「修二会」

 大好きなさだまさしさんの「修二会」(しゅにえ)は、東大寺の二月堂の伝統行事を歌ったもので、この歌を聴く度に、一度生で見てみたいと思っていました。ギターを掻きならし、鳴り物をふんだんに入れて、とても荒々しい勇壮なアレンジが大好きで、コンサートで生で聴くと堪りません。「もはや二月堂  天も焦げよと松明の  炎見上げつつ何故君は泣く  雪のように火の粉が降る   走る 火影  揺れる君の横顔   燃える  燃える  燃える  おたいまつ 燃える」 二番になるとさださんの歌詞らしく、難解な言葉のオンパレードです。「過去帳に  青衣の女人の名を聴けば  僕の背に  君の香りゆらめく  ここは女人結界  君は格子の外に居り  息を殺して聴く南無観世音  こもりの僧の沓の音  ふり向けば 既に君の姿はなく  胸を打つ痛み 五体投 もはやお水取  やがて始まる達陀の  水よ清めよ  火よ焼き払えよ  この罪この業」さださんはこの歌を作るために(10年以上かかっています)、二月堂の内陣で間近に業と向き合って直に体験しておられます。そこら辺の様子はこの曲が収められたアルバム『逢ひみての』(1993年)のライナー・ノーツに詳しく出ています(さださんはいつもこうして曲の背景を詳しくライナー・ノーツで解説してくれていますから、我々は大助かりです)。

 「修二会」は、創建当時から1200年以上絶えずに続けられてきた、人々に代わって罪を償い、「天下泰平」と「五穀豊穣」を祈る伝統行事です。私は幸い、二月いっぱいで授業も終了して、教え子たちも前期で次々と合格を決めてくれて、少し心の余裕も出来たので、急遽思い立って奈良へ行ってきました。事前に人から教えて貰ったところでは、3月12日だけは、ものすごい人出になるので、午後5時までに並ばないとまず見れないよ、との忠告でした。奈良で乗ったタクシーの運転手さんはみな口を揃えて、今日だけは特別の日なので、ご案内できるかどうかは分からないとのことでした。お寺巡りを終え、17時半頃奈良ホテル」にチェックインして、係の人に「今から行っても大丈夫ですか?」と聞いても、「今日は大勢の観光客がお越しになり混雑するので、保証はできません。行ってみないと見れるかどうか分かりません」との回答。でもそこは一流ホテル。「詳しい担当者がいますので連れてきます」とのこと。その方によれば、入場規制がかかるかも知れないけれど、行ってみる価値はある、開始は19時半なので、今から並べば見ることは可能だとのこと。「今日は交通規制でタクシーは途中までしか行けませんので、ここからは歩いて入ってください。大丈夫、絶対に見れますから」と、帰りの地図まで書いて背中を押していただきました。感謝!

 タクシーを降りて、誘導係の人の指示に従って、山道をてくてくと上がっていきます。唖然!とんでもない数の人が並んでいます。2万人から3万人の人が例年押しかけるそうです。ロープが張られ、人数を制限して並んでいました。広場に入れるのは3~4千人です。「しめた、見ることができる!」と心躍らせながら、約2時間広場でひたすら待ち続けました(この年になると立ちっぱなしは辛い…)。その間しきりに、奈良警察の案内・注意喚起が拡声器を通じて流れてきます。これだけの人がいるのですから、事故が起こっては大変。警備の警察官の方もご苦労さまです。外国人もたくさんお越しになっているので、日本語英語の両方で案内が流れるのですが、この女性の英語が極めて下手くそ(一応英語自体はきちんとしたものでしたが)。棒読みのたどたどしい英語を何度も何度も繰り返し聞かされるので、たまったものではありません。奈良警察にはもっと英語の上手な人はいないのか?!ただ救いだったのは、時折スピーカーで流れる、東大寺側の女性による「修二会」を説明するアナウンスが、1200年以上も続く伝統行事にふさわしい落ち着いた奥ゆかしさのある声で、聞き惚れていました。声も武器になるんです。

 さていよいよ午後7時半になり、広場の照明がいっせいに消され、真っ暗になりました。「籠松明」(かごたいまつ)を担いだ付き人「童子」(どうじ)「練行衆」(れんぎょうしゅう)を導きながらお堂へ向かいます。石段を登り切ると、燃えさかる「籠松明」をお堂の舞台の欄干から突き出したり、回転させたりして、火の粉を振らせながら夜空を焦がします。すごいド迫力に参拝客からはどよめきが。松明は厳しい修行に臨む僧侶「練行衆」が、夜の勤行で二月堂に上がるための足下を照らす道明かりとして、本業が始まる3月1日から14日まで毎晩ともされるのですが、このうち12日だけは、長さ約8メートル、重さは通常の倍近い約60~70キ

▶これが燃やされる籠松明

ロのひときわ大きな11本の「籠松明」が登場するんです。暗闇の中、幻想的に舞い散る火の粉に参拝客から感嘆の声が上がっていました。このお松明の火の粉を浴びると、一年間無病息災で過ごせ、幸せになると言われていて、私もその迫力に圧倒されながら、火の粉を浴びていました。翌日訪れた東大寺ミュージアム」の入り口には、その「籠松明」の現物が展示されていました(写真)。これは持つだけでも大変だ。それを振り回すんだから余計に体力勝負ですね。


 これでよく火事にならないなという疑問が湧きますが、一度だけ焼けたことがあるそうですよ。こうやってお松明を振り回して火の勢いを弱くした後、裏の水槽で消されるそうです。この後も、行はずっと続き、13日午前1時半頃に、二月堂下にある「若狭井」(わかさい)から「お香水」(こうずい)をくみ上げて、二月堂本尊の十一面観音に供える儀式を「お水取り」と呼んでいます。15日未明に満行を迎えます。この行事が終わると、奈良に春がやって来ます。❤❤❤

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