人まねをしない

  私はAKBは好きにはなれないのですが(篠田麻里子さんだけは特別)、AKBプロデューサーの秋元 康(あきもとやすし)さんがいいことを言っておられます。

みんなが集まっている野原には、野イチゴはない。
だから、野イチゴがたくさんありそうな、未開の場所を探す。
蛇がいたり、滝があったり、
みんなが危ないという場所にこそ、
野イチゴはたくさんある。      ―秋元 康

 現実には、みんなが人と同じことをしたがります。なぜなら人と同じことをするのが一番楽ちんだからです。でもそこに野イチゴはありません。野イチゴが欲しければ、人が行かない場所に探さないといけません。堤 康次郎さんの言う「人のやらぬこと、やれぬことのみをやった」(西武グループ創業者)が、成功へのカギです。そんな例を二つほど紹介します。

◆父親の経営する大和運輸を受け継いだ小倉昌男社長は、オイルショック後の不況を乗り切るために、大企業との契約を全て解消して、個人向けの宅配事業に乗り出しました。当時国鉄しか扱っていなかった個人向け運送業(それも届くのに10日ぐらいかかっていた)などは、ありえないとして「絶対に儲からない」「あいつの考えはおかしくなった」と周りから批判されたのでした。小倉さんは「デメリットのあるところにこそ、ビジネスチャンスがある」と断言し、個人向けのサービスを断固スタートしたのです。これが大当たりをして、当初20万個程度と考えていた取扱件数は、3年目で1000万個に達しました。人が近づかなかったからこそチャンスが生まれたということですね。今のヤマト運輸の繁栄は、ここが出発点でした。

◆受験シーズンになると必ず評判になる定番商品に、ネスレの「キットカット」というチョコレートがあります。旅館に泊まると帰り際にみんながお礼を言って帰るのに、ホテルに泊まっても「有り難う」と言われることはないことに目を付けた同社が、「受験にきっと勝つ」という語呂合わせで、商品の「キットカット」を宿泊客にプレゼントしてはどうか?という提案をしました。2002年のことです。しかし、OKしてくれたホテルはたった二つだけでした。ほとんどのホテルはけんもほろろに断わってきたといいます。「どうしてそんなことに協力しなくちゃいけないのか」「御社の販促手段でしょ?」「それも無償で」といった反応だったのです。先の二つのホテルからは、お客様から「お礼状も届いた」「感謝された」という声が寄せられました。受験シーズンの到来を告げる話題として、このキャンペーンがニュースで取り上げられました。あちらこちらのテレビで取り上げられると、商品の売り上げが格段に増えました。そうなると、うちのホテルでも協力したい、という声が多数寄せられます。「受験生応援キャンペーン」はこのようにして全国展開するようになったのです。目の付け所が非凡だったということです。

 いつも生徒たちには「人のやらないことを」と強調しています。私もそれを心がけています。まもなく、私の教員人生の総決算となる『センター試験対策本2015~勉強の仕方』が完成します。原稿はほぼ全部入れ替えて、新しいものとなりました。今最後の調整をやっています。

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