高倉健と『ブラックレイン』

高倉健 日本のクリント・イーストウッドこと、高倉 健(たかくらけん)さんがお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。

 教員になって初めて担任したクラスの生徒どうしが、結婚することになった、と二人で式の案内状を持って自宅を訪ねてくれました。今から25年前、1989年のことです。それはめでたいということで、三人で食事にでかけ、一緒に映画を見ました。それが『ブラックレイン』でした。大阪府警の寡黙な松本警部補役の、健さんの渋い演技はとても印象的でした。この夫婦の思い出と映画は、今でも記憶にはっきりと残っています。

 健さんは、この映画の演技によって、松田優作(まつだゆうさく)さんが間違いなくアカデミー賞に関わるであろうと判断し、前もってロレックスの「GMTマスター」を、プレゼントとして購入していたそうですよ。しかしまもなく松田さんが亡くなったことにより、そのプレゼントは妻・松田美由紀さんに手渡すこととなってしまいました。「松田優作は世界に通用する俳優である」という健さんの想いで、時計は「グリニッジ標準時」に合わされていたといいます。

 健さんに関しては、山のようにエピソード・語録が残っています。たとえば、名作『幸福の黄色いハンカチ』の冒頭で、刑務所から刑期を終え出所したばかりの健さんが、食堂で女性店員についでもらったグラスに入ったビールを、深く味わうように飲み干した後、ラーメンとカツ丼を食べるシーンがあります(後ろ姿を撮っていました)。その収録で、「いかにもおいしそうに飲食する」リアリティの高い迫真の演技を見せ、1発で山田洋次監督からOKが出ました。あまりにも見事な食べっぷりだったので、監督が問い尋ねると、「この撮影の為に2日間何も食べませんでした」と言葉少なに語り、周囲を唖然とさせたそうです。これぞ「プロ魂」と思います。本物がまた一人天に召されました。

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