キラー・カーン??

 6月28日首位・広島との本拠地での3連戦の初戦、1点リードの9回はバルドナード投手が2死三塁までこぎ着けましたが、田中への2球目の速球がショートバウンドになり、岸田捕手が止められず痛恨の同点ワイルドピッチとなってしまいました。それでも最後の最後に勝負を決めたのは、丸佳浩外野手(35歳)の5号サヨナラソロホームランでした。古巣にとどめを刺す背番号8の劇弾が右翼席に飛び込んだ瞬間、思わずベンチを飛び出したのが阿部慎之助監督(45歳)でした。これまで基本的にはどんな展開にもポーカーフェースを貫いていましたが、試合後の勝利監督インタビューでは珍しく興奮冷めやらぬ表情で「我を失って飛び出してしまいました」と振り返りました。「バルドナードは魔が差したのか、あれは多分(捕手が)キラー・カーンでも捕れなかったんじゃないかなと思います」と答えました。キラー・カーン???なぜか突然、かつて〝蒙古怪人〟として一世を風靡した名プロレスラーのキラー・カーンの名前が指揮官から飛び出したことで私は「?」。チンプンカンプンで意味不明です。テレビインタビュー終了後に阿部監督が自ら「あれはオリバー・カーンだったな」と訂正し、元ドイツ代表鉄壁のゴールキーパーと混同していたことを釈明しました。要するに思わず言い間違えをしてしまったぐらい、冷静沈着な指揮官の興奮状態が続いていたということなんでしょう。久しぶりにプロレスラー故・キラー・カーンの名前を聞き、懐かしくなった八幡でした。昨年末に急死したレスラーです。

 突然の訃報でした。プロレスラーのキラー・カーンこと小沢正志さんが2023年12月30日、動脈破裂(全身に血液を送る大動脈で、動脈硬化などによりできたこぶが大きくなって破裂する病気)でお亡くなりになりました。享年76。12月29日の夜に東京・西新宿で経営する「カンちゃんの人情酒場」の営業中にカウンターで意識を失ったとのことです。普段なら午後1時頃に出勤するはずが、午後4時頃に店に姿を見せ「疲れた。クビが痛い」と体調不良を訴えていたといいます。午後8時半頃、うつむいたまま机に伏せて居眠りするような状態となったため病院に緊急搬送され、そのまま帰らぬ人になりました。

 相撲の春日野部屋に入門。幕下まで出世しましたが、1970年5月に廃業後、1971年1月に日本プロレスに入門。1973年3月に同団体を離脱後、新日本プロレスに移籍。1977年12月にメキシコに渡りました。コーチだった“プロレスの神様”カール・ゴッチ(故人)の発案で、78年のメキシコ遠征でモンゴル人悪役のテムジン・モンゴルに変身。テムジンが皇帝のジンギス・カン(チンギス・ハーン)に出世したことから、米国転戦でキラー・カーンになりました。195センチ、140キロの巨漢、頭頂部だけ髪を長く伸ばして編み込んだ弁髪(後にスキンヘッド)姿で、“蒙古の殺し屋” “闘うモンゴリアン”の異名が付きました。日本人離れした大柄な体を武器に、日本よりも米国マットで大成功を収めました。後に「俺はアメリカにいた8年間で30億円稼いだ」と語っています。モンゴル人ギミックのヒール(悪役)としてWWF(現WWE)など、全米の主要マットで大暴れしました。1981年5月には、大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントの足を折って一躍トップヒールとして名を馳せました。奇声雄叫びを発しながら両手を相手レスラーの頸動脈に振り下ろす「モンゴリアンチョップ」や、コーナー最上段から寝ている相手の胸に正座のように両膝を落とす「ダブルニードロップ」などは「アルバトロス殺法」として有名になりました。帰国後は新日本プロレスのトップレスラーとして活躍し、さらには長州力の維新軍団に加入し、ジャパンプロレスの一員として全日本プロレスにも参加しました。その後長州力との抗争では、その裏切り行為から「恩知らずのキラー・カーン」というフレーズが流行しました。ジャパンプロレスの分裂騒動で、仁義を重んじるカーンは、プロレス界に嫌気が差して、1987年に現役を引退しました。その時の思いを、私は『キラーカーン自伝』(辰巳出版、2017年4月)を読んでいたので知っています。「長州力を殺す」と決意して、行動に移して思い直していたことも知っています。キラー・カーンの人生が全て吐露された面白い本でした。

 1987年に引退後、飲食に転身。「スナック カンちゃん」を経営し、その後も飲食店を展開していました。コロナ禍で居酒屋を閉店し、2020年には自転車事故で「ひき逃げ」と報道され、S状結腸ガンで入院と不幸が続きましたが、今年3月6日の誕生日に、東京・西新宿で「カンちゃんの人情酒場」をオープンさせ、再出発に意欲を見せていました。小沢さんは生前「本当の発音はカンなんですね。だから引退後は歌手も店の名刺もカンにしています」と話していました。♠♠♠

 

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