hospital

  Hospitalの語源は、ラテン語の “hospes”だと言われています。この “hospes”とは来人や客人を意味し、中世ラテン語で客人の宿泊施設を意味する“Hospitale”もその派生語とされています。また、中世イギリスで使われていたフランス語の“ospitale”には、巡礼者や旅人を迎え入れる施設、または貧困者など困窮している者に居住場所を提供する慈善施設という意味があるそうです。ホスピス(hospice)やホステル(hostel)、ホテル(hotel)などの言葉もこの“hospes”の派生語と言われています。客人や病人などを受け入れる場所という意味が共通していますね。ついでにhost (主人)、hospitality(おもてなし)、 hostage(人質)も一緒に覚えておきましょう。

▲クラフト先生の本はとても勉強になります オススメ!

 A hospital is a place where people who are ill are looked after by nurses and doctors.[COBUILD第10版]といった定義につられてか、また単語集にもそう出ているせいか、高校生は「病院=hospital」という受け止め方をしています。ひどい咳をしていて熱のあるALTに“You should go to the hospital. ”と言ったらどうなるでしょう?「たぶんただの風邪だから、そんなに深刻に考えないで」という反応を示します。ネイティブスピーカーにとって、hospital というと、「緊急の手術や入院のための大病院/さまざまな部位の精密検査をしてくれる総合病院」というイメージがあるのです。いくつかの医療科が備わった大型医療施設を意味します。大学病院のような大型病院といったところでしょう。hospitalでは、診療だけでなく手術や入院などができることも一つの判断基準です。なので、少し風邪気味だから病院に行きたい際に、“I need to go to the hospital.”と言うと、聞いた相手は大型病院に行かなければならないほど重症なのかと誤解をしてしまうかもしれないので注意しましょう。私は今日、股関節の手術からちょうど一年が経過し、「日赤」で執刀医の先生の診察を受けましたが、風邪をひいたぐらいで日赤」を訪れる人などいませんね。clinicを使うか、もっと自然な言い方だと“see a doctor”で良いと思います。キャサリン・クラフト先生の最新刊『ネイティブにスッと伝わる英語表現の言い換え700』(青春出版社、2023年10月)によれば、hospitalと聞いて思い浮かべるのは、national hospital (国立病院)/general hospital(総合病院) emergency hospital(救急病院)などだそうです。次のような例を挙げておられます。

She was taken to the hospital in an ambulance.(彼女は救急車で病院に運ばれた)

I visited her in the hospital yesterday.(きのう入院中の彼女を見舞った)

He goes to the hospital on Monday and Thursday for dialysis treatment.(彼は人工透析のために月曜日と木曜日に通院している)

 英英辞典に挙げられた定義の下線部分に、上で述べたような意味合いを読み取らねばならないのです。決して「病院=hospital」 の図式で安心していてはなりません。*

a large building where sick or injured people receive medical treatment [LDOCE]

a large building where people who are ill /sick or injured are given medical treatment and care   [OALD

 clinicは、大きな病院ではなく小規模な医療施設を意味します。要するに診療所ですね。また、clinicの前に特定の科を指す単語を付け加えると、それに特化した診療所になります。

例えば

  • dental clinicで「歯医者」

  • pediatric clinicで「小児科の診療所」

  • women’s clinicで「婦人科の診療所」

というように専門の医療機関を言い表すこともできます。
   

▲最新刊『ライトハウス英和辞典』(第7版)

 私たちの最新刊『ライトハウス英和辞典』(第7版、研究社)では、ここらへんの実態を、次のような新たな分かりやすい注記で注意喚起をしています。

hospitalは重大な病気やけがをした人が行く所。軽い症状を診てもらう医療機関はclinic。かぜやちょっとした不調で受診する場合は(go (to))see a doctorと言う。

 もう一つ、「《米》ではtheをつけ、《英》ではつけないのが普通」(『ライトハウス英和辞典』)にも注意したいところです。♥♥♥

*【補記】 市販の単語集に見られる「英語=日本語」の一対一対応で安心していると、英語本来の姿を見失うことがあります。「in fact=実は」「after all=結局」「participate=参加する」「satisfactory=満足のいく」「be willing to=喜んで~する」「various=さまざまな」「lately=recently=最近」「take~for granted=当然のことと思う」「unknown=知らない」「favorite=お気に入りの」などはその典型例です。注意が必要です。 

カテゴリー: 英語語法 パーマリンク

コメントを残す