banksying

 新しい英語表現のbanksying は、若者の間で使われる新しいデート・恋愛用語で、「あいまいな態度のまま、ゆっくりと関係を終わらせる行為」相手に愛情や興味を失っているにもかかわらず、それをはっきり伝えず、のらりくらりと曖昧な態度のまま関係が自然消滅するのを待つ行為」を指します。若者の間では、修羅場を避けるための究極のフェードアウト戦略として語られることが多い行為です。現代の恋愛トレンドを象徴する少し切ない言葉です。いきなり連絡を断つ ghosting(ゴースティング) と違い、 banksying はもっとじわじわと、相手に気づかれないように距離を置いていくのが特徴で、精神的ダメージが大きいと言われています。ニューヨーク州弁護士の旦 英夫(だんひでお)さんが『アサヒウィークリー』紙の連載記事「米国がわかるキーワード」の中で取り上げておられました。

 この言葉の由来は、正体不明でミステリアスなあの英国のストリート・アーティスト Banksy(バンクシー) に由来します。彼がオークションで落札された直後の自作をシュレッダーにかけてずたずたに裁断した事件(「愛はゴミ箱の中に」)を覚えておられるでしょう。あの「目の前にあるものが、気付かぬうちに少しずつ形を失い、消えていく」というシュールな光景を、恋愛に例えたスラングです。バンクシーのつかみどころのない正体と謎めいた作品(反戦・反権力)の芸術表現が、愛情・関心が薄れた相手に対してあいまいな態度をとり続ける行動と結びつけられてこの表現が生まれました。匿名性・批評性・意外性といった特徴があります。

  • つかみどころがない。正体を明らかにせずに作品やメッセージを発表する

  • 意図が読めない。社会的・政治的メッセージを含む表現を行う

  • 突然驚かせるような行動をする。突然姿を消す。ゲリラ的、サプライズ的にアートや主張を世に出す

  • 既存の場所・物を文脈ごとひっくり返すような演出をする

こうした Banksy のイメージが、気持ちが離れているのにハッキリ言わず、曖昧な態度を続ける人」に重ねられているわけです。banksying には次のような行動パターンが見られます:

  • 返信が遅くなるが、完全には途切れない。連絡頻度が徐々に減る。かつては数分で返ってきたラインが、数時間後、翌日、数日後と少しずつ遅くなり、「お疲れ様」「わかった」というスタンプや短文のみになり、会話を広げる意欲が消滅する。

  • 会う頻度が減る。会う約束が先延ばしになる。デートに誘っても「最近忙しくて」「落ち着いたら連絡するね」と拒絶はしないが、具体的な日程は絶対に提示しない。期待を持たせつつも実行には移さないことで、相手をジワジワと諦めさせる。

  • 感情的なつながりが薄くなる。

  • 態度が冷たくなるが、「別れよう」とは言わない。嫌いになったわけではないというアリバイを作りつつ、親密な関係からは遠ざかる。

  • 相手に不安や混乱を与える。「何かがおかしい」と感じつつ理由が分からず自分を責めて苦しむ。最終的にはひどく傷つく。

  • 最終的に相手が察して離れていくのを待つ

つまり、自分が悪者にならないように、相手に別れを“悟らせる” 行為です。

 専門家によると、banksyingghosting(突然の消滅)よりも相手を深く傷つける可能性があるとされています。ghostingは一時的には激しく傷つきますが、諦めがつきます。banksyingは相手の時間をじわじわと奪い、精神的なエネルギーを消耗させる長期的な未練を生みだしやすいからです。

  • 理由が分からず悩み続ける

  • 自分のせいだと思い込む

  • 心理的に消耗する

  • きちんとした「終わり」がないため、立ち直りに時間がかかる

恋愛におけるコミュニケーション不足が背景にあるとも言われています。

 banksying を避けるには、 正直で率直なコミュニケーション が大切だと専門家は指摘しています。

  • 気持ちの変化を早めに伝える

  • 相手の不安を放置しない

  • 自分の感情を言語化する練習をする

恋愛の終わり方は、始まり方と同じくらい大切です。

 banksying(バンクシーイング)は、正式な辞書語というより、スラング/造語として使われる表現です。意味は、覆面ストリート・アーティストの Banksy(バンクシー) のやり方を真似ることを指します。

  • She went quiet again — classic banksying.
    (彼女からまた連絡が減った。典型的なbanksyingだね)

  • I think he’s banksying me.
    (彼、私をキープしているだけな気がする)


 この語のニュアンス・注意点としては次のようなものがあります。

  • 基本的にネガティブ寄りの言葉

  • 言われた側は「都合よく扱われている」と感じることが多い

  • ghosting(突然音信不通)ほど極端ではないが、精神的にはしんどいケースも


 意味の似た英語との違いは次の通りです。

  • ghosting:完全に消える

  • breadcrumbing:期待させる小さな連絡を断続的にする

  • banksying:消えそうで消えず、関係を曖昧に保つ

 ロイター通信は3月13日、正体不明の芸術家バンクシーについて、英南西部ブリストル出身で1970年7月生まれで50代前半の男性ロビン・ガニンガム(Robin Gunningham)氏だと独自調査で特定したと報じました。これまでにも英メディアで名前が挙がっていた人物ですが、ガニンガム氏が米国で逮捕された際の捜査資料を入手して裏付けました。後に改名しウクライナに入国、作品を残していたといいます。かつて大衆紙(「メール・オン・サンデー」)が2008年にガニンガム氏がバンクシーだと報じましたが、ロイターはより踏み込んだ報道だとしています。バンクシーの弁護士は今回の報道について、「多くを正しいとは認めない」と書面で回答し、正体を明かさないことで「報復などを恐れず権力を相手に真実を語れるようになり、表現の自由を守ることになる」と訴えました。

 ロイターによると、バンクシーの元仕事仲間が明らかにした過去のエピソードを基に、バンクシーが無名時代の2000年9月に、米ニューヨークのビル屋上で広告看板に絵を描き、逮捕されていたことが判明しました。捜査資料にガニンガム氏の自筆サインがあり「看板にユーモアを加えようと決めた」などと、現在の作風を連想させる内容も書かれていました。ロイターは仕事仲間や友人への取材を重ね、ガニンガム氏が型紙の一種ステンシルとスプレーを使ったアート活動を展開し、バンクシーと名乗るようになったと報じました。後に法的な名前を英国人男性で一般的な「デービッド・ジョーンズ」(David Jones)に変えたことも突き止めました。2022年2月のロシアによるウクライナ侵略開始後、同国で戦争を批判するメッセージを込めたような複数の作品が見つかっており、ガニンガム氏とみられる男性が活動していた形跡があるといいます。バンクシーは紛争地を含め多数の国で、戦争や権力乱用を批判するメッセージ性のある作品を建物の壁などに描いてきました。彼の作品は流通市場では2015年以降で約2億4,889万ドルに達しています。彼の正体は、作品の意味にも、市場価格にも、ブランドとしての強さにも関わっているのです。♥♥♥

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