「リレーかもめ」

▲西九州新幹線「かもめ」

▲「リレーかもめ」の787系

 西九州新幹線「かもめ」(長崎~武雄温泉)の新規開業に伴って、博多~武雄温泉駅間に「リレーかもめ」が登場しています。私が乗車した「リレーかもめ」は、1992(平成4)年、博多駅~西鹿児島駅(改称して現在は鹿児島中央駅)間の「つばめ」としてデビューしたことでおなじみの、外側を重厚感のあるガンメタリックで装った787系電車です。私がこの電車に初めて乗ったのは、「全国英語弁論大会」で生徒を引率して鹿児島中央駅から宮崎に向かう特急「きりしま」でした。このほか「白いかもめ」「白いソニック」でおなじみの885系「リレーかもめ」に使われています。両者を時刻表で見分けるには「DXグリーン車」の有無を見るのが確実で、設定があれば787系、なければ885系です。また博多駅~佐世保駅間の「みどり」がリレー列車を務めるケースがまれにありますが、その場合には「みどり(リレーかもめ)」というややこしい名前になります。こちらの車両は885系のほか、783系が使われることもあるようです。博多~武雄温泉間を中心に、定期列車・臨時列車ともに、7割以上を787系(8両編成)で運転しています。武雄温泉駅西九州新幹線「かもめ」と同一ホーム乗換えが可能な「対面乗換方式」によるリレー運転で、降りたらすぐに向かいのホームで乗り換えることができます。ホームを挟んで、両列車が向かい合わせに並ぶので、乗り換えの際に乗客は駅構内のフロアを上下することなく、ホームを横切るだけですみます(ここが敦賀駅北陸新幹線との大きな違いです)。在来線特急と新幹線を乗り継ぐ場合、原則的に同じ号車に座席が振られるので、向かいの列車に乗車すればいいので(乗り換え時間は約3分)、実に便利ですね。

 JR九州が名門「つばめ」の名を冠し、威信をかけて製造したかつての787系(4代目つばめ)には、特急車両の概念を塗り替えるこだわりが随所に盛り込まれていました。4人用のセミコンパートメントやカフェバーのようなビュッフェ、グリーン車にはガラスで仕切られた「トップキャビン」、個室でL字型のソファーがある「サロンコンパートメント」まで備えていました。まさに「移動する高級ホテル」をイメージした高級感のある特急型車両です。車両の内外装は、ドーンデザイン研究所水戸岡鋭治(みとおかえいじ)先生が担当なさいました。「列車に乗っている時も旅なんだ、単なる移動の手段としての乗り物ではなく、車内で楽しく過ごせる列車があるといい」という水戸岡先生の思いがそのデザインにはっきりと表れた電車です(今は無くなりましたが、当時はビュッフェも用意されていました)。車体の至る所にしっかりグラフィックデザインしたかっこいい文字やロゴマークが描かれているのが水戸岡流の特徴です。

 車内に関しては「客室内をすっきり見せたい」(=視覚の上での静けさ)と主張して、JR九州車両メーカーからも反対意見がありましたが、飛行機のような蓋付きのハットラック式の荷物棚を採用しました。車内でのガラスの多用や、オリジナルデザインの間接照明なども画期的な試みでした。6両編成には3席のみの「DXグリーン」が設けられています。電動ボタンでかなり深くまでリクラインニングが利き、レッグレストまで装備しています。車両のモケットは数種類存在していて目を楽しませてくれます。あたかも重役室の入り口のようなデッキ部も印象的ですよ。登場の翌年、1993年には鉄道友の会の「ブルーリボン賞」を受賞。また、今までにどこの鉄道会社もしたことがない斬新なデザインが国内外で高く評価され「グッドデザイン賞」「ブルネル賞」も受賞しています。

▲高級感の漂うデッキ

 この787系車両の製造にあたっては、車内の工事をする時、作業員はヘルメットを頭からとって、腰の金物類もはずして車内に入ってくれたと聞いています。ヘルメットをかぶっているからといって安心して、かえっていろいろな場所に頭をぶつけて、ヘルメットで車内のあちこちを傷めたりすることのないように配慮したのです。それだけすごい車両ができあがりつつあることを、作業員みんなが感じてくれていたのですね。

 名門列車の名称を復活させた787系が鹿児島本線に登場してから約30年。活躍の場は「みどり」「かもめ」「にちりん」「きりしま」と、特急が走る九州の交流電化区間のほぼ全てに及ぶ汎用特急車です。在籍車両数は140両とJR九州発足後の新製特急車両の中で最も多いのです。一見怖いようにも、愛嬌があるようにも見えるJR九州の「顔」は、ビジネス・観光両面で欠かせない役割を担って、日本の鉄道史に燦然と輝きながら今日も元気に走り続けています。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す