天真爛漫な笑顔が印象的な女優・井上真央(いのうえまお、当時25歳)さんが、かつて2012年6月10日・17日にドキュメンタリー番組『情熱大陸』(TBS系)のディレクターに挑戦して、自分でカメラを回し、シンガーソングライターの小田和正さん(当時64歳)を密着取材して大きな話題になったことがあります。その二週(前󠄂編・後編)にわたる番組が、CS「ホームドラマチャンネル」で再放送になり、懐かしくて釘付けになって見ました。『情熱大陸』700回突破記念シリーズ「井上真央が撮る小田和正」です。
「どうせやるなら、自分が大好きで心から尊敬する人を取材したい。作り手として第一線で走り続けている小田和正さんが、なぜ走り続けられるのかを知りたい」という彼女の強い希望で、こちらも番組初登場・ミュージシャンの小田和正さんへの密着がスタートしました。井上さんからの熱意あるオファーだったからこそ実現した、この番組初登場の小田さんでした。普段は「取材される側」から「取材する側」(=ディレクター)に回った井上ディレクターは、当初は自分の立ち位置がわからず悩む日々でしたが、やがて番組スタッフの手も借りずに、カメラ片手にたった一人で小田さんの東北ツアーに密着し始めました。
持ち前の明るさとはつらつとした元気あふれる姿や笑顔で、その場を和やかにする井上さん。常に前向きに自ら新しい仕事に積極的に踏み込んでいるのかと思いきや、そうでない時期を乗り越えての今の姿がある、とのことです。「以前は弱気になってばかりの時期もあったんです。でも、昨年から今年にかけていろんな新しいチャレンジをさせていただくなかで、段々と考え方も変化してきました」。その意識が変わるきっかけになったのが、アーティストの小田和正さんに密着したディレクター経験でした。「ものすごく嬉しいことだけど、同時にプレッシャーも大きかった。心のどこかで弱気になっていたら、小田さんにその気持ちが見透かされてしまったみたいで、『初めてということを言い訳にはしないで』と言われたんです」。密着取材の冒頭で、優しそうな顔で「初めてということを言い訳にしないで」と、小田さんがくぎを刺す場面は確かに印象的でした。小田さんの厳しくも優しさのある言葉に触れて、井上さんにとっては、この仕事以外のいろいろなことについても考えさせられるきっかけになりました。「小田さんにその言葉をかけていただいて、本当に感謝しています。私にとってはとても大きな意味を持っていました」。「プロのスタッフに囲まれていては、小田さんの懐に入り込めない。身一つでぶつかるべきだ」と決意します。その後はテレビ番組の制作スタッフの手を一切借りず、たった一人で小型カメラを持って小田さんの東北ツアーに同行します。その後は、経験のないことにどんどん挑みたいという意欲が増しているといいます。ライブの舞台裏や、打ち上げで小田さんの隣の席に座る姿など、「井上真央という一人の熱意ある女優」だからこそ撮影できた、小田さんの素顔・本音やリラックスした表情が数多く収められました。番組では、小田さんの音楽に対する妥協のない姿勢や魅力が描かれると同時に、初めての挑戦に体当たりで挑み、悩みながらも人間として成長していく井上さん自身のドキュメンタリーとしても見応えのある作品となりました。
井上さんが小田さんを取材していく中で、感じたことをまとめておられますので、挙げておきます。♥♥♥
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「自分はゴールが見えているものはやりたくない」(小田さん談)
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小田さんは怖いとか無口な人というイメージがあるようですけど、確かに決して言葉自体が優しいとかじゃない。でも本当にいつも気を遣ってくださいます。
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ちょこちょこ、背筋がピッと伸びるようなことを言われます。
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小田さん自身がすごく一生懸命で、ストイックで、妥協しない方なので、私も、自分ができることに限界ををつくらないことを、常に頭においてできたように思います。
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絶対、現状に満足したり、過去の栄光に頼ることはない。常に目の前にあるものに向き合って、自分の限界を超えようとする。


