I persuaded her into doing the work. (私は彼女を説得してその仕事をさせた。)
上の用例に見るようなpersuade+人+into V-ingの語法は一般的なのでしょうか?『ライトハウス英和辞典』の校閲作業の中で、編集委員のアルトハウス先生は「LDOCEにはこの用例があるけれど、自分は不自然だと感じる(英用法?)。persuade her to do the workと言うだろう」と述べられました。編集顧問の故・ボリンジャー博士も、このアルトハウス先生の意見に同意されました。博士はその理由にまで踏み込んで考察を加えておられます。
この語法は明らかに他の使役動詞、特にcoaxの影響である。
He kept coaxing me to do it, but he didn't succeed.
成功したことを示すには次のように言うだろう。
He coaxed me into doing it.
同様のことが、urge me into doing it, talk me into doing it, push me into
doingにも言える。persuade... to Vは「成功」したことを意味するので、私には
非文である。
*He kept persuading me to do it but he didn't succeed.
したがって「成功」を意味するために、?persuade me into doing itをさらに認
める必要はないのである。それは不定詞のpersuade me to do itでカバーされて
いるのだから。しかし、coaxとpersuadeは意味が非常によく似ているので、両者
を混同したネイティブ・スピーカーがいても不思議はない。もちろん、誰かがこ
の語法を使ったとしても自分も見逃すかもしれない。しかしアメリカ英語の標準語法で
はない。(以上ボリンジャー博士の見解)
もちろん、LDOCE, OALD, COBUILD, CALDにも、はっきりと記載のある語法ですから、間違いではありません。実際イギリス人教授が次のように言っていることからもそれは明らかです。
This pattern is certainly very common in British English, alongside the pattern ‘persuade … to do ‘. I hesitate to comment on frequency/ difference in nuance as regards the two patterns, but I suppose ‘into doing’ is mariginally more colloquial. But it is relevant that Longman Dictionary of Phrasal Verbs gives no speech label in their entry. In any case, I think you can safely assume that ‘persuade … into doing’ is a fully acclimatised pattern in British English.
しかしながら、私たちの編集顧問イルソン博士は”The Suvey of English Usage”のコーパスにあたった結果をお知らせいただきました。persuadeの用例は書き言葉で18例、話し言葉で8例がみられました。その中にpersuade somebody into doing soemthingの用例は一例もありません。ただpersuade somebody into an arrangementが一例あるのみです。辞書の用例としては、persuade somebody into NPを示すことはあっても、persuade somebody into V-ingを示す必要は認められない、とのご意見でした。さらには、LDOCE, COBUILDには記載があるものの、そのアメリカ版辞典からは削除されていることからも、どちらかといえば、<イギリス語法>と言ってもよいかと思われます。各種英和辞典に載っているこの語法の用例は、以上のようなことを頭に入れた上で、読み解く必要があります。
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