財津和夫さん新著

 元「チューリップ」のボーカル&キーボード奏者の財津和夫さんが本を出されました。題名は『私のいらない 「心の旅」のいま』(廣済堂新書)です。財津さんの作った「青春の影」という唄が大好きだった(→コチラに私の記事)私は、早速買って求めました。この本、ずっと前に出ることになっていて、ずいぶん待たされました。

 財津さんの現在の率直な心持ちが至るところで披露されています。2009年発売のアルバム『ふたりが眺めた窓の向こう』は失敗だった、と認めておられます。売れないチューリップ時代に「心の旅」が出る前の崖っぷちの苦悩・葛藤・とまどいも正直に吐露しておられます。現在の「応援ソング」全盛の風潮に対しても、牽制球を投げておられました。

 「3・11」以降、「がんばれ、がんばれ」と連呼するような「応援ソング」が巷にあふれているのは、いかがなものかと感じています。「3・11」に乗っかってきれいごとを言ったり、自分の美学を訴えようとする唄が多いこともひっかかる。ほんとうに役に立っているのかな、励まされる側が疲れてしまうのではないかなと、心配になるんです。

 じつは「がんばる」や「がんばれ」という言葉はあまり好きではないんですよ。だから、歌詞にIMG_2644もほとんど使っていません。昔は、ライブのときに客席から「がんばって!」と声をかけてもらうことも嫌でした。生意気にも、「そんなこと言われなくても一所懸命がんばっているよ、こっちは」なんて思ってましたからね。皮肉っぽく「がんばっていないように見えますか?」と、客席に言い返したこともありましたっけ。でも、今はちがいます。体力面を考えるとステージはやはりキツイ。よく「昔と変わらない歌声ですね」と言っていただくのですが、実際はものすごく変わっている。ファンのみなさんをがっかりさせないよう、断崖絶壁に小指一本でしがみついているな状態なので、「がんばって!」という声援が大きな力になるんです。他人に「がんばれ、がんばれ」と一方的に励まされる「応援ソング」は押しつけがましいけれど、近い仲間からの「がんばれ!財津!」という声援はありがたい。ま、そういうことでしょうか。

 財津さんの長いアーティスト人生の中でたどりついた、「あきらめない」「がんばれ!」「個性」「安っぽい愛の言葉」「答え」はいらない、が結論でした。陽だまりの中に、新しい癒やしや安堵感を提案してくれる本でしたね。財津さんは小田さんと同級生、もっともっと活躍し続けてほしいアーティストです。HPで財津さんの「気ままなつぶやき日記」を読んでいますが、何とも微笑ましい財津さんらしい文章です。⇒コチラです

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