辛島美登里の「こころの玉手箱」

 『日本経済新聞夕刊』6月26日~6月30日に、大好きなシンガーソングライターの辛島美登里(からしまみどり)さんが、「こころの玉手箱」というエッセイを連載しました。私は彼女が鹿児島(鶴丸高校)を後にして、奈良女子大学を卒業して、1989年に芸能界デビューしてからずっと応援をしてきました。美しい声、超絶な歌唱力、泣ける詞。3年前には、彼女のミニライブに出かけて、サインと握手までしてもらいました。⇒コチラです  日経の夕刊は松江では手に入らないので、東京から取り寄せてこのエッセイを読み、私の知らない辛島さん像が見えてきました。

 5歳から親しんだピアノ。中学生になって自分のピアノの腕を試そうと「南日本音楽コンクール(鹿児島市)」に出場した彼女。本番では途中でピアノを弾く手が止まってしまう。怖い顔をした審査員、しのぎを削る出場者、全てが初めての緊張感で気が動転してしまい惨敗します。それ以来、彼女は極度のあがり症になってしまいます。「人前で演奏できない」「本番に弱い」という苦手意識は大人になってもずっと付いて回ります。私は彼女の弾き語りが(サイレントイブ)大好きで、とっても魅了されてきたファンの一人ですが、実際彼女の中では、緊張して張り詰めた感じでやっていたと言います。ピアノに対するコンプレックスを長年抱いていたのです。自分の音楽観が変わって、そんな緊張が取れてきたのはこの4~5年だと言います。たとえステージでピアノを弾くのを間違えたとしても、それはそれでいいと思い開き直るようになってきたそうです。正しく演奏すればお客さんが喜ぶかといえば、必ずしもそうではない。歌い手や弾き手の思いを伝えられるかが大切で、音楽の感動は別次元にあることが実感として分かってきたのです。大きな成長でした。

 子供の頃から曲を書くのが好きだったけれども、音楽を仕事にしようとは考えていませんでした。「人生は堅実さが大事。人気商売なんて」と冷静さを装っていました。しかるべきところに就職し、しかるべき人と出会って結婚する、それが平凡な自分の人生だと思っていたのです。ただ「私は平凡なお母さんだけど、チャレンジしたことだってあるのよ」と、将来子供に語るエピソードが欲しいと思って、思い出作りのつもりで、1983年ヤマハの「ポピュラーソングコンテスト」に応募します。自作曲「雨の日」が、予想外に近畿地区代表に選ばれ、静岡「つま恋」の本戦に出場し、なんとグランプリを獲得します。『2年だけ』と両親に頼み込んで、上京デビューします。東京・中野のヤマハ音楽学校の寮に住んで、学校のピアノで曲を書きました。約束の2年を越えても芽は出ません(以前このブログに「辛島美登里さんの学生時代」と題して詳しく書きました⇒コチラです)。3年目に永井真理子さんに書いた「瞳・元気」が話題となり、ようやく足がかりをつかむのです。

 あれだけ娘のことを心配し、達筆な手紙を頻繁によこしたお父さんが、晩年認知症を患います。しっかり者だったのに徐々に身の回りのこともできなくなります。人間の尊厳を奪うこの病気を憎んだこともありましたが、今となっては、介護でお父さんの顔を拭いたり手を握ったりと、十分体に触れることができたことが慰めだったと言います。どんな苦しさの中にも希望があると気づくことができました。 

 そして最近、カメラマン萩庭桂太さんのサイト「YOUR EYES ONLY」に、辛島さんの写真とインタビュー記事が掲載されています。8月7日(月)〜11日(金)まで毎日更新されました。ここにも、意外な辛島さん像が見え隠れします。気になった言葉から引用してみます。

 「わたし、本当は歌うのが好きじゃないんです」―「マジですか?」―「本当です。好きじゃないというか、得意だとも思っていなくて。常日頃そう言っているんですけど、なかなか信じてもらえない(笑)。もともと、曲を書く仕事がしたくてこの世界に入ったんです。CDを出せば曲の依頼が増えるかな、と思って歌ったのがきっかけなので、歌うのは実はすご~く、負担でした」

 「いえもう、締め切りに追われて書くばかりで、詞を書くのが本当に苦手なんです。曲を提供したいという気持ちはあるので、詞は後付けで、なんとか絞り出して書いています。そもそも活字が苦手で、本もめったに読まないんですよ。だから恋愛小説とか、ネタを仕入れる場所がどこにもないんです」

 「大学に入ったばかりの頃は自分がデビューするとはまったく考えていなかったので、卒業して就職するときに何か資格があったほうがいいと、一応先生の免許を取ったんです。それに本当は私、クラスの誰よりも早く結婚するって信じて疑わなかったんです。私みたいにほどほどの顔で、ほどほどの性格で、ぼやっとした女の子は一番結婚しやすいと、それには自信がありました。家政学部に行けばますます結婚には有利、お見合いでも女らしいと思ってもらえるはずだと。ふつうに結婚して子どもが産まれて、子育てしながら専業主婦になると信じて疑わなかったのに、まさかこの私が独身のまま今にいたるとは!」

 「未だに、歌わないですむのならなるべく歌いたくないというか(笑)。でも求められれば、こんな歌でよろしければ、と、前傾姿勢になってしまう自分もいる。ですから歌うのは、修行だと思っています。自分の持っている身体という楽器を使って、どれくらいまでやれるのか、それを見極める修行ですね。喉は楽器なので、歳を重ねるほどにどんどん摩耗していく。それでも人が聴いてくれて、歳はとったけどいいわね、と言っていただけたら」

 「詞を書くときにいつも心がけているのは、ふつうの人を主人公にすることです。身近なものを大事にしながら、身近な人を書きたいんです。名前を検索しても何も出てこないような、ほぼほぼの常識を持っていて、ほぼほぼ自立はしているけれどもほぼほぼ気が弱い、人が良いから大事なところで全部手放してしまうような。つらいときには泣いちゃうけれど、でも泣くのは彼の前じゃない。人前で、彼の胸にすがって泣いたら、慰めてもらえるかもしれないのにそこでは泣けなくて、ひとりになったときに初めて泣く、そういう女の人を書きたいなって」

 「好きなのは、白い花とブルーの花」―「自分を花にたとえるとしたら、どんな花だろう?」―「たぶん、花屋に売っている花じゃないと思います。道ばたに咲く小さな花なんですけど、でも、毎年咲くんです。しぶとい(笑)。たぶん紫くらいの花で、気がつくと、“また咲いてる!”と言われるような。そういうタイプだと思います(笑)」

 辛島さんの新しいアルバム『カシミア(Cashmere)』が、10月25日に発売になります。楽しみです。❤❤❤

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