人をつくる

 私はずっと以前、ふとしたことから、年若き社員に、お得意先に行ったらこういうことを言えと。「『松下電器は何をつくるところか』と尋ねられたならば、『松下電器は人をつくるところでDSCN2788ございます。併せて商品もつくっております、電気器具もつくっております』、こういうことを申せ」ということを言うたことがございます。その当時、私の心境は”事業は人にあり”、つまり人がまず養成されなければ事業は成功するものではないという感じがいたしました。したがいまして、電気器具そのものをつくることは、まことにきわめて重大な使命ではございますが、それをなすには、それに先んじて人を養成するということでなくてはならない、という感じがしたのであります。そういう空気は、やはりその当時の社員に浸透いたしまして、社員の大部分は、松下電器は電気器具をつくるけれども、それ以上に大事なものをつくっているんだ、それは人そのものを成長さすんだ、という心意気に生きておったと思うんであります。それが技術、資力、信用の貧弱な姿をして、どこよりも力強く進展せしめた大きな原動力になっていると思うのであります。(昭和36年4月21日)

 松下幸之助の有名な教え「人をつくる」です。技能や手腕ももちろん大切ですが、それと同時に、人間として、社会人としても立派な人を育てたい、という願いですね。仕事はよくできるが、社会人としては欠陥がある、というのでは、産業人としては好ましくない、という幸之助の信念でした。私はこれがパナソニックのDNAだと思っています。

 学校というところも同じだというのが、私の考えです。勉強はいくらできても、人の道を外れるような人は尊敬されません。その意味で、約束を守る、ウソはつかない、人に迷惑をかけない、あいさつの励行、掃除の徹底、といった、人としての道もきちんと教えないといけない、と思っています。点を取ることしかできません、では全然ダメです。ここが予備校や塾と違うところです。

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