aggressive

 私がまだ学生時代の話です。イギリス留学(ロンドン大学)から戻られたばかりの故・安藤貞雄(あんどうさだお)先生の英文法の授業で(Jacobs and Rosenbaum English Transformational Grammarがテキストだったと記憶しています。安藤先生というと、伝統文法、英文法史がご専門と思われる方が多かろうと思いますが、当時のありとあらゆる最新言語学にも造詣が深かったことは、この使用テキストからもわかりますね)、当時売り出し中で、有名になりつつあったロンドン大学の同僚女性教授を評して、先生は「彼女はとてもaggressiveな学者でね…」と語られました。当時、大学生だった私は「積極的な」学者なんだなあ、と漠然と理解していたように思います。今ならその意味するところをもう少し正確に捉えることができるんですが(笑)。人に議論をふっかけては、挑戦的な態度で論争し、自説を絶対に曲げようとしない好戦的な学者、という否定的なニュアンスでおっしゃっていたのだと想像します。

 和英辞典で「積極的」を引くと必ず出てくるのが、このaggressiveという単語です。ただこの単語には、若干注意が必要です。aggressiveは、とても危険な意味をはらんだ単語なんです。例えば、「I work for an aggressive company.」というように訳すと、英語圏の人には、この人は暴力団にでも入っているという印象を与えてしまうとのことです(ルーク・タニクリフ『「さすが!」は英語でなんと言う?』(大和書房、2017年)。なぜならaggressiveは「好戦的」という意味になるからです。多くの和英辞典に挙がっている「an aggressive salesman  押しの強いセールスマン」にもやや問題があります。He is a very aggressive salesman.と言うと、「彼はとても積極的なセールスマンです」という良い意味ではなくて、「彼はとても押しの強いセールスマンなので沢山の人に迷惑をかけている」という否定的なニュアンスになるのです。そこら辺のニュアンスは、Oxford Learner’s Thesaurus : A Dictionary of Synonyms (2008)に、“(sometimes disapproving)  behaving in a very determined way in order to succeed or to get what you want” と出ていますね。

 ただし、辞典にも取り上げられている通り、aggressiveが「積極的」の英訳として使える場合もあります。値段を積極的に下げるという時には、このaggressiveが良いでしょう。“used about plans or methods that are designed to do everything possible to succeed”(MED)の意味の場合には、良い意味で使われます。

   Our company is carrying out an aggressive price-cutting strategy.
     弊社は積極的な値下げ戦略を行っています。

 多くの場合はproactive/positive「積極的な」の最も適切な英訳になるのでしょうが。詳しくは上記の本を参照ください。♠♠♠

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