アンストッパブル

 先週金曜日に、テレビの地上波で『アンストッパブル』2010年公開)をやっていましたね。私は公開当時映画館で観て、ブルーレイが出たときには購入してまた見て、今回で三度目でした。ひたすら暴走する貨物列車をどう止めるのかという、ただそれだけの物語(98分)なんですが、何度見てもこれが面白いんです。トニー・スコット監督デインゼル・ワシントンのコンビは『サブウェイ123』でもお馴染みです(これも面白い作品で映画館で観ましたが、興行的にはイマイチだったとか)。オハイオ州で2001年5月15日に起こった戦慄の鉄道事故の実話に基づく作品です。⇒映画の公式ホームページはコチラ

 操車場に停車中の最新式貨物列車777号(39両編成)が、整備員のミスによって無人のまま走り出します。大量の発火性の強い有毒化学薬品フェノールとディーゼル燃料を搭載した777号を止めるべく、鉄道会社と警察は手を尽くすのIMG_2178ですが、列車はさらに加速していきます。このまま暴走を続ければ、巨大ミサイルと化してスタントン郊外の急カーブで脱線、大惨事が予想されます。ヘリコプターから人を降下させようとしますが、機関車に激突し負傷して失敗します。前に回り込ませた機関車で減速して側線に誘導しようとしますが、減速しきれずに、機関車だけが脱線転覆爆発炎上します。暴走を続ける貨物列車を、ポータプル脱線器を使用して市街地で脱線させようという試みは、あまりの重量に脱線器が列車にはね飛ばされて失敗します。この状況を知った解雇直前のベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)は、この日初めてコンビを組んだウィル(クリス・パイン)と共に、決死の覚悟で暴走列車に立ち向かいます。貨物列車777号最後尾の連結器が解除されているのを見て、旧式機関車で追いかけて、後部から引っ張って強制停車させようとするのです。

 実はこの作品、意外な伏線があるんです。朝の操車場。仕分け線に並んだ多くの列車。ガタン、ガタンと、貨車が触れあいながら動き始めます。このシーンはあの黒澤 明監督がハリウッドで撮ろうとして、諸般の事情からお流れになった作品の出だしの部分とうり二つなんです。黒澤監督は、ひたすら暴走するスピード感あふれる映画を撮ろうとしました。この黒澤版『暴走機関車』でやるはずだったことを、この『アンストッパブル』は次々と見せてくれるんです。アメリカ映画でお約束の、家族の絆・夫婦間の隙間風・微妙な親子問題といったものも、暴走中の会話で必要最小限にさりげなく触れるにとどめ、とにかく列車の暴走ぶりに専念して、私たちをぐいぐいと引き込んでくれるんです。

 同類の暴走映画『スピード』『サブウェイ123』『新幹線大爆破』に出てくるような悪役は登場しませんが、この暴走列車は、スイッチひとつでとんでもない方向へ走り出し、世界を脅かす現代のIT管理社会を写していると考えて、それになりふり構わず人生を賭けて無謀に立ち向かう主人公たちの気概を思うと、何だか面白くなってきます。臨場感あふれるアクション・シーンの連続は度肝を抜く迫力ですが、ブルーレイ・ディスクに付いてきた特典メイキング映像を見ると、さらに面白く観ることができます。この作品が遺作となったトニー・スコット監督自身による解説(2012年8月橋から飛び降りて自殺、68歳でした、脱線シーン撮影の舞台裏、超絶スタントの撮影現場、出演者の対談などが収められています。

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