お金のありがたさ

 作家の浅田次郎さんが、こんなことを書いておられて、なぜか心にズンと響いたのを覚えています。

 幸福論を語るときに、お金を否定する人たちがいます。幸福はお金なんかじゃない。お金で幸せは買えないと。私はそれは違うと思う。幸福は金で買えると明言しています。ただし、ブランド品が買えるとか、海外旅行に行けるとか、そういうことではない。金があれば、お米が買えるということです。私は売れない時代に、どん底の貧乏も経験している。米が買えないことが、どれほど不幸なことかも知っています。だからこそ言えることなのです。お金なんかなくても幸せになれると言う人たちは、本当の貧乏を経験したことのない人です。もちろん貧乏など経験しないに越したことはないでしょうが。貧乏は人の心を歪めます。正しいものの考え方ができなくなる。これだけは事実です。そしてそれは、決して幸福な姿ではありません。何も不必要に金に執着することはない。ただ、心を歪めないだけのお金は必要なのです。大きな意味で貧乏は、やはり罪なことだと私は思っています。

 「貧乏」はつらいものです。でも心を鍛えてくれます。ちょっとやそっとの苦しみではめげません。先日ご紹介した、草を食べたCoCo壱の社長さんの話を思い出してください。⇒コチラです  昨年大ヒットしたNHKドラマ「かすていら」でも、さださん一家に借金取りが押しかける場面がありましたね。お父さんが材木業で羽振りのよかったさださん一家は、山の手の二階建ての邸宅で、部屋数が10室、階段が二か所、お手洗いも男性用二つ、女性用が三つ、広い庭には築山があって、錦鯉が泳いでいました。ところが、昭和32年の諫早大水害で大損したのが原因で、家業が傾き、その大邸宅から、借金取りの声が隣に筒抜けの二軒長屋に引っ越します。ここら辺の苦しい様子は、さださんの「転宅」(てんたく)という歌で詳しく触れられています。生活は苦しかったらしく、魚を入れる木箱を一個幾らで作る内職暮らしでした。三歳から習い始めたバイオリンも、小学三年生のときに一年だけ休んでいます。バイオリンの先生が「お金のことは心配しなくていいから来なさい」と言ってくださり、両親もせっかくだから続けさせるか」ということにしました。毎日学生音楽コンクール西部地区大会で、小学5年生で三位、6年生では二位と連続入賞を果たし、長崎では「天才バイオリン少年」として知られるさだまさしさんが生まれました。こうやって彼は生活の苦しい中、バイオリン修業を続けたのでした。彼がそこそこの苦労でめげないのは、こういった幼少体験があるからかもしれませんね。(⇒「さださんの借金」についてはコチラ

▲さだまさし4000&4001in日本武道館のCD 下は五番街で購入した記念品

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