鉄壁ルーキー門脇誠

 巨人のドラフト4位・門脇誠内野手(かどわきまこと、創価大)の守備はすこぶる超一級品です(出場75試合でわずか1失策)。華麗な守備、堅実な守備で味方のピンチを何度も救ってきました。身長171cmと小柄ながらも、安定したスローイングと冷静なグラブさばき、さらにはガッツあふれるダイビングキャッチなど、安心感を与えるだけでなく、時にはエキサイトさせるシーンが数多く見られます。そんなたまらない守備を随所に見せる門脇選手に、私は熱視線を送っています。三遊間の深い位置からも、当たり前のようにダイレクトで一塁に投げられる鉄砲肩。なのに、強肩を見せつけるように強く投げすぎないのがいいんです。強く投げたがる内野手は、大きく上にふかすか、指先に引っかけてライト方向に逸れてしまいます。門脇選手の送球は、いつも安定していて一塁手の肩よりも低い位置に来ます。地肩そのものは“120メートル級”の猛肩だから、「併殺のとれる遊撃手・二塁手」としても重宝されるはずです。7月26日の阪神戦でも、3点ビハインドの5回。フラフラッと中堅前に上がった近本の打球を、抜群のスタートを切った門脇は背走し、一切スピードを緩めることなく落下地点に迫ると、後ろ向きのままグラブを持つ左手を目一杯伸ばし、身体も投げ出しながらダイビング。執念で白球を収め、虎党で埋め尽くされた甲子園球場が騒然としました。衝撃の背面ダイビングキャッチです。守備で銭の取れる数少ない選手です。彼の守備の特徴を挙げるなら、①打者によって守備位置を変える予測力、②打球に対する反応がすこぶる良いこと(一歩目が速い)、③球際の強さ、④捕球後の送球の強さ、です。吉川、坂本、門脇の三人の守備力が、今の巨人を支えています。

 彼は、創価高校1年夏の都大会から、創価大4年秋のリーグ最終戦まで、7年間で公式戦116試合、999フルイニングの連続出場を続けました。これだけ長期的に継続できるということは、体の強さはもちろんのこと、心の強さも欠かせません。ここら辺の強さを春のキャンプで見抜いた原監督は、「ストロング門脇」と命名しました。キャンプの時から原監督「守備は一級品。打つ方はまだだけどな」と高く評価していました。門脇のようなタイプは、一瞬だけドーンとブレイクする選手ではありません。ポジション一つを任せて、少々のことは目をつぶりながら使い続けたら、いつの間にか立派なレギュラーに台頭している、使ってもらう方も辛抱なら、使う方はもっと辛抱しなくてはなりません。そのあたりの腹の括り方が双方で実現できた時、また新しい個性のあるマルチな内野手が誕生することでしょう。坂本に続くショートのレギュラーは門脇だろうと思っています。ただもうちょっと打てるといいのですが(だいぶん試合慣れしてきて、一試合に最低一本はヒットを打てるようになってきました。打率も一気に上昇中です。最近はセンターから逆方向を意識した力強い打撃が光ります)。5月9日のDeNA戦ではメジャーのサイ・ヤング投手トレバー・バウアーから本塁打を含む3安打を放ちチームの勝利に貢献しました。プロの世界でもやっていけることは十分に証明できました。あとはどれだけ実戦経験を積めるかです。坂本が帰ってきても、使い続けて欲しい選手です。世代交代が叫ばれる巨人で、勢いだけでなく安定感のある門脇は間違いなく戦力になるはずで、これからの活躍が楽しみです。

 まずはここまでのシーズンについて聞かれ「自分の中では1軍にいることでいろいろなことを感じながらやっています。守備としては自分の持っているものを出せていますし、今はサードを守っているので、打球の予測であったり“こういう打球が来るな”っていうのは各バッターで予測して、それぞれ(守備位置を)変えて、一歩目を意識して守っています」と答えました。続いて、門脇選手にとって守備でのスーパースターは誰か?との質問が。まずは「タティスとか」とパドレスでプレーするフェルナンド・タティス(24歳)の名前を挙げました。そして、「よく言っていたのは(元ヤクルトの)宮本慎也さんとか。そういう堅い守備の人ですかね。小さいころは今宮健太=ソフトバンクさんとか。ファインプレー集を見てましたね」と語りました。プロ一年目ながら、今季は一度も2軍に降格することなく戦い続けています。「やっぱり打ってなかったら今出ていないと思いますし、新人とかはあまり関係ない。今いる立場でしっかりと結果を残したいと思います」と。現役時代にゴールデン・グラブ賞6度の川相総合コーチも門脇の守備を、「もともと持っているものが素晴らしい。特にスローイングがいい。捕ればアウトにできる」と絶賛しています。春のキャンプ中から、川相コーチとハンドリング練習を継続。「最終的に続けているのは門脇と中山。継続してやるという気持ちも素晴らしい。そこが一番大事かもしれない」と目を細めています。

 小さい頃から父子家庭で育った門脇選手のお父さんの「子育て論」では、子育ては「水たまり」に似ていると言います。目の前の水たまりを越えるために、どうすべきか。大人が先に飛んで見本を見せる。右足から飛ぶ。両足で飛ぶ。飛ばずに回り込む。いろんな方法がありますが、目的を果たせればどれも正解です。 子どもに教え込みすぎず、自分なりの方法で水たまりを越える術を身につけさせる。これが大事なのではないかと言います。彼は今、プロ野球という厳しい競争社会で、史上最大級の「水たまり」を越えようとしています。♥♥♥

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