私の大好きなパケット・トリックに「ワイルド・カード」があります。8枚の同じトランプがあります(たとえば全部ハートの7)。そこに1枚だけ別のトランプを付け加えます(ジョーカー)。すると、ハートの7が1枚ずつすべてジョーカーに変化していくというものです。大変鮮やかで、強烈な変化現象ですね。カードマジックを覚えたての頃に、のぼせて練習した思い出のある作品です。
この「ワイルド・カード」の原案は、イギリスのピーター・ケーン(Peter Kane)です。1962年に発表し、同年、それをニューヨーク在住のプロマジシャン、フランク・ガルシア(Frank Garcia)が売り出し、世界的な大ヒット商品になりました。当時、マジックの世界では原案者に対しての配慮などが行き届いていなかったため、コピー商品が山ほど出回っていました。世界的に最も売れたパケット・マジックと言ってよいと思います。
ワイルド・カードは、世界中のマジシャンが、さまざまなバリエーションを発表していて、とんでもない数の作品が存在しています。私が一番気に入っているのは、最近お亡くなりになったAldo Columbiniさんの“Fly Cards”で、ハエが次々とペシャンコにつぶされていくというものでした。マジシャンは大きなハエの描かれた4枚のカードを取り出し観客に見せます。これらをテーブルにふせて並べ、その上に表が白いカードを、それぞれ3枚ずつのせて4つの山を作ります。すると、1つ目の山からハエがいなくなって、カードは4枚とも真白になっています。2つ目の山を見ると、そこにはハエカードが2枚あります。今度は2匹同時に3つ目の山に飛び移り、3枚のハエカードが集まっています。おまじないをかけると、この3匹も全て消えてしまいます。さあ、最後の山です。これでもうハエの逃げ場はありませんね。手の平で4枚のハエカードを捕まえようと、カードの上から手でパチンとたたきます。カードを表向きにすると、カードに書かれた4匹のハエはつぶれて血が出てペチャンコになっているではありませんか。アルドさんの大傑作です。
このように「ワイルドカード」は、今までに数限りなく発表されていますが、子ども向けに作られているのは、あまりありませんでした。今日は「子供の日」ですから、子ども向けのワイルドカードをご紹介してみます。今回のポール・ロマニーの「ワイルドカード・フォー・キッズ」は、絵のパケットですから、見ていて変化がよく分かり、子供でもすぐに理解できます。パケット・セットが2種類入っています。1つは猫の絵が描かれている物「コピーキャット」(マンドリンの赤裏)。青い猫は「物まね猫」だと言います。4枚中1枚は赤い猫。青い猫が真似をして、赤い猫になってしまうというものです。もう1つは、スマイルマークを使っている「ハッピー・フェイス」(ライダーバックの青裏)。5枚中1枚は笑顔で、残りは泣いています。でも、笑っている顔でおまじないをかけていくと、全て笑い顔に変化します。枚数も少なく、非常にさっぱりしていますし、手順もシンプルです。これ、気に入っています。
同様に、最近入手した子ども向けのワイルドカードに「ワイルド・モンキー」という、オフィスマジックファンタジアがワンコイン(540円!信じられない価格です)で販売しているものがあります。6枚はバナナの絵の描かれたカードで、1枚だけがお猿さんの絵の描かれたカードです。そう言って、バナナのカードを見ると、バナナは消えていてお猿さんのカードになっています。このように、次々とバナナのカードはお猿さんのカードに変化していきます。最後には全てのカードがお猿さんのカードになってしまうのです。♠♣♥♦


