、密閉性や液漏れ防止の観点から、特にレストランではプラスチック容器が依然としてよく使われています。結論から言うと、現在の米国では「袋(Bag)」よりも「プラスチックや紙などの容器(Container / Box)」の方が圧倒的に主流です。そのために店員さんも“bag”ではなく、“(takeaway) box”や“(takeaway) container”という言葉を使うことが多いんです。「doggie bag(ドギーバッグ)」という言葉に「bag(袋)」が入っているため、袋をイメージされるかもしれませんが、これは歴史的な名残によるものです。

 米国の飲食店での残り物の持ち帰り事情は、現在、以下のようになっています。

1. なぜプラスチック「容器」が多いのか?

 アメリカのレストランは一皿のボリュームが非常に多く、食べ残した料理(leftovers)を持ち帰る文化が完全に定着しています。汁気のあるパスタ、ソースのかかったステーキ、ハンバーガーやフライドポテトなどをそのまま袋に入れると形が崩れたり漏れたりしてしまうため、しっかりと閉まる立体的な容器が使われます。汁漏れ防止・耐熱性・衛生面の安全性が袋よりも高いからです。汁物・油分の多い料理の場合は、袋では漏れやすいのです。袋は耐熱性が低いので、電子レンジ加熱を想定して容器としています。清潔な浅い容器に入れることによって、食中毒リスクを下げることが推奨されているのです。

2. よく使われる容器の種類

 使われる容器は、お店のタイプや地域の環境規制によって異なります。

◎プラスチック容器(主流):透明な蓋付きの円形・四角形のパックや、上下がパカッと開閉するクラムシェル(貝殻)型の黒・白のプラスチック容器が非常によく使われます。電子レンジ対応(Microwavable)のものも多いです。

◎紙製・生分解性の容器(増加中):環境意識への高まりから、中華料理のテイクアウトでよく見る四角い紙箱(ペイル箱)や、サトウキビの繊維などを原料にした茶色いエコ容器を採用する店が増えています。

◎アルミ容器:丸いアルミ皿に紙やプラスチックの蓋をするタイプも、温め直しがしやすいため根強い人気があります。

◎発泡スチロール(減少傾向):かつては定番でしたが、環境への影響からニューヨークやカリフォルニアなど多くの都市・州で規制や禁止が進んでおり、急速に姿を消しています。

3. 「袋(Bag)」の役割

 料理自体は上記の「容器(to-go container)」に入れられ、それらの容器をまとめて持ち運ぶために最終的にプラスチックや紙の手提げ袋に入れられて渡されます。料理を直接袋に詰めるわけではありません。

 現代のアメリカでは、レストランで「Doggie bag」という単語を使う人はかなり減っています。少し古めかしい表現、あるいは冗談めかしたニュアンスに聞こえることがあるためです。とはいえ、年配の人は今でも使うことがあり、映画やドラマにおいては今でも耳にするし、レストランで言えば問題なく通じます。もし現地で食べ残しを持ち帰りたい時は、シンプルに以下のように言うのが最も自然で一般的です。

“Can I get a to-go box?”(持ち帰り用の箱をいただけますか?)

“Could you wrap this up for me?”(これを包んでもらえますか?)

“Could I get a box for this?”(これを入れる箱をもらえますか)

“Could you box this up, please?”(箱に詰めてもらえますか)

 なお「犬にあげるため」という本来の建前よりも、自分で後で食べるために持ち帰るという意味で普通に使われます。近年は食品ロス削減の意識も高まり、カジュアルなレストランも増えたため、食べ残しを持ち帰ることは以前よりも一般的になっています。to-go boxやtakeout containerのような実際の容器を表す言い方が主流になっています。♥♥♥

▲Doggy bags, many types of take-out containers

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