私の大好きな一青 窈(ひととよう)さんの「ハナミズキ」という曲は、10年連続でカラオケ・ランキングでトップ10に入っているそうです。さる7月29日に発売された一青 窈さんのカバーアルバム『ヒトトウタ』の
中に、2015年バージョンの「ハナミズキ」が入っていますね。この歌で気がつくまず大きな特徴の一つは、女声によるコーラスが入っていることで、歌っているのは一青さんの母校である森村学園の合唱部の生徒たちです。その若々しくみずみずしい清らかな歌声は、曲の美しさ・純粋さを大きくクローズアップしています。公開済みのレコーディング風景の映像からは、一青さんとアレンジャーの武部聡志さんの前で声を出す彼女たちの姿が見て取ることができます。そしてもうひとつの特徴は、この何年かの間に良好なボイストレーニングと、精力的なライブ活動によって表現力と声量を一段と増した一青さん自身のボーカルにあります。人生の経験を重ね、大人の恋愛に苦しみながら、そこに豊かな包容力をたたえるようになったその歌は、本当に味があって素晴らしいものです。実に。
ニュースでも伝えられたように、彼女はこの4月に結婚と妊娠を発表しました。昨年発表された「パパママ」(『私重奏』に収録)は、二度と会えない存在になって(小さい頃に死別)久しい両親に向かって、大人の年齢になった彼女がピュアな気持ちで話しかけるような歌で、この曲は同アルバムと今年初頭まで行われた全国ツアーでは重要な役回りを担っていました。その歌詞の中に<もし私が
結婚したら/ おめでとうと言ってくれますか>というフレーズがあるのです。アルバム『私重奏』が出たのは去年の10月ですが、完成したのは夏の終わり頃で、楽曲自体が書かれたのは、それよりさらに前のこと。もしかしたらその時期から結婚というものを心のどこかに意識していたのではないか……と思えます(お相手と出会ったのは昨年の6月23日であることが判明。お父さんにあまりにも似ていて一目惚れだったそうです)。結婚・出産(男の子で11月出産予定)で、今後は活動ペースも変わってくるでしょう。しかし、一青さんが歌うのは人生の歌であり、それを突き詰めれば人間愛の歌であることは変わらないはずです。その過程で、今までの曲のニュアンスにも幅が出てくるはずですし、これからその歌の深みがさらに増していくのを期待しましょう。



