nowadays

 尊敬する故・渡部昇一先生『人生の出発点は低いほどいい』(PHP研究所、2007年、2014年に復刊)を読み返しています。先生の本はどれも本当に勉強になります。気になった点に付箋を挟みながら(写真下)、丁寧に丁寧に読み返しました。お亡くなりになってからもうずいぶん経った今読んでも、とてもいいことを言っておられます。その中に次のような言葉がありました。


 これは大学の先生に限らないのですが、教師が常に忘れてはならないのは、教育熱心であることと熱心に教えることは違うのだ、ということです。
 教育の主目的は、学生が自主的に学ぼうと意欲を誘いだすことです。と同時に、教師は学問を深く修めるという大切な責務を忘れてはなりません。自分の学問を二の次にして、「教育とは、教育とは」と論じてばかりいるのでは良い教師とはいえません。あまりうるさく教えても、そうそう生徒のアタマの中に入るものではありません。むしろ「淡々」に近いぐらいでいいのです。もちろん、質問されたら、ピシッと答えることができなくてはなりませんが。
 私が学部で英文法を教えていた頃、学生たちによくこう話したものです。
 「このような英文法は、君たち自身が教えることはまずないだろう。しかし、君たちが家庭教師になったり、教壇に立ったり、あるいは塾で教える時には、生徒の中にできる奴が必ず何人かいる。そして、そいつは変な質問をするに違いない。その時、スパッと答えられるか答えられないかで、その質問した生徒の運命が決まることがある。だから、その時、答えられるためにこの英文法をやっているのだ。『十年兵を養うは、一日これを使うがためなり』と。
 英文法というのは、そういうものなのです。たとえば、「nowadaysの末尾になぜsがつくのですか」「このsは複数なのですか」というような妙な質問をする学生がいないとは限りません。その時、教師がスパッと答えられるか答えられないかが、その学生の学問的な目がパッと開くか開かないかの分かれ目になることもあります。教師というのは、そういう瀬戸際に立ち会うこともある職業なのです。私はつねづねこのことを、弟子たちに話しています。(pp.88-89)


 なるほど。さて、ここに出て来たnowadaysのsの正体は、一体何でしょうか?overseas, besides, afterwards, indoors, outdoors, nowadays -s は、古英語の属格の転用であろうと考えられていますが、中英語の段階で副詞形成語尾になりました。always, perhaps, sometimes などの -s もそうです。once, hence, whence, since などの -ce-s の変形です。この話をすると生徒たちは「エーーッ、そうだったのか!」意外という顔をします。知らなかった事項が、自分の知っている世界と結びついた時に、進歩が生まれます。この「副詞のs」が理解できると、思わぬ波及効果も期待できます。otherwise,  clockwiseの意味を考えてみてください(宿題としておきます)。 ♥♥♥

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