「共通テスト」利用私大のメリット

 現場で教えていていつも思うことですが、「情報」が体系的に伝わっていない。進学校でも、生徒たちが大学のことを何も知らない、と感じることが多いんです。知名度や偏差値だけで大学選びをしてしまっている。名前だけで、中身を全く知らない。1年生の時から体系的に進路情報を発信して、生徒たちに本気で大学を考えさせる環境を作っていないのです。私が卒業生にお願いして、大学のキャンパス・レポートを「あむーる」に掲載し続けてきたのは、そんな隙間を埋めるためでした。その昔、島根県立大田高等学校の進路部長1年目に私がやったことは、一部屋を潰して、大学情報(要項・パンフレット・学校案内・入試問題・その他の資料)を北から順に大学ごとにキャビネットケースに収めて、種々の問題集・資料集の検索の便を格段によくして、生徒に開放したことでした。コピー機も生徒利用に開放しました。生徒たちが、毎日進路指導室にやって来るようになりました。たったこれだけのことで生徒の動きが随分変わってきたように思います。毎週大学情報を掲載した「進路指導部だより」を発行して情報発信に努めました。外部からさまざまな専門家に来てもらって、生徒たちがお話しを伺う機会も増やしました。この年から国公立大学の合格者数が飛躍的に増えたのも(40~50人→103人)、意味のある「情報」に触れた生徒たちの心に火が付いたためと思われます。全国各地から、山のように学校訪問が相次ぎました。以降私の在職3年間、この実績がずっと続きます。

 「共通テスト」の出願が始まりましたね。河合塾の調査によれば、国公立大学を志望する高校生数は例年並みですが、「共通テスト」の成績で合否を判断する入試方式で私立大学を志望する生徒らの割合が、前年比109%と大幅に増加しています。万が一、コロナ感染した場合などに、合否判定に使われる可能性もありますから、セ-フティーネットとしても役立ちますからね。

 近年、この「センター試験→共通テスト利用私大」が、増えてきました。私立大学入試において、個別試験ではなく、「共通テスト」の点数のみによって合否を決める入試形態です。ところが、この制度のメリット・デメリットがあまり伝わっていないんです。これは学校の指導の怠慢です。メリットとしては、次のようなものが考えられます。

①「共通テスト」を受けるだけで複数の大学・学部・学科を受験可能

②種々の負担が軽減・・・(1)肉体的負担減(旅行不要) (2)受験料の負担減 (3)旅費・ホテル代の負担なし  (4)傾向の異なる私大過去問の研究の負担なし

③自己採点での成績確認が可能

④合格で精神的負担が軽減・・・国公立大学受験前の緊張感が和らぐ

⑤合格可能性の増大

 もちろんデメリットもあります。確認しておきましょう。

①事前出願の場合は早めの志望校決定の必要性

②私大専願の人にとっては受験科目の負担増も

③入試会場独特の雰囲気を体験する事が出来ない

④高倍率・・・場合によっては数十倍になることも…

 ④の「高倍率」に関しては、定員が少ないので当然の結果なんですが、合格者も水増しして発表されるので、それほど心配はない、と私はずっと言ってきましたが、入学者人数の締め付けが強化された近年は、注意すべきかと思っています。こういうことを頭に入れた上で、共通テスト利用私大の出願を考えておきましょう。♥♥♥

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