VSOP

 今日は、先日の東京市ヶ谷・茨城土浦の研究会の最後にも触れさせていただいた、私の「理想の教師像VSOP」について述べたいと思います。まず、私の尊敬する恩師の故・安藤貞雄(あんどうさだお)先生(広島大学名誉教授)は、次のような条件を「理想の教師像」として掲げられておられました。安藤先生に習い、私も今までそのような教師でありたいとずっと努力を続けてきました(到底達成はできませんでしたが)。

a.  教え方が上手であること―これは大切である。日本語も英語も、いい発音で明快に教えないと生徒に十分理解させることができないからである。

b.  生徒にえこひいきしないこと。

c.  叱るべき時には叱る(怒るのではない)が、意地の悪い叱り方をしないこと。

d.  生徒に親切で思いやりがあること。

e.  生徒の質問にごまかさずに誠実に答えること。自信をもって答えられない場合は、十分に調べた上、のちほど報告すること。(生徒に誠実でありたいと思うならば、このような措置は当然であろう。)

f.  時には生徒と平等の立場(footing)に立つこと―教師は生徒を教え指導する立場では、権威をもって、生徒より一段高い位置に立って差し支えないが(そのためには時には礼儀も敬語の使い方も教えなければならないことがあろう)、生徒が何かcriticalな状況にある時は、教師は「教師」であることをやめて、生徒と同じ(恐らくは「人間同士」という)footingに立って、”まごころ”をもって生徒の悩みと付き合う用意がなければならない。

g.  last but not leastには、教師は肝の奥底に何かゆるぎない信念を持っていなければならない―その信念が恐らくその人の人格を統一しているのであろうが、それが何であるかは、人によって異なっていてもいいのではないか。ただ、それは狂信的でない、理性と普遍性に裏打ちされたものであることが望ましい。(私の場合は、それは「生命の尊厳」という言葉で言い表せるように思われる。〔そこから、平和への決意も、ヒューマニズムも生じてくる。〕

  以上のような資質を兼ね備えた教師が私の「理想の教師像」です。それは、私にとっては、恐らく生涯かけても到達し得ない、にも拘らず、志向することをやめてはならないイデーなのです。(安藤貞雄)

 そんな安藤先生が、今から30年以上も前、愛媛県の高英研で英語教師の文法研究」と題して講演をなさった際に、私のことに触れておられます。

 英語の研究法ということでは、まず、私の島根大学時代の教え子のY君のことをお話ししたいと思います。彼は、まだ29歳の若さですが、既に英語語法関係の論文を十数編書いており、東京外語大の竹林教授に認められて色々と辞書の項目を執筆しています。Y君の勉強ぶりは本格的なもので、そのことは、外国の学会の会員になったり、海外の学術誌に載る第一次論文にもよく目を通していること、内外に多くの学問上の知己を持っていることなどで窺えると思います。彼はまた良い教師でもあります。Y君はよくAsahi Evening News のAnn Landersをcorpusとして利用していますが、あそこへ投書する人の英語が必ずしも良いとは限らないということを承知の上で、あれを一月分位集めるとかなりの資料になると思います。それを(パソコンでも利用して)あらゆる角度から分析していけば、平均的なアメリカ人の日常英語の生態が浮かび上がって来るかもしれません。

 私自身は、「理想の教師像」としてVSOP」を掲げています。これは「外資系トップ」のメンターとして長年活躍してこられた新 将命(あたらしまさみ)さんの著書をヒントに、「教師像」に応用したものです。決してブランデーのお話しではありません〔笑〕。V=Vitality   S=Specialty   O=Originality   P=Personality の頭文字を取ったものです。中身を解説します。

Vitality  文字通り体力活力です。「肉体的強靭」さに恵まれていると「体力的に無理がきく」ということです。私も今でこそ6軒の病院通いの身ですが、若い頃は元気のかたまりでした。病気一つしたことがありませんでした。20代~30代の頃は、朝5時に起き、ひと仕事してから学校へ行き、授業を終え、担任・分掌の仕事をこなし、部活動(ソフトテニス)の指導にあたり、家に帰ってからは毎晩徹夜して英語の勉強(=辞書の執筆)にあたっていました。あれだけの体力があった時代を、今は懐かしく思います。「失敗してもやり直しがきく」ということも特権です。年をとってからでは恥ずかしくて許されないような失敗でも、「まだ若いのだから」ということで大目に見てもらえました。また、時間のゆとりが十分にあるため、失敗してもリカバリー・ショットを打つこともできます。元気」がキーワードです。

