social suicide

◎無事ですのでご安心ください!

 1月6日(火)10時18分、松江市震度5強の強い地震が襲いました。私は近くのガソリンスタンドでファンヒーターの灯油を給油している真っ最中でした。今までに経験したことがないような地面がバウンドするような激しい揺れでした。ガソリンスタンドもパニック状態です。すぐに家に帰ると、さらに3回ほど強い揺れが襲ってきました。本当に久しぶりの地震で恐ろしかったです。前日の5日夕方、震度2の地震がありましたから、これが予兆だったのでしょう。私は早めに休んでベッドの中で揺れを感じておりました。震源は安来市広瀬町布部付近だったようです(広瀬町は私の故郷)。家の中は1階はほぼ変わりがなかったので、安心しましたが、2階に上がってみると、書棚の本がたくさん崩れ落ちていたのと、仏壇の仏具が床に散乱していました。隣の幼稚園では子どもたちがみんな中庭に避難に出て怯えていました。自然災害は恐ろしいですね。でも幸い被害が少なくてホッとしました。能登の人達はどれだけ怖かったかに思いを馳せました。その後夜になっても小さな余震が7回くらい感じられ気持ち悪かったです。お電話やメールでお見舞いくださった方々、ありがとうございました。無事でおりますので、ご安心ください。

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 今日の話題です。social suicide (直訳すると「社会的自殺」)という表現をご存知でしょうか?同時通訳者の松下佳世(まつしたかよ)さんが、多様性に関するシンポジウムで通訳をしていたときのことです。日本在住で海外にルーツを持つ10代の女性が、自分や友人の置かれている状況をsocial suicide という言葉を使って強く訴えました。suicideといえば「自らの意思で命を絶つ」という意味しか知らなかったため、話の飭が見えなくなり、とても焦ったと、松下さんは回想しておられます。

 そのまま「ソーシャル・スーサイド」とカタカナで出し内容も直訳してその塲をしのごうとしましたが、それではおよそ聴衆に伝わりそうにもありません。さらにこの言葉が何度もキーワードとして出てきたため、通訳者としては非常に苦しい状況に追い込まれました。ちょうどその時、同席していた日本語の分かるイギリス人の大学教授が、日本語では「仲間外れ」が一番近い、と言って助け舟を出してくださって、全てがつながりました。仲間外れにされること、また、そのような状況を自分から作ってしまうことを指していたのだ、と理解できたのです。

 social suicide は比喩表現で、自殺(自傷行為)を指す言葉ではありません。「社会的信用・評判・人間関係を大きく失う行為や状態」「自ら社会的つながりや役割を断ち孤立すること」「強い社会規範に反する行動によって社会的に終わること」という意味で使われます。通常、動詞のcommitを伴って、自ら社会的つながりを絶つことを意味します。例えば、宗教や性的指向を告白して親族から勘当されたり、虐待を受け親と絶縁したり、前述の若者のように、仲間外れや集団無視によって孤立したりするケースなどが当てはまります。文脈によって、「仲間外れにされる」「村八分にされる」「社会的に自滅する/社会的に終わる」「信用を失う」「評判を台無しにする」「社会的に孤立する」といった日本語訳も可能でしょう。

 このように、suicideという名詞は、「自殺」や「自殺者」を表すだけでなく、比喩的に「自殺するようなものだ」という意味にも使われます。辞書で調べてみると、日本語の「自殺」は「自ら自分の生命を絶つこと、自害」(広辞苑)を指しているのに対して、英語のsuicideは上記の意味に加えて、“You say that people commit suicide when they deliberately do something which ruins their career or position in society.” (自分のキャリアや社会的地位を故意に破滅させる行為のことをsuicideと言う)となっており(『コウビルド英英辞典』)、英語のほうがより広範囲な意味を持っていることが分かります。後者は「自殺」よりも「自滅」という日本語に近いかもしれません。

 social suicide(ソーシャル・スーサイド)は、直訳すると「社会的自殺」ですが、実際に命を絶つという意味ではありません。主に「社会的な立場・評価・信頼・人間関係を自ら壊してしまう行為や状態」という意味で使われています。使い方としては、「その発言は完全にsocial suicideだよ」「あの投稿、social suicideじゃない?」といった感じです。具体的な状況としては、次のような場合でしょう。

  • 空気を読まない発言をして、周囲(学校・職場・オンラインコミュニティ)から一気に距離を置かれる。

  • 炎上するような投稿をSNSにして、信用を失う。

  • ルールやマナーを無視して、学校や職場で孤立する。

  • グループ内で致命的な裏切りをする。

Posting that comment would be social suicide. (そのコメントを投稿するのは、社会的に自滅行為だろう。)

He committed social suicide by publicly insulting his teammates.  (彼は仲間を公然と侮辱して、社会的信用を失った。)

Quitting without notice is career――and social――suicide in that industry. (その業界では無断退職は、キャリア的にも社会的にも致命的だ。)

She chose social suicide to stay true to her beliefs. (彼女は己の信念を貫くため、あえて社会的孤立を選んだ。)

  使われ方のニュアンスとしては次のことが言えるでしょう。♥♥♥

  • 比喩表現(かなり強い言い方)

  • 「それをやったら終わる」「社会的に致命的」という警告や皮肉として使われることが多い

  • カジュアルな会話やネットスラングでも使われる

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