エジソンの1%の閃き

   edisonGenius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration.(天才とは1パーセントのひらめきと99パーセントの発汗である)   ―1929年2月11日エジソン82歳の誕生日に

 この天才発明家トーマス・エジソン(生涯で1093件の特許を取得、しかし小学校入学してまもなく「あまりにもバカで手に負えない」として退学を余儀なくされ母親が教師役を務める)の有名な言葉は、さまざまな個所で引用され、その都度、努力の大切さを強調されます。非常に分かりやすい表現なので、当時のマスコミも大いにこの言葉を利用しました。大切なのは汗、つまり努力だ、成功の鍵は才能ではない、努力にある、努力こそが重要なのだ、といった感じで受け入れられてきました。努力が大好きな日本人にも、大変受け入れやすい言葉として愛されています。しかし、それは完全な誤解で、エジソン自身が警告しています。彼の意図はちょっと違うんです。

 私の言葉が誤解されてしまったようだ。99パーセントの汗ばかり強調されているが、汗を流せば何でも成功すると思うのは間違いだ。私は、1パーセントの閃きと言ったはずだ。1パーセントの閃きを無視してはならない。成功のためには汗も努力も欠かせない。だが無目的の努力だけでは大海をさまよう小船のごとく、あるいは密林の中を迷い続ける迷子のようにいつか力尽きる。ときどきでいい、閃きを考えてみてくれ。それが羅針盤となって方向を示してくれる。99パーセントの汗が実るのは、1パーセントの閃きを大切にしたときなのだ。 ―ヘンリー幸田『天才エジソンの秘密』(講談社+α文庫)

 つまり、頑張っていると閃く一瞬があるんです。それこそが大切なものだ、とエジソンは言いたかったわけですね。自身の発明の原動力に関して、エジソンは「人間、自然界すべての現象は。われわれの思いもよらぬはるかに大きな未知の知性によって運命づけられている気がしてなりません。私自身も、これらのより「大きな力によって動かされて、数多くの発明を成し遂げることができました」と述べています。彼はこの「はるかに大きな未知の知性」”little people in my brain”(頭の中に住む小人)と呼んでいました。発想の原点であるこの「小人」の声を聞くこと、つまり「1%の閃き」を得ることが大切だと言いたかったのです。「最初の閃きがよくなければ、いくら努力しても無駄である。閃きを得るためにこそ努力はするべきなのに、このことをわかっていない人があまりにも多い」と嘆いているのです。ここでも誤解してはいけません。閃きを強調したのは「天才とは汗である」と誤って強調されたマスコミの不正確な態度に対してであって、1%の閃きと99%の汗、いずれも成功する上では欠くことのできないものだと言っているのです。

 エジソンは研究に行き詰ると、海辺に行き、えさのついていない(!)釣り糸を垂れるのが大好きでした。潮風に吹かれ、波の音を聴き、自然の中に身を置くことで、不思議と新しいアイデアや閃きが浮かんできたようです。彼の真意を正しく理解して、見習いたいものです。

 読書週間(10/27-11/9)が始まりました。本を読んで未知の世界を体験しましょう。新聞も1つの記事をそのまま信じるのではなくて、2つの新聞で同じ報道記事を読み比べてみると、新たな気づき・発見があるよ、と生徒たちには強調しています。ネットの情報もそのまま鵜吞みにしてはいけません。必ずウラを取ることが大切です。

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