be familiar with~の語感

 参考書に載っている次のような用例をどう思われますか?違和感はありませんか?

We are familiar with the song.
   私たちはその歌をよく知っています。

be familiar with~=「~をよく知っている」という不用意な理解をしておられる先生方が結構おられます。でもこの表現は、”I have heard it before and remember it”くらいの意味で「私たちはその歌を何回か聞いたことがあります」と訳すべきものです。必ずしもよく知っているという意味ではありません(=a person has some knowledge about something, not necessarily that he knows it well) この点では、いつもは信頼のおける『ロングマン現代英語辞典』(LDCE)も(他の辞典同様)正確ではありません。ネイティブの語感を捉えた定義は次のようなものです。

having some knowledge about (something) : We are familiar with the situation.(=we know about the situation)  [Merriam-Webster’s Advanced Leaner’s English Dictionary]

私たちの『ライトハウス英和辞典』(研究社)では「必ずしも詳しく知っていることは意味しない」と注記をしています。

 ところが厄介なことに、It was a familiar song.は「それはよく知っている歌だった」(=It was a song I knew very well)という意味になります。この意味をそのまま上に当てはめてしまったために起こった誤解だと思われます。英語も一筋縄ではいきませんね。念のために故ボリンジャー博士の見解を紹介しておきます。いつもながらに鋭い指摘が見られます。

    I can say that I am familiar with something if I have barely more than an indexical knowledge of it―enough to know where to turn to find out more. I believe that most Americans would agree that it does not imply intimate knowledge. Oddly, however, when intensified with quite it does imply intimate knowledge : I’m quite familiar with that. And it does not exclude intimate knowledge : Are you familiar with that ?―Yes.―How familiar―really familiar?

    On the other hand, a familiar song is a song that is known well, just as a familiar fact is one that practically everyone knows.

さらに、be familiar with~の後に人が続く場合、単なる親しさではなく、馴れ馴れしく度を超した不快な親しさを表すこともあり(文脈に依存するところが大きいが)、tooの修飾を受けることが多い、という赤野(1985)の指摘も心に留めておいてよいでしょう。このように理解が不十分な表現が、現場には数多く見られるんです。また紹介しますね。

 今日も私のブログをのぞいていただきありがとうございました。チームの輪が少しずつ広がっています。嬉しいことです。

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