櫻木健古

 櫻木 健古(さくらぎ たけふる)さんの人間における強さの探求』(ワニ文庫)を読みました。今ではもうほとんど忘れ去られた著者による自己啓発の本です。コレ、実に面白かった!著作の全部がすでに絶版になっています。そこで 「ブックオフオンライン」で手に入れることのできる作品を全部取り寄せて、読んでみたのが今から三年前のことでした(写真下参照)。

 櫻木さんは、1924年中国の上海に生まれています。 愛知一中、第八高等学校を経て、京都大学の文学部を中退。 一年半の教員生活の後、中日新聞社に入社。外信部記者・ドイツ特派員として活躍、その後独立して著述生活に入ります。 幼児期から青年期まで、心身ともに虚弱であった著者が、それをみずから克服し、 その体験を基に自己強化に励むという内容の著作が多く見られます。 著書には、『太ッ腹をつくる本』『心が強くなる本』『度胸をつける本』の3部作があります。

 「心が明るいから、幸せへの感性も鋭くなる。 しあわせを容易に発見するから、 心がまた明るくなる、という循環をくり返すわけである。 幸福な人とはみなそういうものなのであろう。」「人生はやり直すことができない。しかし見直すことはできる」といった人生の名言に溢れた作家です。生き方のヒントになるエピソードが満載でずいぶん勉強になりました。

 先週偶然に、松江・古志原(毎週自転車で温熱療法に通っています)のスーパー内にある古本屋さんで、この櫻木さんの『強いリーダーの条件~「人を動かす力」とは何か』(PHP文庫、1997年)を見つけて懐かしくなって購入しました。リーダーシップに関する技術論はたくさんの本が書かれていますが、この本はちょっとひと味もふた味も違っていました。リーダーのことを語るのに、サルの社会を例にとって、サル社会におけるリーダーシップの在り方を人間の組織に持ち込んで、ズバリ核心に触れています。「強いリーダーの条件」とは、下に示すように、サル人間は全く一緒だと言うのです。

①年齢的には、壮年期であること。
②体が丈夫で逞しいこと。
③頭が良く、判断力が鋭いこと。
④ただし行動力や統率力、責任感に欠けてはならない。またなまけものはリーダーの資格がない。
⑤女性にもてること。

 「動物に教えられる」ということで、櫻木さんが実際に体験された実話がこの本には載っていて、私の興味を引きました。著述活動に専念しようと新聞社を辞めた櫻木さんは、書くもの書くもの、何一つとして出版社が採用してくれません。こうした状態が三年ほど続くと、生活のためには再就職を考えなければならない窮地にまで追い詰められていました。そんなある日、仕事机の上で一匹のハエがひっくり返ってジタバタしていました。何とか飛び立とうともがくのですが、もはやもうその力が残っていないらしく、仰向けのまま、ただむなしく回転するだけでした。やがてその努力さえも止めてしまいました。おそらく死期が近かったのでしょうね。ここで櫻木さんはある可能性(!)を期待して、蚊取り線香の火をソーッと近づけてみました。はたせるかな、アワヤというところで、ハエは勢いよく飛び立ち、まるで怒り狂ったかのように部屋の中を飛び回りました。「最後の力」を振り絞ったのでしょう。ここで櫻木さんはハタと感じ入ります。手を打って「そうだ、コレだ!!」「死力を振り絞れば、できないはずのことができる。おまえも、もう一度トライしてみろ!最後の力を出し切って、やってみよ!」。こうして「もう一度」だけを誓って、櫻木さんは新たな稿を起こし、「もし、これもまた失敗するなら、永久に著述のペンは持たぬ!」と固く決意をして書き始めます。すると、紹介状も無しに持ち込んだ出版社で、原稿が採用されたばかりか、準ベストセラーというほどの売れ行きを示して、売れっ子作家の仲間入りを果たしたのでした。衰えた一匹のハエに、ギリギリの「気力」というものを教えられて、一つの出発を為すことができたのでした。実に興味深い参考にしたいエピソードですね。♥♥♥

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