中島みゆき「時代」

 4月6日(土)のNHK「Songs」はご覧になりましたか?歌番組には低俗なものが多い中で、この番組だけは、しっかりとしたポリシーで、内容も濃く上質なので気に入っています。今回は、中島みゆさんの名曲「時代」特集でした。彼女自身のひょうきんな解説が入る中、この曲がたくさんの歌い手にカバーされている理由などを、分析して伝えていました。あの八神純子さんが、グランプリをめぐる確執・葛藤を告白しておられる部分は、特に面白かったです。高校生たちの合唱も、震えのくるぐらいの迫力でした。こんな歌詞で始まります。当時のみゆきさんの貴重な映像です。

今はこんなに悲しくて 涙も枯れ果てて 
もう二度と笑顔には なれそうもないけど
「そんな時代もあったね」と いつか話せる日が来るわ

 大好きな一青 窈さんは、下線部分の歌詞がとっても好きだと話しておられました。実は、この歌詞には秘話があります。

 1975年9月、レコードデビュー(「アザミ嬢のララバイ」)を直前に控えたみゆきさんのお父さんが、脳溢血で倒れて病院で昏睡状態に陥ります。医師からは「覚悟して欲しい」とも告げられます。父の意識が戻らない中で、デビューを果たしたみゆきさんは、10月の「第10回ポプコン」会場に、病床の父の病室から直行します。その会場で披露されたのが、この「時代」という曲なんです(曲目が急きょ変更されたそうですが)。父が助かる見込みがないと知って作った、この曲の歌詞の冒頭の絶望的なまでの出だしには、こんな出来事が秘められていたのです。そして、ここでグランプリを受賞し、翌月の「世界歌謡祭」に日本代表として出場し、海外アーティストたちを斥けて、見事優勝を果たします。年を明けて1月4日にお父さんが亡くなります。その後の活躍はご承知の通りです。

 さて、今月の28日(日)午後4時からは、WOWOWで「中島みゆきLIVE 歌旅 劇場版」が放映されます。この番組は、2007年に全32公演、約10万人を動員した、歌旅―中島みゆきコンサートツアー2007―」を収録し、劇場公開用に編集したものです。人と人のつながりを糸になぞらえて絆の大切さを歌い、東日本大震災をきっかけに再び注目を集めることになった大好きな名曲「糸」や、80年代の名曲から「宙 船(そらふね)」「一期一会」「地上の星」「ファイト!」まで、彼女のヒット曲で構成され、まさにライブで見る「ベストアルバム」と言ってもよい構成となっています。今から楽しみです。

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