「臥龍殿」

 横浜長崎と並んで「日本三大中華街」の一つに数えられる、神戸の中華街「南京町」を訪れてきました。国内からの観光客や修学旅行生だけでなく、海外からいらっしゃる方の人気の観光スポットにもなっています。しかも、中国台湾からの方々もたくさん訪れている様子は、ここを歩けば実感することができるでしょう。地図上では神戸の元町から栄町あたりなのですが、じつは「南京町」という地名は神戸にはありません。中国人街ということを表すのに使われていた南京町という言葉が、神戸では今も使われているのです。

 メインの道路の間を何本もの路地が通る南京町。それらの路地には「○○街」という名前が付けられています。そんな路地の一つである南京南路から東へむかう「九龍街」へ入ると、今回ご紹介する場所はすぐそこです(写真下)。ここは中国雑貨店か?

   実はこちらは市民トイレの「臥龍殿」(がりょうでん)です。三国志で有名な軍師・諸葛孔明(しょかつこうめい)「臥龍先生」と呼ばれていたことにちなんで付けられた名前です。建物正面の金色に輝く「臥龍殿」という文字は作家の陳舜臣氏が揮ごうしたもので堂々とした書体は建物の風格をさらに高めています。これだけの華やかさと立派さなので、間違えて通り過ぎてしまう人も多いというのも納得できますよね。翡翠色の屋根に赤い柱、そして龍の彫刻が細やかに施されたその姿は、まるで宮殿のようです。パッと見は、高級なレストランや土産物屋と見間違える人も多いでしょう。トイレの中に入ると内装もまた中国風の装飾が施されており、まるで異国に来たような気分になります。多くの観光客が利用しているにも関わらず常に清潔に保たれており、気持ちよく利用できます。左右に配された龍の彫刻は外国から取り寄せられたものです。南京町の公式HPによると、2階はコミュニティホール、3階は組合事務所として利用されているとのこと。単なるトイレにとどまらず、地域の人々の交流の場としても活用されているようです。

 観光用の地図には簡単に「市民トイレ」と表示されているのですが、ここを作ったのは「南京町商店街振興組合」です。あずまやのある南京町広場に、「長安門」「西安門」など中国を感じてもらえる街づくりがされてきた南京町。さらに、トイレにまで中華街の雰囲気を味わってもらおうというこのおもてなしの気持ちの深さ。この珍名所は、ぜひとも南京町観光の記念に見ておきたい場所なのです。

 地上三階建てのこの建物は「神戸景観・ポイント特別賞」も受賞しています。また、春節祭で華やかな姿を見せる龍も、ほかの季節はここで豪華な様子を見せてくれ、おめでたい雰囲気がいっぱいです。建物に向かって右が女性用、そして左が男性用で、入り口にもめでたい龍の彫刻があるのですが、ここの凝り方は外観だけではないのです。わざわざ台湾まで出向いて手に入れてきたという調度品で、中もどっぷりと中華風。それだけではありません。見上げれば格子天井に上手く照明が組み込まれて、こちらにも中華のめでたい生き物たちが乱舞中。普通だったらそれほど目が行かない場所まで「ここまでやるか!」という徹底ぶり。ですから、知らないでここに入った観光客にインパクトが大きいというのも分かりますよね。

 1階中央の展示室には「春節祭」に使う龍が展示されています。その両側に男女別の入り口があり、中は中国風の豪華な市民トイレとなっています。平成5年日本トイレ協会の「平成5年度日本グッドトイレ10」「臥龍殿」が選ばれています。 また、神戸市主催の「景観ポイント賞」の特別賞を「臥龍殿」及び誘導サイン類が評価され、受賞しています。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す