ノリタケ

 (株)UCCから素敵なコーヒーカップを贈っていただきました。「ノリタケ」製のカップです。眺めてください。触れてください。使ってください。ただ目を引くためだけの、ただ斬新さを求めるだけの装飾はそこにはありません。そこには「ノリタケ」がじっくりと育て上げてきた美しさへのこだわりと、技術への情熱や誇りが込められています。持つことに、喜びを感じてもらい、使うことに、満足を感じていただけること。そして愛着というさらなる価値を感じていただけること。これこそがノリタケが創立以来、大切にしてきた、お客様への「約束」です。高い技術に裏打ちされた品質と品格、 創業以来変わらないデザインへのこだわり、 時代に合わせたラインナップなど、 さまざまなこだわりの中にノリタケらしさが詰まっていますね。毎日コーヒーに親しむ私はこのカップ気に入りました。

森村 市左衛門 森村市左衛門(もりむらいちざえもん)という人をご存知ですか?トイレのTOTO日本ガイシ、陶器のノリタケなどの母体となった森村グループを創業した方です(写真右)。「至誠事に当り、もって素志を貫徹し、 永遠に国利民福を図ることを期す」下は明治40年、森村さん68歳の時の言葉です。じっくりとかみしめたくなるいい言葉ですよね。創始者である森村市左衛門は、 この言葉を自らの会社、 社員への訓戒として掲げました。そして誠実であることこそ、 最も大切であると説いたその精神は、 今も脈々として同社に受け継がれています。

 人は正直に全心全力を尽くして、一生懸命に働いて、天に貸してさえおけば、天は正直で決して勘定違いはありません。人ばかりを当てにして、人から礼を言われようとか、褒められようとか、そんなケチな考えで仕事をしているようでは、決して大きなものにはなりません。

 労働は神聖なもので、決して無駄になったり骨折り損になどならない。正直な労働は枯れもせず、腐りもせず、ちゃんと天が預かってくれる。どしどし働いて、できるだけ多く天に預けておく者ほど大きな収穫が得られる。私は初めからこういう考えで、ただ何がなしに天に貸すのだ、天に預けるのだと思い、今日まで働いてきたが、天はいかにも正直。三十年貸し続けたのが、今日現にどんどんかえってくるようになりました。

 この言葉は、「損得」ではなく「尊徳」に生きる、という教えと私は読み解きました。

 ノリタケ株式会社は、愛知県名古屋市西区に本社・工場を置く世界最大級の高級陶磁器・砥石メーカーです。社名の「ノリタケ(則武)」は、人名に由来しているのかとよく勘違いされますが、創業地である愛知県愛知郡鷹場村大字則武(現・名古屋市中村区則武)という地名に因むものであり、人名由来の社名ではありません。本社があった名古屋市西区則武にはノリタケの企業文化施設「ノリタケの森」が開設、一般公開されて、近年の名古屋政財界が提唱する「産業文化観光」の拠点の一つとなっています。前回名古屋に行った時には電車が遅れたために、訪れることができなかったので、ぜひ今度は行ってみたいと思っています。

 「美しく精緻な磁器を日本でつくりたい」という創業者の熱い思いのもとに、ノリタケは誕生しました。幕末の動乱期、御用商人だった森村市左衛門は、鎖国が解かれた日本から大量の金が海外へ流出するのを目の当たりにしました。洋学者の福沢諭吉から、「金を取り戻すには、輸出貿易によって外貨を獲得することが必要だ」と説かれた市左衛門は、国のため自ら海外貿易を始めることを決意します。そして明治9年(1876)、東京銀座に貿易商社「森村組」を創業、弟の豊(とよ)をニューヨークに送って輸入雑貨店「モリムラブラザーズ」を開き、本格的な海外貿易を開始しました。ここに、ノリタケの歩みが始まったのでした。当初の輸出品は主に日本の骨董や雑貨でしたが、次第に陶磁器が増え、森村組はその将来性に確信を持つようになりました。明治22年(1889)、パリで開催された万国博覧会を視察した市左衛門らは、美しく精緻に画付けされたヨーロッパ製の磁器に目を見張り、「この美しい磁器を日本で作りたい」という思いを強くしました。その8年後、最新技術を学ぶために技術者をヨーロッパに派遣し、国産原料を使った白色硬質磁器への挑戦が始まります。そして、明治37年(1904)、ノリタケの前身となる「日本陶器合名会社」を創立し、愛知県鷹場村大字則武(現 名古屋市西区則武新町)の地に、近代的な設備を備えた大工場を建設しました。しかし、操業を開始したものの、生産を軌道に乗せるまでにはさらに試行錯誤の年月を要しました。ついに日本初のディナーセットを完成させたのは、10年後の大正3年(1914)のことでした。米国へ輸出された日本製の洋食器は大変な売れ行きで、やがて「ノリタケチャイナ」の名で世界中に知られるブランドへと成長していったのです。

 食器の世界ブランドとして発展する一方で、ノリタケは洋食器の製造で培った「粉砕」「混練」「成形」「焼成」「印刷」など、セラミックスに関わるさまざまな技術を追究し、新しい分野の開拓にも挑戦してきました。食器の仕上げ加工用に内製していたセラミック製「砥石」の技術を基に、昭和14年(1939)に工業用研削砥石の製造と販売を開始。現在は研削砥石の他、ダイヤモンド・CBN工具、研磨布紙等を自動車や鉄鋼、電子・半導体など様々な製造業に提供する国内最大級の研削研磨メーカーとなりました。このように事業分野を拡大する中で、昭和56年(1981)に社名を日本陶器株式会社から株式会社ノリタケカンパニーリミテドに、令和6年(2024)にはノリタケ株式会社と改めました。そして、いまやノリタケは、幅広い産業に製品と技術を提供する多角的な企業体へと変貌を遂げています。

 地球温暖化やエネルギー問題など、地球環境に関わる問題が顕在化している現在、ノリタケは新たな挑戦を始めています。創業者である森村市左衛門が唱えた「至誠事に当たり、もって素志を貫徹し、永遠に国利民福を図ることを期す」という誓詞、つまり、事業を通じて社会に貢献するという精神、そして、「美しく白い精緻な磁器をつくりたい」というものづくりにかける熱い情熱を胸に、未来へ向かってどんどん可能性を広げています。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す