「ちょっと頼みがあるんだけど」という会話文を英訳してもらったところ、Give me a favor.と書いた生徒が数人いました。これでは「記念品をおくれよ」と言っているように聞こえてしまうことを、デビッド・セイン『ニッポン人のヘンな英語』(日本文芸社、2005年)に書いておられたのを覚えています。“Give me a favor.” は英語として不自然で、ほぼ使われません。理由は「favor」という語の意味と、英語の依頼表現の慣習にあります。
英語の favor は「与える物」ではなく「行為(行為の提供)」 を指します。favor = 「親切な行為」「手助け」つまり、favor は「物として渡す」ものではないため、 give(物を与える動詞)とは相性が悪い のです。また、英語で「お願いがある」と依頼する時は ask を使うのが圧倒的に自然です。Give me…で始めると、「物をよこせ」という命令に近い、少しぶっきらぼうな響きになります。「お願いがあるのですが」という日本語の丁寧なニュアンスとはかけ離れてしまうのです。
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Can I ask you a favor?(お願いしてもいい?)
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Could you do me a favor?(お願いを聞いてくれる?)
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Do me a favor and be quiet.(たのむから静かにしてよ)
つまり、英語ではfavor は「ask するもの」または「do してもらうもの」であって、「give するもの」ではないのです。give とfavorを組み合わせると、favorが「お願い」とは全く別のものに聞こえてしまうのです。 “Give me a favor” は、直訳すると「親切を私に与えろ」という奇妙な命令文になり、 英語話者にはぶっきらぼうで上から目線で失礼に聞こえるので不自然に聞こえてしまうのです。
日本語の「お願いがあるのですが」という依頼の前置きは、相手との関係性や、お願いの重さに合わせて使い分けるのがベストです。
⭐ 最も一般的
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Can I ask you a favor?(ちょっとお願いがあるんだけど)
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Could I ask you a favor?(ちょっとお願いがあるんですけど)
⭐ もっと丁寧
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I have a favor to ask./ Could you do me a favor?/ May I ask you a favor?(一つお願いをしてもよろしいですか)
⭐ かなり丁寧
I was wondering if I could ask you a favor.(もしよろしければ、お願いがあるのですが)
⭐ カジュアル 最も定番。
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Can you do me a favor?/ Do me a favor.(お願いがあるんだけど)



