SDカードがない!

 私はいつもヤマダ電機でデジカメ用に「キオクシア」SDカードを買っていました。去年の暮れぐらいから値段が高くなったなあ、と感じていました。それが先日行ったら、全部「品切れ中」とありました。他社のものも全部品切れで買うことができません。現在デジカメのSDカードが品薄になり、価格が以前の2〜3倍(一部の高性能モデルはそれ以上)に高騰している背景には、一時的なトラブルではなく世界的な半導体の「構造変化」があります。店員さんに伺うと、主な理由は、「SDカードそのものの需要増」ではなく、SDカードに使われるNANDフラッシュメモリーが世界的に不足しているためです。

▲エディオンの売り場にて

(1) 生成AIブームによる「メモリの奪い合い」

 現在、SDカードが品薄になっている最大の原因は生成AI(人工知能)の爆発的な普及です。AIを動かす巨大なデータセンターでは、膨大なデータを高速で処理・蓄積するために、エンタープライズ向けの超高性能なメモリチップ(NANDフラッシュやDRAM)が大量に必要とされています。半導体メーカー各社は、利益率が非常に高い「AIデータセンター向け」の生産を最優先にしているため、カメラやスマホ、ゲーム機などに使われる民生用メモリの生産ラインが後回しにされ、供給量が激減しています。現在のSDカード・メモリー不足の最大の原因は、AIへの大規模投資です。ChatGPTに代表されるAIサービスの急成長により、データサーバーやスーパーコンピューター向けのメモリー需要が爆発的に増加しています。メーカー各社は、より利益率の高いAI・企業向け製品の製造にリソースを集中させており、一般向けのSDカードの製造を停止・減産すると発表する企業も現れています。メーカーが一般向けSDカードの生産を維持できず、価格高騰と品薄が同時に起きているのです。

(2)メモリメーカーの減産と民生向けからの撤退

 2022年〜2023年頃、世界的なメモリの供給過剰により、各メーカーは大赤字を出していました。その経営改善のため、各社は生産量をあえて落とす「協調減産」を行いました。さらに、大手半導体メーカーが利益の出にくい民生用NANDビジネスから事実上撤退したり、主要ブランド(サンディスクなど)がAI投資の原資確保のために一斉に値上げ・供給調整を行ったりしたことで、一般の市場に出回るSDカードの絶対数が不足する事態となっています。象徴的なのがソニーで、2026年3月に日本国内でSDカードの注文受付を一時停止しました。理由として「世界的な半導体(メモリ)不足」を公式に説明しています。この動きは他社にも波及する可能性が高く、市場全体の品薄をさらに悪化させる要因になています。

(3) 日本特有の「円安」のダブルパンチ

 SDカードに使われるフラッシュメモリチップは、そのほぼすべてが海外で製造されています。そのため、ドル建ての原価そのものが「AI需要」で上がっているところに記録的な円安が重なり、日本国内での価格高騰や品薄感をさらに加速させています。円安で日本国内価格が更に上昇しているのです。一部のSDカードは3~4倍に値上がりしており、「今のうちに買っておこう」と考えることで、在庫が一気に消える駆け込み需要が発生しています。

 専門家の予測では、このAI需要に伴う需給の逼迫は2026年中は続くとみられており、短期的に改善する見込みは薄く、価格や在庫が落ち着くまでには早くて2027年〜2028年以降にかかるという「長期戦」の見立てが強まっています。

 この3ヶ月間で、一部のSDカード・メモリーカードは3〜4倍の価格上昇を記録しています。単純な10〜20%の値上げではなく、異常なレベルの高騰です。メーカーからも正式に値上げが発表されており、今後も価格が下がる見込みは薄い状況のようです。♥♥♥

▲値上がりと品切れ状態

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