下り坂

  下り坂   回れ右すりゃ  上り坂  
  目の位置変えれば  ピンチもチャンス  (山本よしき)

 この言葉は、博多で泊まったホテルのフロントに貼ってあって、メモして帰ったものです。私はよくこの話をします。ちょっと見方を変えるだけで、新しい世界が開けてきます。すべては自分次第ということです。

 私の大好きな街・長崎は本当に坂の多い街です(残念ながら、最近とんと行っていません。「夏・長崎から」は皆勤だったんですが)。はんぱでないくらい坂がいたるところにあります。2種類の坂がありますね。上り坂」「下り坂」です。小泉元総理が三番目の坂として「まさか」に触れてから、結構広まりましたね。坂の途中に立ち、自分が向く方向で、上り坂か下り坂が決まります。本当の坂の場合には、上り坂が苦しく、下り坂が楽ですね。しかし人生の坂道となると、全く逆です。上り坂を登り切れば、その先に自分の夢が開けているので、充実しているのです。

 大好きなシンガー・ソングライターのさだまさしさんは、28歳で30億円の借金をしました(金利を入れて35億)。祖父のルーツである中国のドキュメント映画長江』を作るために莫大な金をかけすぎてしまったのです。興業的には成功した映画なのですが、いかんせんお金をかけすぎた。一気に谷底へ転落です。しかし、さださんがすごいところは、そこでくじけずにまた坂を上り始めたことです。必死に歌を作り、コンサートで全国を回りました。周りも応援に回りました。そうやって自己破産もすることなく借金を完済したのです。借金がなければ、こんなに長い間、歌を作ったり、歌ったりしてこなかったと思います。『長江』の失敗は、ぼくにとってプラスでした。自分の夢がかなったのだし、その後の創作活動のエネルギー源にもなったし…」とさださん。登り始めるか、そのままでいるかは自分次第なんです。

 平成3年9月28日「台風19号」で、最大瞬間風速50mを越える強風のために、津軽地方全域に大きな被害を引き起こしました。この台風で、青森県のリンゴの9割がたが落ちてしまい、あたり一面に敷き詰められていました。これでは、出荷もできません。リンゴで生計を立てていたほとんどの農家の人々は、落ちたリンゴを見て「もうだめだ」と嘆き悲しみました。ところが、そんな中、悲しまない人がいました。他の農家の人々は落ちたリンゴを見て嘆いただけでしたが、その人は落ちなかったリンゴに目を向けていたのです。50m以上の暴風にも耐えた落ちないリンゴを、全国の神社で受験生に縁起物として販売しようではないか、と考えたのです。落ちなかったリンゴを「落ちないリンゴ」と名付けて、1個1000円もの値段で売り出したのです。台風が来ても、絶対に落ちなかったリンゴです。縁起物ですよ」とPRしたのです。そのリンゴは値段にもかかわらず、受験生とその親たちに飛ぶように売れたのでした。散らばったリンゴを見て「どーしよー」とただ途方に暮れた人と、落ちなかったリンゴを見て「どーしよー」と考えた人、このチョットした視点の差が大きな違いを生んだのですね。ピンチはチャンス」ということを教えてくれる話です。冒頭の言葉をもう一度かみしめてみましょう。

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