「案山子」

詳細を表示 今年のフジテレビの入社式で、さだまさしさんがももいろクローバーZと一緒に、名曲「案山子」(かかし)を歌いました。その様子は、4月11日の「僕らの音楽」で紹介されていましたね(最近さださんは、大人の都合からか、 ももクロZと共演することが多いんですが、チョットこれは勘弁してもらいたい、と感じています。歌があまりにも下手くそで。その点小田和正さんは、絶対に歌の下手な人とは交わりません!)。この歌は、都会で一人暮らしをする弟(あるいは妹)を雪の中にぽつんと立つ案山子になぞらえて、故郷にいる兄が気遣うメッセージを送る歌です。さださんが1977年11月25日に発表したシングル曲です。

 さださんによれば、この曲のきっかけは、大分から福岡へ弟の佐田繁理さんと共に移動する際に、列車から見た景色だといいます。その日は雪が降っており、車窓から雪の中に案山子がぽつん立っているのを見たさださんは、「かわいそうにな、雪の中に立ってて」と話しかけた。繁理は鈍い反応しかしなかったが、さださんはその風景と、自身が経験した都会での一人暮らし、そして弟の台湾留学中の思い出などが重なり、この曲を思いついたとのことです。さださん曰く、曲の原風景は、島根県・鹿足郡・津和野町にある三本松城の石垣の上に腰掛けて作った歌です。城跡があって、煉瓦煙突の造り酒屋、田んぼに案山子が立っている、山の麓煙はいて列車が走る、という歌詞はまさに津和野町の景色そのものです。私は松江北高に帰ってくる前は、三年間津和野高校で教えていましたので、この景色には見覚えがあります。

 なお、この歌の歌詞にある「淋しくないか お金はあるか 今度いつ帰る」という言葉は、さださんが中学・高校と一人で東京で下宿していたときに、一週間に一、二通来ていたお袋さんからの手紙に必ずそう書いてあったといいます。おんなじ言葉が何回も何回も繰り返してあったんで、覚えてしまったと回想しています「『金頼む』の一言でもいい」という歌詩も、親からの仕送りだけが頼りだったさださん自身の経験が基になっているんですね。この体験を、日本のふるさと像の光景とかぶらせて作った曲がこの「案山子」なんです。このことは彼の著書『噺歌集』(はなしかしゅう)(文春文庫)に書いてあります。

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