宅急便の隠し字

 故・小倉昌男(クロネコヤマト)さんの生き方に共鳴する私は、昔から「クロネコヤマト」宅急便のファンで、自宅でも旅先でもいつも利用させてもらっています。以前は同じ若いドライバーさんが自宅に毎日荷物を持ってきてくださるので、仲良くなったものでしたが、最近はいつも人が変わっているみたいです(ドライバー不足?)。商標登録もされているヤマト運輸「宅急便」ですが、そのトラックに描かれた「急」の文字が走っているデザインになっていることは有名です(写真下)。いつも私が言っていることですが、見えないものは何万回見ても見えないのです。対象に興味を持って初めて見えるようになります。セブンイレブンの最後の文字が小文字であること、キユーピー、キヤノン、シヤチハタのヤは大文字であること、ジャパネット(Japanet)の最後のtの横棒は右上がりであること、など興味を持って初めて気がつくことです。JRの駅で、乗車券特急券を自動改札に入れた時に、駅によってもどちらが上になって出てくるかが異なること、などがその典型例です。

「急」の文字が走っているデザインになっています

 荷物の宅配・集荷といえば、“クロネコヤマトの宅急便♪”のフレーズでお馴染みのヤマト運輸ですね。シンボルマークの黒猫親子と、黄色で“宅急便”の文字が描かれたトラックを街でよく見かけます(今はEV車が主流)。この宅急便「急」に意外な真実が隠されていたことを、私もかつてドライバーさんに教えてもらうまでは何気なく素通りしていました。“急”の文字がせっせと走っています。ダッシュして一生懸命に“急”も荷物を配達中みたいですね(写真下)。まさか“急”がこんなに凝ったデザインとは知らずにいました。

▲「急」の文字に注目!走っていますネ!

 いつごろから、どのような理由でこのデザインを採用したのか?ヤマト運輸の広報担当者に尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「記録が残っておらず、はっきりとした狙いや理由はわかっていません。このデザインは、宅急便サービス開始時の1976年1月20日から同様のものを使用しています」

たしかに、宅急便が始まった時のチラシを見ると、手書きとみられる文字の「急」が走っているデザインになっています。

 黒い親猫が口に子猫をくわえた姿でおなじみの「クロネコマーク」。誕生したのは1957年6月で、業務提携していた米国の運送会社アライド・ヴァン・ラインズ社の「親子猫マーク」が関係しています。そのマークに込められた「お客様の荷物をていねいに取り扱う」という思いに、創業者の小倉康臣社長が共感したのがきっかけだったそうです。その後、競争が激しくなった長距離トラック輸送では成長は厳しいと判断し、1976年に国内初の「宅急便」を開始。一般消費者を対象としたサービスを開拓してきました。「宅配便」が一般名称なのに対して、「宅急便」ヤマトホールディングスの登録商標です。このデザインには「大切な荷物を安全に届ける」という意味が込められており、輸送業において顧客の信頼を得るための象徴として黒猫が選ばれました。日本では黒猫は「不吉」とされることもあり、導入当初は懸念の声もありましたが、「黒猫が子猫を運ぶ」という優しいイラストにすることで、親しみやすいデザインに仕上げました。単なるデザインの選択ではなく、企業のアイデンティティや顧客へのメッセージが込められているのです。

 「宅急便」という名称の由来についても、「翌日着くから早い」といった特性を踏まえたからという説や、「宅配」「速い」「便利」というサービス内容を具体的に表現したといった説などがあって、はっきりとはしないそうです。話題になったことについては「関心を持っていただき大変光栄です」とした上で、こう話します。「2019年11月にヤマトグループは創業100周年を迎えます。次の100年に向けてさらに成長していくため、お客さまのご期待に沿えるよう、それぞれに合ったサービスをお届けし続けます」

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