Specialty  プロのレベルの「パーソナル・コア・コンピテンス」です。自分の得意技、それもちょっとやそっとのことでは人後に落ちないという、高いレベルのスキルを身につけたいものです。私自身は「英語の語法」に関する勉強を続けて、誰にも引けをとらないというレベルに近づけようとがむしゃらに頑張っていたように思います。どんなに辛くても、自分の好きなことですから少しも苦になりません。これだけは人に絶対に負けないという「専門性」を持ちたいものです。

Originality  私は「人のやらないことをする」ことに大きな価値を見いだしてきました。教材作りでも、本の執筆でも、人のやらないことをやってきました。人がほとんど読まないような本を読んで、大きなヒントをもらっていました。人真似ではない個性を生かした「独創性」ですね(もちろん最初は真似から入るのですが、歌舞伎で言う「守破離」の世界です)。

Personality  「人間力」です。先日のブログで “a man of integrity”について書きましたが(⇒コチラです)、まさにこのことです。新 将命さんは条件として次の5つを挙げておられました。リーダーはまさにこうでなくてはなりません。

1.言行にウラオモテがない(正直で誠実な)人
2.一貫性(右顧左眄しない、ぶれない信念)のある人
3.信頼できて尊敬のできる人
4.あの人の後に付いていきたい、あの人のためなら、と思われる人
5.ゆるぎない信念と理想を持っている人

 「VSOP」、私はそんな教師でありたいと思って努力を続けてきました。若い先生方も、VSOP」を目指して頑張ってくださいね。 

【追記】 さんは「人生年代別VSOP論」を唱えておられ、一つの目安として、VITALITY 〔20代は体力と活力で勝負〕SPECIALTY〔30代は専門性で勝負〕 ORIGINALITY〔40代は独自性で勝負〕 PERSONALITY〔50代以降は人間力で勝負〕と述べておられます。50代には一応の完成をみたいものだ、と結んでおられます。なるほど。

 最後に、私が退職時に生徒からもらった手紙を二つほど挙げておきますね。

 八幡先生!まず、2年間ESSで大変お世話になりました。ESSは、とてもアットホームな部活で、毎回の部活がとても楽しみでした。パーティーで先生のお家に何度もお邪魔させてもらったのも良い思い出です。先生のマジック部屋にまた行きたいです!(笑)もちろん遊ぶ以外にも先生には英語の豆知識をたくさん教えてもらってとても為になりました。でもやっぱり一番心に残っているのは、先生から頂いた大量の写真です(笑)。写真を見返すたびにESSでの楽しかった思い出がよみがえってきます。その他、花回廊で偶然お会いしたことなど、先生との思い出はまだまだ尽きませんが、先生のことは一生忘れません(笑)。お体に気をつけて、新しい人生を楽しんで下さい!私も受験頑張ります!!

 ◎八幡先生、今までありがとうございました。2年間先生と一緒にESSの活動ができて本当によかったなあと思っています。先生が顧問のおかげで毎回毎回、ESSの部活が凄く楽しみでした!英語だけではなくマジックも教えてくださるなんて最高でした!先生は何でも気軽に話せるし、おもしろいし、おじいちゃんみたいな感じです(笑)。いつまでも元気に、第2の人生を思いっきり楽しんで下さい。たまには遊びに行かせて下さいね!

 思い出すに、私が高校時代に英語を教えていただいた故・大谷静夫(おおたにしずお)先生三島房夫(みしまふさお)先生のご自宅によく遊びに行かせていただいては、面白いお話しを伺ったり、ごちそうになったり、本を貸していただいたり、という素敵な思い出がたくさんあります。そんな訳で、私の家にも生徒たちがよく来ているようです。全国研究発表の練習に、生徒たちが私の家に泊まり込んで合宿したこと、スピーチの練習をしていた所、学校が閉まるので私の家に場所を移して夜中まで特訓して優勝したこと、部活のパーティーで自宅にたくさんの生徒たちが集まり盛り上がったこと(写真下)、など全部がいい思い出となっています。❤❤❤

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