今年の勝田ケ丘志学館の「入学式」を終え、第一回目の授業で「象使い」と「象」のお話をしました。スタンフォードビジネススクール教授であり、Googleなどの大企業のコンサルタントであるチップ・ハース、ダン・ハースの兄弟は著書『スイッチ「変われない」を変える方法』の中で面白い比喩表現を使っています。もともとは、ジョナサン・ハイトという心理学者が、感情と理性との関係を、「象と象遣い」に例えたのが始まりです。要は感情とは大きくてパワフルな「象さん」のようなもので、私たちの理性はそれを四苦八苦しながら取り扱う「象使い」であると。
「感情」は象 ――「心」
「理性」は象使い ――「頭」
私たちの象、つまり感情や本能は怠け者で、気まぐれで、長期的報酬(やせること)よりも、短期的報酬(アイスクリーム)に目を奪われてしまう。変化が上手くいかないのは、たいてい象のせいだ。
私たちの中には「象使い」と「象」が住んでいます。感情、心というものの扱いにくさを「象」というイメージはうまく表現していますね。巨大な象にまたがり、ムチを振るうので、一見リーダーのように見えます。しかし「象使い」の支配力には限界があります。何と言っても、「象」は「象使い」よりもはるかに巨大で強力です。体重6トンの「象」に比べて、せいぜい50~60キロしかない「象使い」ははるかに軽いのです。だから「象」が勝手にある方向へ進み出すと、「象使い」がそれを止めるのは至難の業です。この「象」があなたの感情です。したがってあなたがどんなに英語を学ぼうと「象使い」のレベルで考えても、「象」の方はやる気もないし「やり方」も知りません。愛や思い遣り、共感など豊かな感情があり、変化を起こすエネルギーを持つ「理性」(象使い)は、長期的に考えて計画を練り、先を見据えようとするあなたの行動は、6トンの「象」さんの上にちょこんと乗っています。「象」の100分の1の重さしかない「象使い」が乗っているのですから、「象」さんと「象使い」がけんかした場合は、勝負は明らかですね。
理性の御者は、暴れん坊の馬を従えている(哲学者プラトン)
いくら「受験に絶対必要だ」「英語は現代生活に重要だ」「毎日コツコツやれば必ずできるようになる」と理解して、「象使い」が懸命にムチを振るっても、ひとたび気まぐれな「象」にソッポを向かれてしまったらどうにもなりません。豊かな感情「象」を解放して、自分が楽しみ、人を楽しませ、ここぞという時には感情を上手くコントロールして、効果的なコミュニケーションができる「象使い」にもなれる、そんな技が身に付いてくると、仕事のストレスも減りそうですよね。「英語を学習するのは正しい」とか「この計画なら効率的に学習できる」といった、理性的な判断だけではダメなのです。重要なのは「象」すなわち人の感情、心を味方につけることです。「象」が見方につけば、それまで「象」の弱点と見えていた「御しがたさ」、動きを邪魔するその途方もないエネルギーが、今度はあなたの目的のために使えるようになり、この上ない推進力となってきます。ではその「象」を味方につけるのにはどうしたらいいのでしょうか?まずは「象さんに方向を指し示すこと」です。心(象)に響く目標が必要です。「象」が喜んで、嬉しがって「象使い」に指示されなくても行きたくなるくらいのワクワク感を感じさせれば良いのです。「旅の価値」を「象」に納得させることができれば、その方向に「象」が行って見たいと本当に思ってくれればしめたものです。「象」をウキウキ、ワクワクさせればいいのです。そしてひとたび正しい方向へ「象」がその大きなエネルギーで動き出すことができれば、成功の確率は高くなることでしょう。自分が向かうべき「目的地の絵はがき」が明確になっていれば、驚くほど人を奮い立たせることができるのです。

先輩で東北大学に行っている生徒がいます。彼女からは東北大学の素晴らしさをたくさん聞いています。私の大好きなシンガーソングライターの小田和正さん(工学部建築学科)の母校でもあります。そしてこのほど、英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)は2025年4月3日、日本の国公私立大学のうち257大学の「教育力」を独自の基準で測って順位づけした「THE日本大学ランキング2025」を公表しました。1位は、5回連続で東北大でした。
1位 東北大
2位 東京工大(現東京科学大)
3位 東京大
4位 京都大
5位 九州大
6位 大阪大
7位 名古屋大
8位 北海道大
9位 筑波大
10位 国際教養大
世界大学ランキングで知られるTHEの「日本版大学ランキング」は8回目です。「世界版」が研究力を重視しているのに対し、日本版は教育力を測ろうとしているのが特徴です。学生数1人あたりの教員比率や教員1人あたりの論文数、大学合格者の学力などに基づく「教育リソース」、在学生や高校教員へのアンケートによる「教育充実度」、企業人事や研究者の評判を調査した「教育成果」、外国人学生数・教員数や日本人学生の留学比率による「国際性」の4分野の計16の指標を点数化し、総合点で順位付けしているものです。
文部科学省が世界水準の研究大学を作るために創設した、10兆円規模の大学ファンドの支援候補に、東北大学は東大や京大に先駆けて選ばれてもいます。
こういったことから「どんなことをしても東北大学に進学したい」という強い目標が芽生えれば、厄介な「象」も喜んで協力してくれることでしょう。♥♥♥
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