次の一節をお読み下さい。最近読んだアメリカの悩み相談の英語です。
When I ask David for help, he says he’s exhausted and reminded me that he’s the one working full time. The thing is, I’m exhausted, too.(デビッドに助けをお願いすると、自分は疲れていると言って、フルタイムで働いているのは自分だと主張します。問題は、私も疲れているのです)
The thing is, …は、英語でとてもよく使われる口語表現で、主に話の前置き(導入)として使われるフレーズです。直訳すると、「その事は…」ですが、実際には次のようなニュアンスを持ちます。
・本題に入る
・言いにくいことを切り出す
・相手の期待と違うことを説明する
・理由や背景を述べる前置き
日本語にすると、「実はね…」「というのも…」「問題はね…」「その…(ちょっと言いにくいんだけど)」「(あまり言いたくないけれど)実はね」「問題はそこなんだよ」「大切なのはこういうことなんだ」と核心に触れる際に使われる非常に便利な決まり文句です。上の文で、デビッドは「自分はフルタイムで働いているから疲れている(だから手伝えない)」と主張しています。それに対して話者は“The thing is…”を使って「(デビッドはそう言うけれど)実際のところ、私だって疲れ果てているんです」と、相手の言い分を認めつつも、見落とされている重要な事実(=自分の疲れ)を対比させて強調しています。いきなりI’m exhausted, too.と言うと、相手の言い分を否定しているように聞こえます。そこで“The thing is,”を挟むことで、対立を避けつつ、自分の立場も理解して欲しいというニュアンスを作っているわけですね。
直訳すると「問題(重要な点)は〜だ」ですが、実際にはもっと柔らかく、「実はね、〜なんだ」「要するに、〜ということなんだけど」「ここで大事なのは、〜なんだ」といったニュアンスになります。
■ 働き(どんなときに使うか)
主に次のような場面で使われます:
① 言いにくいことを切り出す→相手に少し伝えにくい内容をやんわり導入する
“I’d love to go, but the thing is, I have to work early tomorrow.(行きたいんだけど、実はね、明日朝が早いんだ)
② 問題…・言い訳・説明を始める→理由や背景を説明するとき
“The plan sounds great. The thing is, we don’t have enough budget.”(計画は素晴らしく聞こえる。問題は、予算が足りないことだ)
③ 話のポイントを強調する→重要な点をまとめる
“I know it’s cheap. But the thing is, we don’t actually need it.”(安いのはわかってる。でも重要なのは、僕らはそれを必要としていないってことだよ)
■ ニュアンスの特徴としては
カジュアルで会話的/少し「間」を作る感じ(考えながら話す印象)/相手に配慮しつつ話を切り出す
■ 他に似た表現との違い
Actually, …:「実は(意外かもしれないけど)…」単に事実を訂正・補足
The point is, …:「大切な点は、…」「要は、…」 論点・要点を明確に示す。より論理的・強調が強い
The thing is, …:やや柔らかく、人間的・会話的
To be honest,… : 「正直なところ、…」
The thing is, …は、話しにくいこと・重要なことをやわらかく切り出すクッション表現として覚えると自然に使えます。「ちょっと言いにくいことを切り出す前のクッション」だと思うと理解しやすいでしょう。文頭で使うのが一般的ですが、本来はThe thing is that…と接続詞thatを補うこともありますが、口語ではほぼ100%省略されます。またThe thing is, …と言った後に一瞬「タメ」を作ることで、より「今から大事なことを言うぞ」という雰囲気が出ます。『ライトハウス英和辞典』(第7版)ではこの句を次のように記述しています。♥♥♥
[前の文を受けて]S その理由は、実は;問題は
“Why didn’t you do your homework?” “I was going to, The thing is, I had a terrible headache.”(「どうして宿題をしなかったの?」「するつもりだったんですが、実は頭痛がひどかったんです」)
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