「変なホテル」

★メインスタッフはロボット! 世界初のロボットホテル

 “ロボットが接客するホテル”として話題となったハウステンボス(長崎県佐世保市)のオフィシャル・ホテル「変なホテル」は、2015年7月に開業した世界初のロボット・ホテルです。ハウステンボスが旅行会社HISに買収された際に、既存のホテルを大幅にリニューアルして生まれた、無人化を目指したホテルです。初めてロボットがスタッフとして働いたホテルとして、ギネス世界記録に認定されています。受付やコンシェルジュの業務などをロボットが担うことで、通常のホテルの4分の1ほどの人数で運営していますホテルの宿泊料金が高騰するなか、手ごろな価格で快適に泊まれるローコストホテルを作るプロジェクトを3年前にスタートした。人が行っていた業務の7割程度を自動化して人件費を約3分の1に削減するとともに、最新の建築技術などを活用して光熱費も4~5割程度削減し、世界最高の生産性を追求した(ハウステンボス・澤田秀雄社長)と言います。変なホテル」はハウステンボス場外にあるオフィシャルホテル。どこが変なのかと聞かれた澤田秀雄社長(エイチ・アイ・エス 会長)は、いえいえ、変なホテルの“変”は、“変わり続けることを約束する”というコンセプトからとったもの。ロボットが活躍する次世代型のスマートホテルなんですよ」と語りました。実は、「変」は「変化」の変なのであって、「変わっている」ということを売りにしている訳ではありません。ホテルでいただいた領収書にも「変わり続けることを約束するホテル」(Henn na Hotel   A commitment for evolution)とありました。常識を越えた先にあるかつてない感動と快適性」を売り込みたいようですね。それにしてもインパクトの強い名前です。でも外観も、周りの環境も緑豊かで決して変ではありませんでした。 

 現在、「変なホテル」ハウステンボス、千葉の浦安、愛知の蒲郡の3つがあります。10月には、このロボットが接客する「変なホテル」を、今年12月から2019年3月にかけて、東京・築地、大阪・心斎橋、羽田空港、福岡・中州など10カ所で開業する予定と発表しました。100~200室規模で、観光客やビジネス客の取り込みを狙います。料金は2人1室で1人1万円以下を見込んでいるとのこと。

▲澤田秀雄社長

  ホテルの入り口には、有料ロッカー(500円)があります。チェックインまでの荷物を預かってもらうものでしょう。以前はこれもロボットがやってくれていたと聞きました。本館の入り口には、動作拡大型スーツ、スケルトニクス・ロボットが置いてあります。動きません。さあ、いよいよ チェックインをするためにホテルに入っていきます。

 玄関の自動ドアをくぐると、ピンクのかわいい人形がいて、「いらっしゃいませ、変なホテルへようこそ。左手の受付へ進んでください。」と促します。ハウステンボスのマスコット・キャラクター「ちゅーりーちゃん」です。実に可愛い。

 さて、受付です。このチェックインの光景は、よくテレビや雑誌にも出ているので、有名になっていますね。ロボットのこの受付の部分で、旅館業法における「台帳記載」という、必ず一筆かかせる部分を、どこまで省力化しているかが、気になっていました。フロントの前に行くと、目の前にチェックイン、チェックアウトの手続きを行う3体のロボットが待っています。両脇は恐竜の形をしたロボット「みらい」「きぼう」もいて、子供が喜びそうですね。ただやはり注目は、女性型ロボット「ゆめこ。チェックインからチェックアウトまですべてロボットが対応するというのが、このホテルの大きなウリです。女性型ロボット「ゆめこ」は上品な微笑みをたたえ、丁寧にお辞儀したり、目や口を動かしたりと、表情が実にリアルです。もう一体の恐竜型「みらい」くんも日本語と英語を話すバイリンガル。こちらでチェックインすることに。男の声でしゃべります。顔の造りが精巧で、目や眉毛の動きなどもバリエーションがあり、表情が大きく変わるのに驚かされました。大きな身振りを交えつつ、ガッと口を開けたり瞬きをしたりと、かなり迫力ある姿で接客してくれましたよ。ロボットに近づくと、人感センサーによりフロントに近づくと人感センサーが感知し、「いらっしゃいませ」「チェックインを押してください」とアナウンスがスタートとなります。電話番号を入れると、予約内容が確認され、OKを押すと、名前の署名をタッチパネルに行います。書いたのはこの部分だけ!!つまり、台帳記載のルールは、名前の署名だけでOKのようです。名前を記載した後は、横にある精算機から、部屋のカードと領収書が出てくるので受け取って、チェックインすべて完了です。 

  話題となっていた、客室まで荷物を運んでくれる「ポーターロボット」は9月末で終了していました。残念!自分で荷物を持ってお部屋まで移動します。この移動が若干不親切で、後ろの掲示を見て客室に進め、とロボットが指示するのですが、全く分からない場所で複数の建物A棟~D棟まで行くことは難しいので、ここの所は改善の要ありか?私は幸い通りかかったスタッフの女性に聞いて、A棟の101号室へと向かいました。気になるのが、ロボットや自販機によるサービスが中心なので、フロアに人間のスタッフがほとんどいないこと。そうなるとトラブルや急な質問、体調不良など緊急時の対応はどうなるのかと不安を感じますが、ホテル内の公共スペースはあらゆる場所をカメラで24時間監視しており、何かあったときには常時待機しているスタッフが対応する」(澤田社長)とのことです。ロビーには、たくさんのロボット(コミュニケーションロボット、サービスロボット)が展示されていて、ピアノの演奏まで行っていましたよ。

