雪吊り

 冬の金沢市内を歩いていると、至るところで目にするのが「雪吊り」です。北陸地方特有の重い雪から木の枝を守るために、枝に縄が施されています。冬の金沢では、企業や一般家庭に至るまで、広くこの「雪吊り」が行われています。街中の「雪吊り」も金沢の冬の名物風景です。中でも代表的なのが、日本三名園の1つ「兼六園」「雪吊り」でしょうね。金沢「雪吊り」はまず、兼六園」からスタートします。毎年11月1日から約1ヵ月ほどかけてその膨大な作業が行われます。

 そもそも兼六園」とは、水戸偕楽園」(かいらくえん)岡山後楽園」(こうらくえん)と並ぶ日本三名園の1つで、江戸時代の代表的な大名庭園として、加賀歴代藩主により長い歳月をかけて形づくられてきました。金沢市の中心部に位置し、四季折々の美しさを楽しむことのできる庭園として、多くの県民や日本中・世界各国からの観光客に親しまれています。

 「兼六園」「廻遊式」の要素が取り入れられた庭園。「廻遊式」とは、寺の方丈や御殿の書院から見て楽しむ座観式の庭園ではなく、庭のなかに大きな池を穿ち、築山(つきやま)を築き、御亭(おちん)や茶屋を点在させ、それらに立ち寄りながら全体を遊覧できる庭園です。作庭における基本的な思想は「神仙思想」。大きな池を穿って大海に見立て、その中に不老不死の神仙人が住むと言われる島を配します。藩主たちは、長寿と永劫の繁栄を庭園に投影したのですね。最初の作庭者、5代藩主・綱紀(つなのり)は、瓢池に蓬莱(ほうらい)・方丈(ほうじょう)・瀛州(えいしゅう)の三神仙島を築きました。また、13代藩主・斉泰(なりやす)も、霞ヶ池に蓬莱島を浮かばせています。

 「兼六園」「雪吊り」作業は、毎年11月1日に「唐崎松」から始まります。先日もテレビのニュースでやっていました。いよいよ北陸の冬の始まりを告げる風物詩です。高さ9m、枝張り20m、幹周り2.6mという、園内随一の枝ぶりを誇るこの松は、5本の芯柱が建てられ、総数約800本の縄で枝を吊ります。延べ500人の庭師さんが12月頃まで約1ヵ月かけて、唐崎松、巣籠り松など54本、根上松、播州松など60本、ツツジなど700ヵ所に施していきます。

 金沢は藩政時代から造園に対する関心が高く、造園技術が発達。中でも「雪吊り」の技術は「兼六園方式」と呼ばれ、全国の庭師が学びに来るとか。雪吊り」にも種類があり、木の大きさや枝ぶりによって使い分けられるそうです。枝ぶりの大きな高い木に施されるのが「リンゴ吊り。芯柱を立て、その先端から縄を張って枝を支えます。収穫前のリンゴの枝が折れないように支えた形から「リンゴ吊り」と呼ばれるそうです。「兼六園」では「唐崎松「巣籠り松」などに施されます。幹のしっかりした大きな木に施されるのが「幹吊り。幹から縄を張り、枝を支えます。「兼六園」では「根上松」「播州松」に施されます。背の低い木は、形に応じて「小しぼり」「竹ばさみ」「四又しぼり」など様々な吊り方で保護します。雪吊り」の取り外しは、3月15日頃から1週間ほどで行われます。一番最後に「唐崎松」を取り外すと、北陸に待望の春が訪れるのです。

 私は、今年の2月下旬に「兼六園」を訪れ、定期観光バスのガイドさんを独り占めして(新型コロナウィルスの影響で、観光バスは私一人の貸し切り!いつもならここは自由行動なんですが、ガイドさんがついて来て下さって案内してもらいました。ラッキー!)詳しく由来の説明を受けました。以前訪れた時と違い(ソフトテニスのインターハイで生徒引率して観光しました)、観光客もまばらな「兼六園」を十分に堪能することができました、ハイ。♥♥♥

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