川端康成と東山魁夷

IMG_7380 松江市・袖師町にある島根県立美術館で開催中(3月20日―5月10日)の、「川端康成と東山魁夷―巨匠が愛した美の世界―」展に出かけてきました。国宝である池大雅・与謝蕪村《十便十宜図》、浦上玉堂《凍雲篩雪図》をはじめ、文豪川端康成(1899-1972)が愛した美の世界を紹介しています。川端の文学作品における美意識に、審美眼をとおして迫る機会です。また、川端と17年間交流のあった日本画家東山魁夷(1908-1999)との様々な軌跡に、川端と東山が所蔵した東山の作品だけでなく、島根県立美術館が特別に借用した優品を加えて焦点をあてています。両巨匠と島根県のゆかりにも触れる内容でした。この企画展のチラシは⇒コチラです  退職して「心の余裕」ができたせいでしょうか。こういった催し物にも出かける時間的余裕と精神的余裕が出てきました。毎日を有意義に過ごしたいと思っています。

 私は東山魁夷画伯の熱烈なファンで、家を新築した際に、画伯の2枚の絵を購入したぐらいです。⇒コチラです   文豪川端康成と風景画の巨匠東山魁夷の交流は、17年間にわたります。きっかけは、1955年に川端の出版した小説『虹いくたび』の装丁を東山が手がけたことが縁です。以来公私ともに交流を続け、川端の小説に東山が装丁を施し、東山の画集に川端が序文を寄せたりしています。川端の追悼文で東山は、両者の長く親しい交際は美に繋がることに終始していたIMG_7527、と述べています。東山が描く風景画の静寂さの中に敬虔さを見ていた川端の手紙からは、東山の仕事に対する尊敬の念が伝わってきます。京都の景色が失われつつあることを惜しむ川端が、題材にすることを東山に何度も勧め、「京洛四季」を完成させています。この展示会では数ある作品の中でも、私は東山の「北山初雪」(きたやまはつゆき)の前で長い間立ちつくしていました。この作品は川端の『古都』の最終章の景色で、ノーベル文学賞受賞祝いに東山が川端に贈呈した作品です。引き込まれるようなその美しさに見とれていました。それにしても見事な「東山ブルー」の世界です。家に帰り、画集を引っぱり出しては、うっとりと見つめました。美術館で、東山のポストカードを数枚購入して帰りました。誰に書こうかな?

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