 さあお部屋にやって来ました。部屋の扉は顔認証でキーレスでも入れるシステムです。キーカードももらっているので、それを使っても大丈夫。スマートなシステムですね。宿泊客の利便性だけでなく、宿泊客が鍵をなくしたり部屋に置き忘れたりした場合の対応が不要になるメリットも大きいですからね。客室の前でカメラに向かってスキャンし私の顔を登録をします。後は「スキャン」ボタンに触れ、顔が認証されれば鍵が開く。ところがこれがスムーズに行かない。認証されれば「ACCEPT」と赤い表示がされてドアが開くのですが、私の場合はいろいろと角度を変えてスキャンしてみますが、何度も「REJECT」と出て(笑)部屋に入ることが出来ません!いったい私の顔はどうなっているのだ?!仕方ないので、カードキーを使って部屋に入ると、「こんにちは」とかわいらしい声がしました。声の主は、ベッド脇にちょこんと座った「ちゅーりーちゃん」です。会話ができるロボットで、たとえば「ちゅーりーちゃん」と呼びかけてから「電気つけて」と指示すると、部屋の明かりをつけてくれます。ほかにも現在時刻や室内温度、今日・明

▲部屋着にはロゴが

日の天気を聞くと教えてくれて、目覚まし(モーニングコール)の時刻設定も可能です。この「ちゅーりーちゃん」ロボットはとても賢く、可愛らしくもあり、可笑しくもあったので、後日改めて取り上げます。電力とコスト削減のため、各客室には通常のホテルには備わっている電話もありません。以前はテレビやエアコン、冷蔵庫、部屋着もなかったそうですが、今回はちゃんとありました。空気清浄機もありましたよ。室内の照明が人感センサーで点灯・消灯して、電力消費を抑えています。以前はなかったという、お部屋の照明のリモコンも置いてありました。ただ勝手についたり、消えたりして不自由でした。人感センサーが働いているのでしょう。お部屋は普通のビジネスホテルのようで、スタイリッシュなデザインで、シンプルな機能を備えていました。ベッドはシモンズ社製で快適でした。

 ホテル内に飲食施設はなく、アメニティ(ひげそりも自分で買えと100円でした)と軽食、ドリンクの自動販売機が設置されています。朝食付き宿泊プランの場合、朝食はすぐ近くの健康レストラン「AURA(オーラ)」を利用します。A棟から階段を降りて外へ出て歩いて行きます。雨の日は困るだろうなと思いました。レストラン入り口には野菜工場「とれたてファーム」施設があり、無農薬野菜が作られる様子も確認できました。栽培・実験している新鮮な野菜などを使った地産地消ビュッフェが食べられます。どちらかというと和食寄りの食材が多いという印象でした。結構美味しい食事でしたよ。

 従来の同規模ホテルと比べて、人件費を約3分の1に削減し、光熱費も半分に。要するに、ホテルの最大のランニングコストである人件費をどこまで切り詰められるか、チャレンジをしたホテルです。将来的には9割以上を自動化・ロボット化して、世界最高の生産性を追求したいと意気込む澤田社長です。 

 その他、気づいたことを箇条書きで挙げておきますと、
・室内は広くきれいで快適でした。ビジネスホテルとあまり変わらない。
・室内の設備は最小限で、食器はカップ2つのみ(ソーサーやスプーンなし)、小さい冷蔵庫と湯沸かし器あり、テレビは32インチSHARP製。エアコンと空気清浄機もあり。
・ユニットバス・トイレは1坪タイプで広かったです。
・アメニティは、歯ブラシ、歯磨き粉、櫛のみ。それ以上欲しい人は、A棟の自販機で買うこと。自販機にはアメニティがたくさん売っています。 
・壁に室内照明のスイッチがないのは、さすがにわかりづらいので、つけてほしかったです。リモコンもあるのですが、自由自在に操作というわけにはいかず困りました。
・いろいろなサービスを有料に切り分けている感じです。

  結論的には、1回は泊まってみたいものの、もう1回泊まりたいか?と聞かれると、遠慮しておきます(とアンケートには書いておきました)。前回は、ハウステンボス内の豪華オフィシャル・ホテル「ホテルヨーロッパ」で、至れり尽くせりの「人」のサービスを受けたので、その印象が鮮やかに蘇ってきました。やはり私は「人」がいい。  ❤❤❤     

(追記) 松江に帰ってから、11月5日(日)付けの『日本経済新聞』によれば、この「変なホテル」に、11月9日から無人の変なバー」がオープンするそうです。客席のタブレットに女性のロボットの画像が現れ、提供するお酒などを説明して、ロボットを通じてリアルタイムで実際の女性との会話を楽しむこともできます。飲み物は無人のカクテルマシンやビールサーバーで提供するそうです。ここではタブレット上で、女性のロボットが接客しますが、生身の人間とロボットを融合する形で接客することもできるという点で非常に面白い試みといえるでしょう。いくらAIが発達しているとはいえ、ロボットとの会話では自ずから限界があるでしょうし。澤田社長全部ロボットでやろうとすると失敗する。人が補うことで実用化が早まる」とのこと。

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