さだまさしさんの新刊小説『風に立つライオン』(幻冬舎創立20周年記念特
別書き下ろし作品)を読みました。もちろん、あの名曲「風に立つライオン」をモチーフに書き下ろした壮大な「希望」の物語です。全国各紙にも大きな広告が載りましたから、ベストセラーは間違いないところでしょうね。私があれこれ言うより、尊敬する中村清志先生(前島根県立松江東高校校長)が、オフィシャルサイト 「よぶこえ」の中で、感銘ポイントに触れておられましたので、ご覧ください。⇒コチラです
実は8月23日、宮崎で開催される「第50回全国国際教育研究大会」で、この歌・小説のモデルとなった、さださんのお父さんのお友達、柴田紘一郎先生の講演があるんです。演題は「風に立つライオン」です。今から楽しみにしている八幡です。
コンサートでは、いつもアンコールに歌われるこの曲の壮大なスケールとエネルギーに圧倒されるばかりでしたが、第26回宮崎医科大学すずかけ祭医学展 ライオン企画(編)『風に立つライオン』(不知火書房、2002年)を読んで、その意味が少しわかったような気がしました。柴田先生は「僕もいつか風に立つライオンのようになりたい」と謙虚です。「まさしさんはこれは僕の歌だと言うけど、これは『風に立つライオン』という歌であって、自分はこの歌のヒントになったに過ぎない。だけど僕はあなたの描いたライオンに一歩でも近づくために、これからもがんばっていきます」と、カッコいい。
医師を目指した理由を聞かれると、「非常に月並みですよ。何も変わったことは思っていないんですよ。小学校一年生の頃、親同士が国鉄ということで仲がいい女の子がおったんですよ。その女の子のお父さんが五右衛門風呂に入とってですね、板から出ていた釘が足に刺さって、七日後に死んだんですよ。今でいう破傷風ですね。まあ、元気で身近な人がいきなり亡くなると、悲しいですよね。皆さんと一緒で、非常に月並みな理由なんですよ。子供心に、非常に悲しかったんですよ。」と。さらに医者の良い点、悪い点を聞かれると、こう答えられました。
医者の良い点というのは、我々はどこにいても、例えば無医村にいても都会にいても、相手となる患者さんというのは尊厳価値においては同一じゃないですか。どういう所にあっても全力で仕事ができるというところでしょうか。悪い点は、医者の中には”自分が治している”と勘違いしている人がいる、ということでしょうね。患者さん自身が治ろうと、治そうとしているのに、医者はそれを神様と共にちょっと手助けするだけなのに、”自分が治している”と思い上がった心を持ってしまう…。まあこれは僕だけの意見ですけどね。
「理想の医者」を聞かれると、「僕の独断と偏見ですけど、臨床医は芸者ですよ。患者さんは心身ともに悩んでいるのですから…。医者は常に向学心を持ち、芸の心をもって、患者さんに尽くすこと。これが理想ですね。」と。
さださん自身は、こう語っています。「ライオンというイメージは、医師というよりも、一人の人間として捉えてくれるといいです。僕らの国はちょっと変だつていうのは、医者だからということではなく、海外に暮らす一人の日本人としての思いなんですよね。人間というのは、職業に殉ずるといいながら、どこまでも自分を捨てることはできないでしょう。 心の中で、悩みも苦しみも、切ないこともいっぱいあるけれど、くじけるもんかっていう意味で、自分を勇気づけ励ます意味で、ライオンっていう動物を出したのです。逆境の中でもひるむことなく、心だけは王様のような、強い心を無くしたくないという、すっくと立っている百獣の王のプライドです。プライドっていうと、身勝手さを連想されると困るけれども、人間の尊厳っていうか自分の意志っていうか、そういうものに誇りを持ちたいっていう気持ちの現れです。それは医者だからではなく、生きているということに対する誇りのことです。この歌は医者の立場を借りながら、自分に対するエールでもあるわけですよね。カッコイイでしょ、風に立つライオンって。ライオンなんて何もしないんだけれど。(笑) うん、風が後ろから吹いたりしたらみっともないですよね。 」


