帝国ホテル

 帝国ホテルのお客様は外国人が4割。私の友人P.Y.Su氏(ランダムハウス英語辞書編集長)は、日本に来られると必ず帝国ホテルを定宿とし、いつもホテルのお部屋から、米国の辞書事情についてお電話を下さいました。2年前に、国友隆一『帝国ホテル サービスの真髄』(経済界)を読んで衝撃を受けたのを思い出します。商売柄、全国のホテルに泊まることが多いのですが、これほどのホテルには泊まったことがありません。お客様に気づかせない「おくゆかしさ」、それが感動を超える「深い満足」を生み出す。「100マイナス1はゼロ」がホテルのサービスだ、というのが犬丸元社長の哲学です『帝国ホテルの流儀』(集英社新書)。俳優キアヌ・リーブスが、映画の中でアドリブで言った「洗濯に出したい。できれば帝国ホテルのランドリーに」というセリフの意味も、納得できますね。どんなシミでも抜いてみせる、ただ綺麗にするだけでなく、場合によってはシャツのボタンをあらかじめ全部取り外してから洗濯し、アイロンがけの後に縫い付け直すこともあるという。そのために世界中のボタン・糸を揃えておくのだと言う。30分ごとに手袋を交換するベルボーイ、エレベータの中に鏡と一輪挿しが設置してあるのはなぜか?お客様の部屋のゴミを全室24時間保管しておくなど、あり得ない心遣いではないでしょうか。忘れ物をしても、決してホテルから連絡することはない、といいます。これがいかに奥の深いサービスであるかということに気づくには、少し時間がかかりました。最近、再び国友さんの最新刊『帝国ホテル お客さまが感謝する理由』(経済界)を読んで、「感動」よりも「深い満足」の提供を目指すという、世界最高のホスピタリティーの全貌がより一層見えてきました。上には上が、ということですね。

 私が博多に行くと必ず「エクセル東急」に泊まるのは、ずいぶん昔、タクシーの中に忘れたバーバリーのセカンドバッグを、あっという間に見つけてきて、お部屋まで届けて下さった迅速な対応・親切に感激して以来です。ちょっとした心遣いが、心をつかんで離さないんですね。

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