やる気

 尊敬する松下幸之助さんの持論に「ダム経営」という考え方があります。川にダムを作り水を貯めて流量を安定させるように、資金や生産設備、人員等を貯えることにより、景気の好不況や需要の増減に左右されない安定的で余裕のある経営を常に心がけるというものです。松下さんは中小企業の経営者の方々を対象に、このダム経営」について話をしたことがあります。話が終わり、400人ほどいた経営者の一人が手を挙げて質問したのです。「おっしゃるとおりなのですが、なかなかそれができないのです。どうすればダムが作れるのでしょうか?」これに対して松下さんは「やはりまず大切なのは、ダム経営をやろうと思うことですな」と答えました。聴衆からは「それでは答えになっていない」「なんだ、そんなことか」と、会場は落胆のあまりどよめき、失笑が広がったといいます。ところが、その中に一人だけ衝撃を受けた人物がいました。それは京セラを創業して間もない頃の稲盛和夫さんです。これは有名な話で、後にこのように語っておられます。

 そのとき、私はほんとうにガツンと感じたのです。何か簡単な方法を教えてくれというような生半可な考えでは経営はできない。実現できるかできないかではなく、まず「そうでありたい。自分は経営をこうしよう」という強い願望を持つことが大切なのだ。そのことを松下さんが言っておられるんだ。と、そう感じたとき、非常に感動したのです。

 400人の経営者が同じ話を聞いています。でもそのような受け取り方をした人は稲盛さんただ一人でした。こうありたい」という気持ちが何よりも第一だということです。NTT独占に喧嘩を売ってKDDIを成功させたのも、瀕死の重傷のJALをたった二年で見事に再建したばかりか最高利益まで出してみせるのも、稲盛さんのこの「志」によるのでしょう。

 この話は高校生・受験生にも示唆的です。志望大学であれ、将来の職業であれ、生き方であれ、稲盛さんのような「こうありたい」という志が自分にはあるか?を心に問うIMG_1271てみましょう。その「やる気」が最も大切だということを、上の「ダム経営」の話は物語っています。稲盛さんと横綱の白鵬との対談の中で(月刊『致知』10月号、2012年)、白鵬は「心技体は心が8割、技体は2割」と言っておられました。THE 21』の最新号が「結果を出す人のやる気の出し方」という特集を組んでいて面白く読みました。そこには稲盛さんのインタビューも掲載されていて、「利己」ではなく「利他」という稲盛哲学を熱く語っておられました。

「人の上に立つ者は、知識や才能は劣ってもいいが、熱意に関してはだれにも負けてはいけない。」(松下幸之助)

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