ビルぶら 池袋サンシャイン60

 毎週金曜日の夜10時からBSフジで放送されている「ビルぶらレトロ探訪」という番組を楽しみに見ています。俳優の梶原 善(かじわらぜん)さんが、昭和から令和の日本を生き抜き、オヤジたちの楽園であり続けた昔懐かしい「昭和レトロなビル」をぶらっと訪問しながら、そこに息づくレトロなお店の情緒を存分に堪能する番組です。今、昭和の街並みを形成した複合ビルがどんどん姿を消してしまっています。しかし『日本ならではのビルディング』は、高度経済を支えたおやじたちを優しく包み込むワンダーランドでした。 番組では、ユニークで昭和レトロな外観&夢満載な館内を持つ「昭和レトロなビル」をビル探訪人・梶原さんが外から中までゆるりと堪能し、食堂、純喫茶、ゲーセン、居酒屋、バー、スナックなどなど、ワンダーランドにひしめき合う店舗で働く、クセのある店主や女将、足繁く通うクセのある常連さんとの昭和談義に華を咲かせていきます。

▲東京・池袋「サンシャイン60」

 先週、今週と2週連続で、梶原さんがぶらぶらしたのは、東京・池袋にある「サンシャインシティ」でした。昭和40年代に計画された様々な機能を持つ複合都市を作る、という一大プロジェクトから建設されたのが5つのビルからなる「サンシャインシティ」。そんな池袋の街を変えたビルをぶらり散策します。中でも開業当時、東洋一の高さを誇った「サンシャイン60」ビル。世界一の高速エレベーターや日本一の展望台で知られる日本一のビルに想いを賭けた熱血社員や超高層ビルから日本の天気を見守り続ける天気のエキスパートと出会います。さらには、日本一の広さを誇ったショッピングセンターでは、“アイドルの登竜門”噴水広場を訪れます。開業当初から池袋の街を見守り続ける時計職人、時計に賭けた想い・・・。父から継いだ昭和の味を守り続ける2代目店主。開業46年の東洋一だったビルをレトロ探訪しました。ビルの屋上にある「サンシャイン水族館」の舞台裏も紹介されました(⇒私の紹介はコチラです)。

 もう今から46年も前のことです。私は初めて上京し、東京外国語大学の故・竹林 滋(たけばやししげる)先生の研究室に呼ばれました。「よく来た!」と温かく迎えてくださった竹林先生から、『ライトハウス英和辞典』(研究社)の改訂作業の段取りについて詳しく説明を受けました(私は「語法」「類義語」の担当でした)。写真好きな先生は、お話が終わると、記念撮影をしましょうと、お気に入りのカメラで、タイマーを使ってツーショット写真を撮りました。その後で、「どうです、今からできたばかりの「池袋サンシャイン60」に行って見ませんか」とお誘いを受けます。二人で満員の都電に乗って池袋まで出かけました。もの凄い行列でした。1時間近く待って、完成したばかりの「サンシャイン60」高速エレベーターに乗りました。あれだけ待ったというのに、高速エレベーターはあっという間に最上階に着いてしまいます。でも、そこで見た東京の全景は、とても雄大なものだったことを、今でもハッキリと覚えています。英語学徒にとって憧れの音声学の権威・竹林先生と二人で、「サンシャイン60」見物ができた喜びは、一生の想い出になりました。先生は学問にはめっぽう厳しい方でしたが、お人柄はこのようにとても優しい方でした。

▲今では展望台から「東京スカイツリー」も見える

  かつては日本一・東洋一の高さを誇った地上239.7メートルの超高層ビル、サンシャイン60」の建設は、1,300人が作業に励んだと言います(1978年4月オープン)。「とにかく日本一の超高層ビルを作ろう」と意気込んだ男たちが心血を注いだのは、ビルの世界一の精度だったそうです。太陽が昇ると気温が上がり、温まった鉄骨がわずかに曲がる。これを防ぐために、作業員は詰め所に泊まり込んで、早朝4時半から鉄骨をワイヤーで矯正する必要があったそうです。竹林先生と乗ったあの高速エレベーターも、三菱電機のチームが、当時の世界最速分速540メートルを上回る、分速600メートルを目標に掲げて、世界一を目指しました。車と同じでガタガタ道だと揺れが大きいため、カゴが滑走するレールを一直線につなげる必要がありました。エレベーターの昇降行程は、当時日本最長の227mです。命綱をつけて作業用ゴンドラに乗った職人が1本ずつ、手作業でボルトを締め、5mのレールを慎重につなげていきました。据え付けたレールの総数は204本。完成後の計測では誤差0ミリという驚愕の精度だったそうです。エレベーターのカゴに新聞紙を敷いて寝泊まりする作業員もいたそうですよ。最終チェックでは、快適性を試すために、エレベータの床に10円玉を立て、一気に上昇。世界最高の分速600メートルを記録した後、60階でカゴが開いても、10円玉はピクリとも動かなかったと言われています。竹林先生と二人で乗ったあの思い出のエレベータは、こんなふうにして出来上がっていたんですね。♥♥♥

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