渡部昇一先生のエピソード(29)~大島淳一

 その昔1971年に、ジョセフ・マーフィーの、いわゆる成功哲学の著書『マーフィー100の成功法則』(産業能率大学出版部)という本が出版されベストセラーになりました。故・渡部昇一先生が翻訳を担当しておられます。マーフィー博士の言葉のうち、最も重要と思われるものを100個ほど抜き出し、それをマーフィー博士の言葉や、渡部昇一先生ご自身の言葉で解説したものでした。

 渡部先生が25,6歳の頃、まだ留学生としてロンドンにおられた時に、ふと通りかかった本屋で偶然マーフィーの本に出会われました。1,2頁パラパラと立ち読みしたら、ピーンと心に触れるものがありました。早速買い求めて一気に読み上げました。イギリスにおられた間だけでも5,6回繰り返し読んでおられます。

 日本に帰国されてから、まだ学問的業績も何もない渡部先生が、自分の専門分野以外の本を実名で出版するのにはためらいがありました。周りから生意気だと言われるのも怖れたので、ペンネームの「大島淳一(おおしまじゅんいち)」という名前で日本語訳を出されました。「マーフィーの成功法則」と上智大学の英文学教授の渡部昇一先生とは意外な組み合わせと思われるかもしれません。当時、渡部先生「大島淳一」であることは誰も気づきませんでした。この度、『マーフィー成功の法則100』(2023年9月)としてワック出版局からワック文庫の一冊として、本名で再版されました。思考・暗示は現実化する、そして富と成功が手に入る。世界の成功者が実践している「マーフィーの法則」によって、幸運とお金が自然と集まる理由が描かれます。いかに不思議に思われ、奇跡のように、あるいは偶然のように見えても、すべてはマーフィー渡部昇一先生が直接知っている“真実”が語られた一冊です。

▲再刊にあたっての新聞広告「大島淳一は実は渡部昇一だった!!」

 先生がお亡くなりになった後に、渡部先生のご長男の玄一さんが、このマーフィーの本のことを語っておられました。


 おもしろいのは父は若いときに、小遣い稼ぎではないのですが、少し名前を変えて「大島淳一」という名前でジョセフ・マーフィーの『眠りながら成功する』(産業能率短期大学出版部、1968年)などの本を出していたんですね。あれも父にとっては、わりと本気の部分がありました。この書庫もそうなのですが、父は貧しいところから出てきて、高等中学校の恩師の家にあった書庫に憧れました。当時の学校の先生は学問をする人が多かったから、その書庫で学問をする。生徒が遊びに来ると書斎に通して、いろんな話をしながら本を見せてくれたりした。そういう姿を見て、憧れていたのです。

 そして「自分は絶対、書庫を持つ人間になりたい」と、ずっとイメージしていたのだと思います。そうすると、どんどんそれが叶っていった。「マーフィーの成功法則」に書いてあることを、ある程度、本当に自分でも実践していて、そういうふうに常に思い描いていたのです。

 だから運命愛者が、イメージによって自分の人生を大きく変えていくこともするのが、すごく不思議だなと。案外、運命愛者じゃない人は、できないんです。父のように自分の与えられた運命を受け入れる人のほうが、そういうイメージが湧いて、どんどん大きく変えていけるのではないか。父は多分、自分がイメージした以上の書庫を、このようにつくってしまったので(笑)、実際、「望めば、むしろ自分が望んでいたよりも大きく叶うほうが多い」というようなことも言っていたくらいです。だからこの書庫を見ると、大島淳一名義で若いときに書いた「マーフィー(の成功法則)」みたいなことも、きちんと自分の中で血肉化できるのだなと、いつも思います。


     こういった成功法則が実際に信用できるかどうかは、著者が成功しているかどうかで分かります。著者の大島淳一は、渡部昇一先生の筆名です。渡部先生がどれほどの成功者かは、少し考えてみると分かります。先生は大学の英文科の教授であり、企業を経営していたわけでもなければ、親から財産を受け継いだわけでもありません。自身の執筆活動で世界的な希覯書を多く購入し、世界一の個人ライブラリーを持てるほどの印税を稼いでおられます。多くのベストセラーやロングセラーを出版し、自身の書きたい本は全て書き尽くしたと言えましょう。しかも晩年まで書籍を出版しておられました(お亡くなりになった今でも新刊書が続いています)。このマーフィーの説く成功法則の中でも重要なものが次の3つです。今でも十分通用する心がけでしょう。♥♥♥

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1 願望を言葉と絵で描く

 最初のステップは、自分の望みを言葉や絵で描くことです。私たちの多くは、自分の人生で何を叶えたいのか、何を望んでいるのかを正確に把握していません。自分の望む最高の未来について明確で具体的なイメージを持っていないのです。自分が何を望んでいるかを考えることなく、今、欲しいものが手に入らないことを嘆いています。これこそが、私たちの多くが現状に混乱し、欲しいものを得ることのできない最大の原因なのです。欲しいものを手に入れるためのまず最初の一歩は、自分が何を望んでいるかを描くことです。潜在意識の活用は、願望を描くことから始まります。

2 描いた願望を視覚的に見る

 次に、1で描いた自分の願望を視覚的に見ていきます。写真や映像だけでなく、実際に疑似体験をできることがあれば、なお良いでしょう。起業をして独立する未来を描く人は、憧れの人、理想とする人のブログを見てイメージを描きます。自分の本を書きたい人は、出版した人のセミナーなどに出向き、その人が見ている世界を一緒に見ます。こうして、その世界の主人公が自分であることを強くイメージします。なぜなら、映像を見ることにより、願望を詳細に描くことができるようになるからです。メンターや成功者たちは、「願望を詳細に描く」ことが抜群に上手です。まだ起きてもいない未来のことを、すでに起きているかのように話すことができるのです。そこで、自分が理想とする世界に近い映像を見ることで、「願望を詳細に描く」材料にするということです。一度でも映像を見たり、疑似体験をすることができれば、あなたの想像力・イメージ力は格段にアップします。あなたの願望が潜在意識に届きやすくなるわけです。

3 寝る前と寝起きの3分間に願望をイメージする

 3つ目のステップは、寝る前と寝起きの3分間に、願望のイメージを想像することです。「マーフィーの法則」では、潜在意識の力を活用し、眠りながら成功する方法を説いています。睡眠に入るときには、アルファ波といわれる脳波が出ることが分かっています。そして、このアルファ波が出ているときに、思っていることや考えていることは、潜在意識にスムーズに届くと言われています。そのため、眠る前と寝起きの3分間には、自分が望む未来を想像して、その願望を潜在意識に届けます。布団に入ってから寝付くまでの時間で、願望を詳細に想像してみましょう。理想のあなたは、どこで何をしているのか?そのときのあなたは、何を感じているのか?誰と一緒に、どんな喜びを分かち合っているのか?寝ながらニヤニヤと笑ってしまうくらい、最高の未来を想像してみてください。そして、朝、布団のなかで起きてからも、望む未来を想像します。布団のなかで目が覚めたら、もう一度目を閉じて、ウトウトした中で未来を想像していきます。自分が望む未来を創るには、寝る前と寝起きの3分間を活用することをオススメします。

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